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塗替え工事の安全管理のあり方を問う——東名中吉田高架橋火災事故再発防止委員会・第1回会合の全貌

インフラ防災・安全管理

東名中吉田高架橋の塗替え工事火災、再発防止へ検証開始——中日本高速道路が「再発防止委員会」の第1回会合を開催

中日本高速道路(NEXCO中日本)は12月26日、東名高速道路の中吉田高架橋における塗替え工事で発生した重大な火災事故を受け、原因究明と再発防止策を検討するための「東名中吉田高架橋塗替え工事火災事故再発防止委員会」(委員長:伊藤義人・名古屋大学名誉教授)の第1回会合を開催した。

1. 事故の概要と現場の状況

当該現場では、既設塗膜の剥離作業中にP53-54径間で火災が発生。作業にあたっていた6人のうち1人が焼死し、さらに風下に位置するP50-P51径間でも、11人中10人がのどの火傷などの重軽傷を負う惨事となった。

委員会では、事故の直接的な原因および被害拡大のメカニズムについて多角的な検証を進めている。これまでの調査により、現場では安全対策から逸脱する以下のような運用上の問題点が浮き彫りになっている。

  • 使用禁止機材の持ち込みと稼働: 本来は現場で使用しないことになっていたディスクサンダーが、塗膜剥離剤を含浸させる前の表面清掃工程において最大6台使用されていた。
  • 電気設備の管理不徹底: ディスクサンダー自体はその後の工程で使用されていなかったとされるものの、「使用しない電気機器のコンセントは抜くこと」というルールに反し、プラグが差さったままになっていた(※これが直接の火元であるかは依然として不明)。
  • 可燃物の滞留: 現場の足場内には、2日前から掻き落とした有機塗膜を含む塗膜片が放置されていた。
  • 換気・密閉環境の矛盾: 塗膜剥離剤を使用していたため密閉されず風通しの良い状態となっており、これがかえって火勢や煙を風下の離れた径間へと急速に拡大させ、多数の負傷者を出す要因となった可能性がある。

2. 作業環境と安全対策の課題

工事計画書では、換気設備として作業1スパンあたり送気側・吸気側の換気装置を各1台設置することが定められており、実際に設置はされていた。しかし、粉塵が発生する工程ではなく剥離作業中であったことから、当日は換気装置が稼働しておらず、足場内は完全な密閉状態ではなかったという。また、作業員2人が初期消火にあたったものの、激しい火勢を抑え込むことはできなかった。

初会合において委員からは、以下の3点について強い指摘と提言がなされた。

  1. 多角的な検証の必要性: 点火源や可燃物について、あらゆる可能性を幅広く洗い出し、厳密に検証すること。
  2. 特殊環境への配慮: 塗装工事が「足場内」という特殊な閉鎖・半閉鎖空間で行われる点や、当時の気象条件などの環境要因を考慮した対策を講じること。
  3. 最悪事態の回避: 想定外の事象が発生した場合においても、致命的な被害を最小限に抑えるリスクマネジメントを検討すること。

3. おわりに

NEXCO中日本は、本事故を受けて同様に塗膜剥離剤を使用する全国46件の塗装工事を一時中断している。

今回の事故は、わずかなルールの逸脱や、閉鎖空間特有の環境条件が重なることで、取り返しのつかない惨事につながる危険性を示している。インフラの維持管理を担う現場において、「焦らず、あらゆる可能性を吟味し、作業員が心から安心できる安全な現場を再構築すること」が、今まさに強く求められている。

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