【参考・出典情報】
* 受賞テーマ: 社会基盤構造安全学の研究とその国際展開
* 受賞者: 藤野 陽三(横浜国立大学 先端科学高等研究院 上席特別教授・東京大学名誉教授)
* 受賞対象: 公益財団法人 服部報公会「報公賞」(工学の進歩に著しく貢献する研究)
橋梁の耐風性や振動制御、そしてモニタリング技術において世界をリードし、構造工学の新しい潮流を主導した横浜国立大学名誉教授・東京大学名誉教授の藤野陽三氏。本記事では、同氏が受賞した「服部報公会 報公賞」の功績と、日本の社会基盤の安全を支え続けた足跡を振り返ります。
1. 服部報公会「報公賞」の受賞と「社会基盤構造安全学」の確立
横浜国立大学の藤野陽三先端科学高等研究院上席特別教授は、工学に関する優秀な研究成果を上げた研究者に贈られる公益財団法人・服部報公会の「報公賞」を受賞しました。
セイコーホールディングスの創業者・服部金太郎氏によって設立された同会は、1931年以来毎年1件のみ報公賞を贈呈しており、1938年にはノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も受賞している由緒ある賞です。今回の受賞では、橋梁分野を中心とした「社会基盤構造安全学の研究とその国際展開」が高く評価されました。
東京・丸の内の日本工業倶楽部で行われた贈呈式に出席した藤野氏は、受賞挨拶の中で次のように喜びを語っています。
「湯川秀樹先生が受賞されたような名誉ある賞を戴けて嬉しく思います。中でも先端科学とはいい難い土木工学の分野に対して賞をいただけたことを大変うれしく思います」
2. 長大橋の発展とともに歩んだ研究者人生
藤野氏は自身の研究者生活を振り返り、次のように語っています。
「1980年代から日本は多くの長大橋を建設していったが、私はその課題を一つひとつ解いていっただけであり非常にラッキーな研究者生活を送らせていただきました。最初は風に対する橋の応答、それから構造を制御する分野に20年ほど携わっておりまして、今は振動を使った監視モニタリングでインフラの安全を守ろうという研究を進めています」
歴代の恩師から「何も命令を受けず、自由に研究をさせていただいたことが今日に至っています」と語る通り、橋などのインフラストラクチャの振動予測と制御、そしてモニタリングの研究において世界をリードし、「構造制御」という新しい分野を確立して構造工学の発展に大きく貢献しました。
【追悼】日本の構造工学を牽引した藤野陽三氏を偲んで
日本の橋梁工学・構造工学の礎を築き、後進の育成や数々の社会的インフラの安全確保に尽力されてこられた藤野陽三氏は、その後も城西大学の学長を務めるなど幅広く活躍されましたが、惜しまれつつもご逝去されました。
日本の土木・社会基盤の安全を長年にわたって守り、世界に誇る技術と理論を構築してこられた同氏の足跡と功績は、これからのインフラ維持管理の未来においても決して色褪せることはありません。
【関連リンク・参考資料】
* (惜別)藤野陽三さん 東京大名誉教授〈構造工学〉・城西大前学長(朝日新聞)
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