道路構造物ジャーナルNET

大規模更新や大型伸縮装置、PC橋の支承交換などを進める

NEXCO中日本桑名 「とにかく補修しまくる」がコンセプト

中日本高速道路株式会社
名古屋支社
桑名保全・サービスセンター
所長

福島 邦夫

公開日:2022.04.22

ジョイント取替 21年度、22年度とも10基で対策進める
 塗替え 21年度は1橋9,000㎡、22年度は対策予定なし

 ――支承取替やジョイント交替およびノージョイント化について
 福島 ジョイントの取替は、伊勢湾岸道の大型伸縮装置を対象にしたもので、2021年度は、計10基を取替えました。22年度も10基の取替を予定しています。


ジョイントの取替状況

 工法は、既設のビーム型ジョイントを切断・撤去し、新たに設計・製作した疲労耐久性を有する鋼製フィンガージョイントを設置するものです。
 ――2021年度の鋼橋塗替え実績と22年度の塗替え予定は。また塗替えに際して新しい技術の活用などがあれば教えてください
 福島 21年度の塗替え実績は1橋約9,000㎡になります。22年度の塗替え予定はありません。但し弥富高架橋は床版取替後に全面塗替えします。剥離剤を用いた塗膜剥離方法以外では、循環式エコクリーンブラスト工法などを採用した実績が東名阪道朝明川橋塗装工事(2020年度)であります。


朝明川橋の塗装状況

土砂災害 名古屋支社管内の災害の半分が桑名に集中
 要となる四日市JCT~新四日市JCTを優先して対策を進める

 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいます。NEXCO中日本でも道路に面する斜面や古い法面、盛り土構造などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがありましたら教えてください
 福島 過去の統計を見ると名古屋支社管内で発生している土砂災害の半分は桑名管内で発生しています。
 当管内の多くは、奄芸層群に分類される非常に脆弱な、サラサラな砂の様な地質にあるため、ゲリラ豪雨や長雨により地山が膨張して生じる法面災害が発生しています。奄芸層群は東名阪道や新名神にかなり広く分布しています。
 2019年9月には新名神四日市JCT~新四日市JCT間において法面崩落や変状が7か所同時に発生するというこれまでに類を見ない災害を経験しました。線状降水帯のような雨雲がいなべ市から四日市市のあたりに累計400mmの雨が集中しました。これが大被害を引き起こしました。
 この復旧のため、外部有識者を構成員に加えた法面検討委員会にて、発生メカニズムや対策工法を検討し、21年7月に復旧を完了しています。


被災した法面の状況

 ――どのような復旧工事を行ったのですか
 福島 吹付け法枠工や切土補強土工、グラウンドアンカー工、水抜きボーリング工などを行い、法面の補強を実施しました。また降雨などの水の供給による新たな崩落の影響を考慮し、水が入らないような施工を実施しました。これにより、長期耐久性を確保し、より安心して通行いただける構造としました。



法面対策状況

 ――今後は
 福島 より災害に強い高速ネットワークにすべく、要となる四日市JCT~新四日市JCTを優先に、今回崩落した現場に類似している切土法面の補強工や水抜きボーリング工を実施していく予定です。現在同区間では湧水が見られる法面の長期安定を確保するため、対策工事の発注に向けた準備を進めているところです。主な工法は、吹付法枠工、水抜きボーリング工を予定しています。
 盛土法面においても、過去に災害履歴のある法面において調査を進めており、22年度いっぱいで調査・設計を終え、順次工事を発注する予定です。工法は調査結果を踏まえて決定していきますが、水抜きボーリング工やふとん籠工を施工する予定です。
 合わせて、法面排水施設についても排水能力の低い排水溝については拡張することで排水能力の向上を行い、法面の強化を行う予定です。

新技術 金属パテで保護シートを活用した鋼橋補修
 プレキャスト床版とジョイントを一体化しての架設も

 ――コスト縮減策または独自の新技術・新材料などの活用について
 福島 東名阪道のリニューアル工事において、①プレキャスト床版とジョイントを一体化しての架設、壁高欄のプレキャスト化、金属パテで保護シートを活用した鋼橋補修などを実施しています。また、急速施工の実現はコスト縮減策に大きく貢献するものであると考えています。

 ――最後に付言して
 福島 「とにかく補修しまくる」の成果も出てきましたが、第一は路面の安全確保を最優先として、その他の補修数削減を行っていきます。休憩施設の拡張に当たっては、今年度一部を完成させますし、引き続き来年度も休憩施設がなくて走り続けるドライバーをなくすために駐車マスを拡幅し続けていきたいと考えています。リニューアルに関しては、1月11日から始めて、至って順調に推移しており、更なる急速施工も検討していますので、それを確認した上で次なるリニューアルに向けて邁進していきます。
 ――ありがとうございました

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