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鉄筋巻上げ対策はバックアップも含め万全の態勢で臨む 改質グースも一部採用

名古屋高速道路公社 高速3号大高線南行をリフレッシュ

公開日:2022.11.30

WJ 水・ガラの飛散防止と削孔深さの管理など安全と品質の両立を求める
 オートチッパーの能力を基本に水による副作用を最大限抑制

 コンクリート劣化部の除去は基本的にWJとしている。時間的制約がある中では全てをWJで施工することは不可能なためパワーツールを併用せざるを得ない。マイクロクラックの発生を最小限にするため、電動ブレーカー(4.5kg以下)の使用を標準として衝撃力を弱め、エアーブレーカーも電動ブレーカーと同等以下の衝撃力となるようにベビーチッパーのみ使用を認めている。


ベビーチッパーの施工(井手迫瑞樹撮影)

 ベビーチッパーとWJの施工の区分訳は1㎡以上の大断面であるか否か、であるが、今回の現場は2012年のリフレッシュ工事において断面修復で補修した範囲が含まれている。以前の断面修復箇所については、少しでも浮きや剥離が生じていれば、当該断面修復部全体をはつり、再度断面修復することにしている。

 WJを用いたはつりの際に懸念されるのが騒音と水である。
 騒音は従来のブレーカーはつりと比べると10dB以上低減するなど飛躍的に改善されている。それでも夜間の施工では、民家やホテルが近い箇所では苦情が出ることがあり、その際は工事を一時中止して説明に走っていた。


水処理が滞ると床版上面に溜まってしまう(井手迫瑞樹撮影)

 施工で生じる水については、床版のひび割れを通じた床版下面からの漏水を防ぐため、使用した水を可能な限り同時回収できること、削孔深さの管理が可能であること、はつり時のガラが飛散しないこと、騒音が最小限に抑制できること、小規模補修へ対応可能であることを要求性能とした。とりわけ大高線の床版は下面にアラミド繊維シートによる補強を設置済みであるため、使用した水を早期に回収し、繊維シートの接着層に悪影響を及ぼさないよう求めている。
 今回は前年度も施工に携わったサーフェステクノロジー(使用WJ機械『オートチッパー』、3台)、フタミ(アクアジェット、同2台)に加え、キクテックのWJ機械(ジェットマスターJMK-2100型、1台)も初めて使用した。サーフェステクノロジーのWJは施工と同時に水を吸引するタイプであるが、他2社のWJ施工機はそうした機能を有さないため、バキューム車を増車するなどオートチッパー相当の処理能力を担保するよう特記仕様に定め、水による副作用を最大限抑制するようにしている。


WJ施工状況(キクテック)


WJ施工(フタミ)


WJ施工(サーフェステクノロジー)

 こうしたはつり作業後、腐食した鉄筋はさびを落とし、防錆剤を塗布し、鉄筋防錆を行った。

断面修復材はリフレモルセットSFとスーパーセットリペアPを採用
 複合床版防水工法に加えて、改質グースアスファルトを使用

 路肩コンクリートの撤去は、走行車線側と追い越し車線側で対応を変えている。走行車線側については、事前に施工したカッターの溝切りにバックホウの刃をかける手法で撤去する。追越車線側については、前年度同様、10mm幅の溝を作成して静的破砕剤『太平洋ブライスター』を流し込み、24時間養生を行い、破砕が進んだのちにバックホウで撤去した。


路肩コンクリートの撤去工

 断面修復材は、ひび割れ含浸プライマー、接着剤を断面修復部全体に塗布した上で、既設床版と静弾数係数が等しい(25N/㎟)低弾性材料の使用を規定した。本現場では第2工区の大部分でスーパーセットリペアP(NIPPO)、第1、3、4工区と第2工区の一部でリフレモルセットSF(住友大阪セメント)が使われている。


スーパーセットリペアPの施工(接着剤『スマートボンドの塗布』)(名古屋高速道路公社提供)


スーパーセットリペアPの施工(断面修復材の打設状況)(名古屋高速道路公社提供)

リフレモルセットSF(接着剤塗布状況)

リフレモルセットSF打設状況

 リフレモルセットSFについては、今年の2月に東海JCT付近のヤードにおいて、1m2以上の大断面においても、初期ひび割れなどの欠陥が生じないかどうか、幅4m×長さ30mの供試体を作り、厚さ20mmの薄層タイプと60mmの鉄筋裏まで打設するタイプで試験施工し、初期ひび割れ、引張およびせん断耐力試験、走行試験(散水車載荷)試験を行い、5mmトップの骨材を入れた同製品では損傷が生じないことを確認している。一方、スーパーセットリペアPも2m×2m程度の供試体で実車載荷を除いた品質確認試験を行っており、損傷が生じないことを確認済みだ。

 次いで床版防水工を施工する。全体で約34,090㎡施工するが、そのうち約21,180㎡でデンカの「デッキコート複合防水工法」、約12,910㎡で三菱ケミカルインフラテックの「ドーロガード工法」を使用している。いずれも、まず床版コンクリート上面及び地覆立ち上がり部までアクリル樹脂系の浸透材を塗布し、次いでその上にアスファルト加熱型塗膜系防水材を設置する工法だ。


複合床版防水工法と改質グースアスファルト

 さらに今回のリフレッシュ工事では、基層と防水工を兼用できる改質グースアスファルト防水も一部で試験採用する。採用箇所は、床版被りが薄くRC床版上の舗装の剥ぎ取りが難しい箇所やポットホールが多数発生している個所で用いた。

 最後に基層(密粒度As(13)改質Ⅲ型-W)40mm、表層(排水性舗装)40mmを舗設した。本現場では端部は立ち上げまで塗膜防水し、成形目地を設置し、防水を実施した。



舗装基層の施工

舗装表層の施工

 元請は第1工区(大57~106、延長1,660m)が中部土木、第2工区(大106~149、延長1,480m)がNIPPO。第3工区(大149~220、延長2,460m)が大有建設、第4工区(大220~358、延長4,550m)が世紀東急工業。一次下請は、舗装工事、外構工事が深谷組など、WJがサーフェステクノロジー、フタミ、キクテック、ショットブラストがフタミ。

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