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パシフィックコンサルタンツ 橋脚洗掘調査技術とBIM/CIMを活用した4D橋梁台帳を目指す技術の開発進める

公開日:2022.06.24

 パシフィックコンサルタンツは、近年、橋梁の維持管理を効率化かつより正確に情報取得できる技術の開発を進めている。同社の開発している技術の中から、今回は、頻発する集中豪雨による災害などから河川に架かる橋を守るため開発した水中ドローンによる橋脚基礎洗掘調査技術と、BIM/CIMを活用した4D橋梁台帳を目指す技術の開発状況を紹介する。(井手迫瑞樹)

水中(潜水)ドローンで等高線状の図面データを作成して橋脚基礎の洗掘状況を確認
 局所洗掘の状況を可視画像としてとらえることが可能

 パシフィックコンサルタンツは、水中ドローンを使った橋脚基礎の洗掘調査技術を開発し実橋で実際に検証・運用した。近年の豪雨などにより、河川内橋脚付近にある澪筋により、基礎周辺に洗掘が生じることで基礎の安定に影響を及ぼす例が多い。そのため水中ドローンを投入し、その洗掘状況を調査したものである。


水中ドローン本体

 水中ドローンは、水深100mまで潜水可能なドローンであり、2~3ノット(1.0~1.5m/s)程度の流れが比較的速い箇所でも水流の影響をさほど受けずに調査することが可能。有線のため万が一の流失の恐れもない。従来、水中撮影等の産業用途が主であったドローンを、橋梁の洗掘調査に活用した。ドローンには4K撮影できる高解像度カメラと水深計測機能、ソナー測距機能が備え付けられている。ドローンが橋脚の四囲を回り、水深計測機能により橋脚付近の各測点の水深を取得することで、等高線状の図面データを作成することが出来、橋脚基礎の洗掘状況を確認することが出来る。さらにある程度、水の勢いと濁度が収まれば、高解像度カメラにより水中撮影することで、局所洗掘の状況を可視画像としてとらえることが可能だ。濁水状況でもソナーにより洗掘深の計測が可能であり、潜水式のため、水面の乱れの影響を受けずに(画像などもぶれず)撮影できるため、従来のドローンの様な風や水流といった自然制約を受けにくく調査が可能である。

水中ドローンによる洗掘調査状況/水中ドローンで撮影した基礎の根入れ状況写真

 河床の等高線データと、別途作成した橋脚の3Dモデルを重ね合わせることで、洗掘状況を3D化して表すこともできるため、橋脚上流側の水衝部に局所的な洗掘が生じているなど、状況を視覚的により的確に把握することが可能だ。


洗掘調査結果(河床等高線の3Dモデル)

 検証した実橋においても、河床が部分的に低下しているものの、ケーソン高に対し、十分な根入れ長が確保されており、基礎の安定については問題ないという測定結果を3D画像化して、明確に示すことが出来た。同橋では、箱尺を用いた人力による計測も行って比較した結果、両者の測定データは非常に高い精度で一致した。
 近年は豪雨災害により、橋の損傷や流失が頻発している。その大きな要因の一つが基礎の洗掘だ。それを未然に防ぐためにも、現状の河川の澪筋がどのようになっているかを知ることや橋脚基礎の洗掘状況を調査することは死活的に重要といえる。それを潜水夫なども含めて人力で時間をかけて調査することはなかなか難しく、また空中ドローンなどで調査するにしても風や水面の状況によっては正確に調査することは難しい。それを「1橋脚辺り数時間で正確に調査できる」(同社)潜水式の水中ドローンによって、短期間に正確に調査できるようになれば、「あらかじめ、現状の洗掘状況を計測・記録し基礎情報を得ておくことにより、災害時にもすぐに供用の可否やその後の対策を行いやすくなり、また、未然に橋梁の流失を防げるようになる」(同社)と期待を寄せている。

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