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中日本高速道路リレー連載⑤

八王子支社管内の構造物の維持管理  国内初 床版更新と外ケーブルによるPC桁補強の併用工法

中日本高速道路
八王子支社
保全・サービス事業部
更新チームチームリーダー

長谷 俊彦

公開日:2015.11.01

②中央自動車道沢底川橋補強工事
 つぎに、中央自動車道(岡谷JCT~伊北IC間)に位置しているPC3径間連続合成I桁橋の大規模補修工事について紹介いたします。本橋は、中間支点上のPC床版の損傷が顕在化したために、詳細調査を行った結果、中間支点上の床版に配置された橋軸方向PC鋼材の腐食等が一部確認されたことから、長期的な耐久性の確保のために床版の大規模な補強・一部取替工事を計画したものです。
 工事については、中間支点上の床版更新と支間中央部の床版補修を組み合わせたもので、PC連続合成桁橋として、床版更新と外ケーブルによるPC桁補強の併用工法は、国内初の取り組み事例となります。



6.今後の事業展開に向けて

 八王子支社管内においては、中央自動車道、長野自動車道を先行して、大規模な更新工事や補修工事を進めていくこととしています。今後は、支社内の全体事業工程について、構造物の健全度評価に伴う優先順位付けや周辺道路ネットワークの整備計画、交通規制による影響度の把握を行いながら、それらを踏まえて、交通規制を含めた施工計画検討等を鋭意実施してゆく予定です。
大規模更新事業を効果的に進めるためには、大規模な範囲における交通規制の計画や、橋梁、土工、トンネルなどの構造物の工事を同一規制内で効率的に実施してゆくなどの工夫が必要となることが求められてきます。特に、八王子支社管内の大規模更新工事においては、交通規制時の渋滞発生時に十分な迂回路線が確保しづらいという事情もあるため、渋滞発生が予測される工事では、事前の広報活動や事業PRを幅広く組織的に展開してゆく必要があります。
 また、特定更新等事業の実施については、今後、高速道路の他路線においても、同様の時期に複数の大規模工事が計画されてくることから、規制計画の広域的な調整が必要となることが考えられます。そのために、関東圏域の道路管理者およびNEXCOグループ会社、中日本高速道路社内での規制工事実施時期の調整が必要不可欠と考えられます。

7.最後に

 特定更新等事業に関しては、大規模な交通規制が伴い社会的な影響が大きいために、お客様や国民の皆様にご理解とご協力を得ながら進めて行く必要があります。NEXCO八王子支社におきましても、これらの対応策を第1に考えながら、事業を確実に進めて行くための事業計画や工事計画の策定において工夫を加えるとともに、実施体制の強化や連携スキームを向上させながら、事業を進めて行きたいと考えています。

 

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