8.今後の更新事業の進め方・検討課題
今後、大規模更新等事業の実施に向けては、以下に示すような課題の解決に取り組む必要がある事から、引き続き、国等の関係機関との連携を密にして対応を進める事としている。
① 社会的な影響の軽減
大規模更新や大規模修繕を実施する場合、交通規制による渋滞の影響も予想される事から、交通量や利用状況など路線特性を勘案のうえ、渋滞の影響が大きい場合には、例えば、環状道路などの高速道路ネットワークの完成による渋滞の影響の軽減や、工期短縮の為の工法開発など、高速道路利用者や周辺社会への影響を軽減するための方策を検討する事が重要である。
② 技術開発の推進
大規模更新及び大規模修繕を合理的かつ効果的に実施する為には、既存技術の有効活用に加え、新たな技術開発が重要である。必要な技術については、前述の「工期短縮の為の工法開発」に加え、維持管理・更新全体プロセスの効率化の為の、「点検の信頼性向上の為の非破壊検査・機械化・自動化」、「劣化予測技術」、「ICT等を用いたモニタリング技術」、「耐久性の高い補修材料、工法」などの技術開発等、総合的な取り組み重要である。
③ 人材の確保・育成
大規模更新及び大規模修繕事業を確実かつ円滑に実施する為には、保全事業に係る業務マネジメントシステムの強化が必要であり、具体的には、人材の確保・育成、点検に係る研修・資格制度の整備などが重要である。
9.終わりに
高速道路は、最初の整備から50年を経過した。50年を経過しその社会的な役割は一層重要になっていく。高速道路の大規模修繕事業は今後も高速道路が社会的な使命を全うするために必要な措置であり、高速道路会社としては、それを着実に実施することにより社会の期待に応えていく所存である。今後とも、高速道路ご利用のお客様、沿線住民の皆様、そして大規模更新等事業に従事していただく皆様のご理解とご協力・ご支援を賜りながら事業を進めてまいりたいと考えている。
【関連記事】
東日本高速道路 維持管理リレー連載⑥ NEXCO東日本の橋梁に関する更新事業の概要
西日本高速道路の人づくり
阪神高速道路とNEXCO3社が更新計画を報告
阪神高速道路 事業期間はおおむね15年を想定 大規模更新・大規模修繕は約3700億円