徳島道付加車線事業 速度低下率の高い区間を施工
土成IC~脇町IC 土工 が6.7km、橋梁0.8km
――次に付加車線事業について
浦 徳島道は平成27年3月の鳴門JCT~徳島ICの開通により四国4県都が、高速道路により3時間以内で結ばれたことにより、さらなる地域の発展や文化の交流、地域の連携に寄与しています。付加車線設置事業は暫定2車線道路が抱える安全性や走行性、大規模災害時の対応などの課題に対処するため事業を進めています。
まず、土成IC~脇町IC付加車線事業7.5㎞については、工事の最盛期を迎えています。
同区間は縦断線形の中でサグを有し、そこで速度低下を招いている状況です。
他の4車線化事業と共通する課題ですが、供用路線が近接していることから、目隠しネットや仮設防護柵を設けてお客さまへ配慮するとともに、関係機関や地元住民の皆さまにご協力いただきながら、工事の影響が最小限となるように、着実に工事を進めています。
――構造物延長は
浦 土工 が6.7km(89%)、橋梁0.8km(11%)となっています。全区間で工事に着手しており、下部工はほぼ完了しており、土工及び上部工の施工をしています。
――同区間は下部工から作るのですか。それとも既設路線で4車線化を前提とした下部工が作られているのでしょうか
浦 概ね下部工から建設しました。一部で、下部工(橋台)が建設済みの区間もありました。
――基礎施工時の近接する既設基礎対策はどのように行っていますか
浦 矢板による締切り、深礎及び全周回転杭工法の採用により、地盤を緩ませず付加車線部の基礎を建設する手法を採用しています。
別埜谷橋 世界初のPC単径間非鉄製バタフライウェブ箱桁橋を採用
長峰高架橋 Ⅰ期線を用いて200t吊クレーン2台による夜間相吊施工
――同区間には別埜谷橋がありますね
浦 同橋は橋長27.5mと小規模ですが、世界で初めてPC単径間非鉄製バタフライウェブ箱桁橋を採用しました。同形式は、弊社と三井住友建設が共同開発したいわゆる『超高耐久橋梁(Dura‐Bridge)』です。構造的特徴としては、設計基準強度80N/㎟の高強度繊維補強コンクリートを使用し、さらにPC鋼材の代わりにアラミドFRPロッドを使用している点です。鉄筋やPC鋼材に替わり、腐食しない新材料による緊張材として用いた「非鉄製」材料を用いているため、高い耐久性能が期待できます。
別埜谷橋橋梁一般図/完成予想パース
バタフライウェブ/架設状況(井手迫瑞樹撮影)
4月中~下旬から上部工を架設開始しています。夜間に特車で運搬し、昼間に架設しました。
――同形式は床版防水工が不要になると思いますがいかがでしょうか
浦 将来的には不要と考えておりますが、本橋については高速道路の本線橋として初採用となることから現在検討中です。
――その他の橋梁は
浦 長峰高架橋(117.0m、PC4径間連結コンポ桁)、長光寺谷川橋(108.0m、PC3径間連結コンポ桁)、伊沢谷川橋(89.5m、PC2径間連続箱桁橋)、たちばな谷第一橋(45m、PC単純箱桁橋)、井出口高架橋(363m、鋼7径間連続合成少数鈑桁橋)を計画しています。すべて上部工を施工中です。井出口高架橋は、Ⅰ期線は1+2径間の鋼鈑桁と7+6径間のRCホロー桁でしたが、スパンを飛ばすため全径間鋼桁にしています。
――どのように架設していきますか
浦 井出口高架橋はクレーン+ベントで架設していきます。
PC箱桁は、2橋とも支保工を用いて架設していきます。コンポ桁も長光寺谷川橋は架設が始まっており、ほぼ終盤の状況です。長峰高架橋も4月13日から2週間と5月末~6月中旬の2週間、計4週間夜間通行止めの上、架設を始めます。
長峰高架橋の架設状況 夜間、供用線側に2台のクレーンを配置し、桁を相吊りして架設した(井手迫瑞樹撮影)
同橋は架設ヤードがないため、Ⅰ期線の上に200t吊クレーンを2台据えて相吊りで、毎日1ブロックずつ架設しています。橋面上で幅員が限られているため、吊り上げ荷重の分散からアウトリガーに補助支点がある特殊なクレーンを採用しています。同橋はオリエンタル白石が架設します。
脇町IC~美馬IC 測量設計が進む
橋梁はスパンが長くなる傾向
――もう一つの付加車線事業は
浦 脇町IC~美馬IC間4.8㎞です。同区間は測量設計中です。
――橋梁形式や橋長はⅠ期線に準じますか
浦 Ⅰ期線はRC中空床版橋などがあり、現在の基準や技術で考えるとそぐわないと考えます。そのため橋梁型式は全て見直します。山の中にある路線のため、進入路の確保が重要です。(進入路を減らすためにも)飛ばしたいと考えています。
――阿波スマートICの建設について
浦 徳島方向へのON/OFFの新たなハーフICとして阿波市と共同で事業を進めていきます。現在は、地元協議を終え、阿波市の方で測量調査を契約して実施中です。
――ICの構造は
浦 コスト縮減のため、ランドアバウトで計画しています。盛土と、現在の設計では一部でランプ橋を予定していますが、精査して土工でいければと考えています。20年前の設計で現場も木が生繁っていましたが、伐採して再測量するとよい地盤が出てきたため、精査した上で構造を決めたいと考えています。
――鋼橋の防食上の工夫は
浦 本線を跨ぐ鋼橋については、溶射を防食の基本としています。
――新規事業化された土成IC~脇町IC7.7kmの付加車線設置事業について
浦 令和2年3月末に事業許可がなされ、本事業が完成すれば土成ICから脇町IC間18.8kmが全線4車線で走行が可能になります。許可が出たばかりであり、具体のスケジュール等は今後精査していきます。
――ありがとうございました
(2020年5月25日掲載)