管内最長の施工中橋梁は野口高架橋の753m
未着手含むと水尻高架橋の818mが最長
――他のIC間の橋梁については
北川 管内最大の施工中橋梁は、野口高架橋の753mです。形式はPRC5径間連続ラーメン2主版桁、PRC5+5+6径間連続ラーメン2主~3主版桁橋、鋼4径間連続合成少数鈑桁となっています。未着手では水尻高架橋(拡幅)が818mで鋼・PCの複合橋梁となっています。
――完成2車線の4車線化は本当に大変ですね
北川 前述したICランプ橋の撤去もそうですが、その他の本線橋の架設においても、暫定2車線ならば土工部は4車線で切盛しているため、そこを使って桁を送り出しできますが、今回の場合はそうした送り出しも、架設ヤードとして土工部を概成させなければできないため、また、ひと手間がかかります。
桁端部は基本的に延長床版を採用 一部でSCBR工法も
工期短縮のため20m程度でもREED工法を用いる
――構造的特徴は
北川 桁端部は基本的に延長床版を採用しています。このほかにも、有田南ICのONランプ橋では合成床版を採用、矢田第三橋ではSCBR工法を採用しています。
下部構造は山田高架橋でREED工法を採用する予定としており、福田組が担当しています。ピア高は20m(実際にREEDで施工するフーチング天端からの高さは10~12m)程度ですが、橋脚工期を短縮するために採用しました。
山田高架橋製作予定地付近(湯浅IC ONランプ桁を撤去後、当地に建設する)の現場も撤去桁の離隔がほとんどなく、厳しい施工条件となっている(井手迫瑞樹撮影)
――施工上の工夫としては
北川 野口高架橋で、上部工の足場に飛躍的に施工安全性を高めることのできるクイックデッキおよびクイックパネライトを試行的に採用しました。
野口高架橋で用いたクイックパネライトの外観とクイックデッキ内部(左:井手迫瑞樹、右:大柴功治 撮影)
――海に近い個所や山間を通る(凍結防止剤を散布する)個所もありますが、エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用はありますか
北川 原則、地覆や壁高欄部において採用しています。
――基本的にラインはセパレートですよね
北川 そうです。
――海岸線からの距離は
北川 近い個所もありますが、湯浅御坊道路及び阪和道というのは、海から少し離れた高台に建設されています。特に南海沖トラフ地震が起きた際には、国道42号やJR紀勢本線が浸水するという想定があり、その緊急輸送道路として大きな機能を期待されています。
完成2車線の4車線化区間はOVも撤去して再設置
跨道橋の防食はAl-Mg溶射を採用
――ランプ以外の完成4車線化の阻害要因は
北川 跨道橋です。2車線の長さで作っているので、4車線跨ぎの長さで造り直さなければなりません。湯浅御坊道路及び阪和道のうち、有田南IC~南紀田辺IC間は2車線(対面通行)ですので、春と秋に定期的な夜間通行止め(各10夜間)を行い、道路の維持修繕工事を行っています。その夜間通行止めを使って、跨道橋の架け替えも行っていますが、撤去と架設を同一の夜間通行止めでは施工ができないことから、例えば春の夜間通行止めで撤去を行い、同年秋の夜間通行止めで架設を行うなど、撤去と架設の時期をずらして施工を行っています。なお、対象の跨道橋は4橋あり、そのうち、3橋は架け替え済で、1橋は使われていない跨道橋ですので令和2年春の通行止めで撤去を予定しています。
オーバーブリッジ撤去施工ステップ/オーバーブリッジ撤去施工写真
オーバーブリッジ架設概要図/同架設状況写真
――撤去した形式に要した時間は
北川 斜πラーメンや中空床版桁などです。撤去に要した時間は、平均して6夜間程度です。撤去は事前にプーリーを入れるための孔をコアドリルで削孔しました。ワイヤーソーイングによる本格的な切断は、夜間通行止めを行ってから施工しました。上部工だけでなく、斜材の撤去も行い、壁高欄→中央径間主桁→単径間主桁(両端部)→斜材の順に施工しました。
――撤去に使ったクレーンは300t吊とOV撤去にしては大型のものを使っていますね
北川 切断する時間が限られていますので、できるだけ大きなクレーンを用いて、吊荷を大きくし、切断する面を少なくし、効率的に撤去しようと考えました。撤去ブロックの最大重量は38.4tに達します。
――架け替えは
北川 3夜間程度です。
――新しい跨道橋の桁種類は
北川 鋼複合ポータルラーメン橋や鋼床版箱桁を採用しています。中間部に橋脚がある跨道橋は、春~秋の時間を使って橋脚を建設しました。跨道橋の防食は金属溶射(Al-Mg溶射)を採用しています。
――跨道橋の橋台部は高さを上げたりしなかったのですか
北川 しませんでした。
――なるほど。そのためクリアランスを確保するためにも、上部工を鋼桁にして桁高を低くしたわけですね
北川 そうです。
――これだけの路線があと2年の工期ですか。大変ですね
北川 実際は2021年末に4車線化を完成させなければなりません。そのためには、Ⅰ期線の改修工事を行う必要があることから、先行してⅡ期線側の施工を完了させて、車線切替を行い、Ⅱ期線側の一部に交通を振る必要があります。今後も4車線化完成に向け、鋭意、努力してまいります。
阪和道4車線化区間 みなべ高架橋660mなど9橋
青垣内山トンネルなど3か所のトンネル
――阪和道暫定2車線区間の4車線化事業について
北川 阪和道の4車線化事業では2橋(669m)、3トンネル(1,456m)を施工しています。現在の進捗状況(令和元年12月末時点)について、橋梁は2橋とも下部工を施工中、トンネルは2トンネル掘削中となります。施工的に厳しい個所はありません。
完成供用予定は湯浅御坊道路と同様に2021年末としています。
北塩屋高架橋(下部工)の施工状況
青垣内山トンネルの坑口状況/同トンネルの切羽状況
インバート工施工中の塩屋トンネル/施工中の御坊トンネル
――付加車線事業は
北川 付加車線事業では7橋(1,669m)、1トンネル(380m)を施工しています。現在の進捗状況について、桁架設を完了しているのは3橋、架設中が4橋で、長大橋ではみなべ高架橋(660m、PRC7+8+8径間連続ラーメン2主鈑桁橋)、南部川橋(371m、PRC6+5径間連続ラーメン2主鈑桁橋+鋼5径間連続ラーメン2主鈑桁橋)などがあげられます。また、印南ICの南側に印南トンネルがありますが、すでに貫通しております。