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大規模更新事業も湊町と湊川で着手

阪神高速道路 4つの建設事業と西船場JCTの改築事業を進める

阪神高速道路
建設・更新事業本部
副本部長 兼 建設・更新総括部長

仲 義史

公開日:2019.06.26

堺線の湊町付近と神戸線の湊川付近に着手
 湊町付近 鋼製フーチングをRCと複合化することにより造り替え

 ――大規模更新事業について現状を
 仲 最初に事業着手しているのが、堺線の湊町付近と神戸線の湊川付近です。
 ――湊町付近大規模更新対象の構造物の概要は
 仲 同区間の構造物は1972年に供用され、47年が経過しています。地下街の構造物に支持されることから軽量化を図るため鋼製フーチングを7橋脚9基で採用していました。しかし、地下水位上昇により鋼製フーチングの腐食が進行していることから事業の対象として選定されています。技術提案交渉方式で昨年12月に契約を行い、鴻池組が受注しています。現在、詳細設計を実施しています。


15号堺線(湊町付近)の損傷状況と更新計画

 ――意外と損傷が大きくなかったと聞いています
 仲 当初は、受桁設置による更新を計画していましたが、既設の鋼製フーチングと新設のコンクリートとの複合構造に更新することによって長期耐久性を確保できるということで、そのような設計をしています。
 ――鋼製フーチングのなかにコンクリートを注入するのでしょうか
 仲 注入するのではなく、鋼製フーチングを取り込んだ形でRC巻き立てを行い、鋼コンクリート複合構造に造り替えます。
 ――巻くというのはどのようなイメージですか
 仲 地下函体のある下面を除いて新たに設置するコンクリートボックスと鋼製フーチングを一体化して、鋼コンクリートの複合構造物を新たなフーチングにします。


鋼コンクリートの複合構造物を新たなフーチングに(内空幅1.0mを確保)

 ――内空幅1.0mを確保する理由は
 仲 維持管理空間として、点検者が入れるようにするためです。
 ――鋼材の板厚とコンクリートの巻き立て厚は
 仲 鋼材の板厚は最大46㎜、コンクリートの巻き立て厚は300mmです。
 ――地下街への影響は
 仲 施工中はまったく影響がないというわけではありませんが、土をコンクリートボックスに置き換え地下街に与える荷重を増加させないなど、その影響を低減させるよう詳細設計を行っています。
 ――土を掘削して、函体を露出させ、そこにコンクリートで巻き立てて、埋め戻すというイメージですね
 仲 そうです。年度内には設計を完了して、それから工事契約となります。
 ――腐食部はブラストして再塗装を行うのですか
 仲 行います。施工可能なところは金属溶射をする予定です。

湊川付近 中間橋脚を新たに7基設置
 橋脚設置後、上部工を取り替える

 ――神戸線の湊川付近は
 仲 現在、工事の発注手続きを行っています。
 ――具体的な大規模更新内容は
 仲 今回の発注は、国道相互の交差点や運河渡河部などにより橋脚間距離が長いため、径間長を短くするための中間橋脚を7基設置する工事となります。


3号神戸線(湊川付近)の損傷状況と更新計画

 ――橋脚を増やして、できるだけ疲労損傷を減らすということですね。現行の上部工構造形式は
 仲 工事対象の橋梁は3径間連続鋼箱桁橋です。
 ――箱桁の鋼床版で損傷が出ている?
 仲 支間長が長いことと、大阪万博に間に合わせるために国道2号の限られた道路敷地内に、桁高や基礎をコンパクトな構造で整備したことが疲労き裂の要因となっています。
 ――支間長は
 仲 3径間連続鋼箱桁橋が上下線各2連(226m+188m)あり、最長径間で約85mとなります。P585~591が対象で、東尻池交差点区間については検討中です。


中間橋脚を設置する

 ――中間橋脚設置以外は
 仲 計画段階では、下部工を補強して上部工を取り替える予定でした。増杭をしてフーチング増設を計画していましたが、地下埋設物との関係で難しく、中間橋脚設置は下部工補強の替わりとなります。それを行ってから、次のステップである上部工を取り替えます。
 ――中間橋脚を設置しても上部工を取り替えなければならない状況ですか
 仲 そうです。
 ――取替えというのは桁と床版ですか
 仲 一体で取り替えます。現時点での検討では、鋼床版厚を現在の12mmから16mmにすることになります。
 ――桁高は
 仲 まだ詳細な検討はしていませんが、縦断線形があるので変更は難しいと考えています。

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