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2023年新春インタビュー③ NEXCO西日本 新名神京都 本線工事を全面展開、橋梁上部工工事も進展

西日本高速道路株式会社
関西支社
新名神京都事務所
所長

松本 崇

公開日:2023.01.01

総延長約2.8kmの城陽高架橋は本線部3橋、JCT部1橋に分けて施工
 本線橋は鋼橋24径間中6径間、PC橋32径間中9径間の架設が完了

 ――城陽JCT・ICまでの市街地に架かる城陽高架橋は総延長約2.8kmとのことですが
 松本 本線部3橋、JCT部1橋に分けて施工しています。本線部は東側から城陽第一高架橋(A1~P6)、城陽第二高架橋(P6~P39)、城陽第三高架橋(P39~P45)で、JCT部が城陽西高架橋(P45~木津川P1(城陽P56相当))です。
 城陽第一高架橋は橋長390.5mの鋼6径間連続細幅箱桁橋です。城陽第二高架橋は橋長1,432mで、P6~P30とP35~P39がPCプレキャストセグメント箱桁橋、P30~P35が5径間連続(鋼・PC混合桁+PCプレキャストセグメント箱桁)橋となっています。城陽第三高架橋は橋長374.5mの鋼6径間連続細幅箱桁橋、城陽西高架橋が橋長599.5mの鋼11径間連続鈑桁橋です。鉄道や城陽JCTを跨ぐ周辺部分が鋼橋で、それ以外がPC橋となっています。


A1側からの城陽高架橋

橋梁一覧③

 ――全体の下部工および上部工の施工状況は
 松本 下部工は橋台・橋脚117基中、96基が完成しています。本線橋は鋼橋24径間のうち6径間、PC橋32径間のうち9径間の架設が完了しました(上下線を一体としての施工状況)。

城陽第一高架橋 JR奈良線と国道24号を跨ぐ桁の送出し架設は完了
 下部工は6車線対応のために増杭と橋脚の拡幅が必要

 ――城陽第一高架橋の進捗状況は
 松本 JR奈良線と国道24号を跨ぐP4~P5径間の桁を先行して架設しています。JR西日本に委託して、下り線は2022年1月、上り線は同年8月に完了しました。支間長が85mと長く、ヤードも確保できなかったため、軌条設備を構築したうえでP5側からの送出しで施工しました。送出し桁は106.6m、手延べ桁は72mです。


P4~P5径間の送出し架設

下り線の送出し架設

 ――6車線での架設ですか、それとも4車線ですか
 松本 4車線での架設となっています。拡幅をしなければならないのですが、下部工も4車線対応で構築していて、増杭と橋脚の拡幅をしなければなりません。4車線での工事の進捗を見ながらJR西日本との協議を実施し、6車線化の実施を行っていきます。
 ――下部工を6車線構造にした後、拡幅はどのように行いますか
 松本 桁をもう1本架設したうえで床版を拡幅しますが、そのための準備はしてあります。拡幅する鉄道上の鋼橋部は同様で、鋼桁に拡幅桁との横桁接続用の仕口を設置しているほか、合成床版および常設足場については、側面パネルを取り外し拡幅時に接続できるように構造を検討しています。また、施工面では左路肩の壁高欄をプレキャスト壁高欄に変更していることや、床版では一部を打ち残し、将来の取り壊しを最小限にするなどの工夫を行なっています。
 ――その他の径間の架設は
 松本 P5~P6とP3~P4はトラッククレーンで架設します。A1~P3は民間会社の敷地にかかっていてクレーン架設が不可能なので、A1側からの送出しを予定しています。


城陽第一高架橋(右側)と城陽第二高架橋(左側)

城陽第二高架橋 PC橋部はプレキャストセグメントを採用して施工性と品質を向上
 鋼桁部の拡幅は工事契約済み 2023年春から着手

 ――城陽第二高架橋のPC橋部は
 松本 PC橋部の事業用地には城陽警察署と城陽市消防本部が立地していましたので、工事着手前に移転をしてもらいました。城陽警察署は現物補償として当社にて新築および撤去工事を実施しています。


城陽第二高架橋

城陽警察署と城陽市消防本部の移転

 PC橋はプレキャストセグメントになっていますので、現場にセグメントを搬入後、交差条件によってトラッククレーンもしくは架設桁架設で架設しています。
 ――プレキャスト部材を採用した理由は
 松本 直線橋であたったためと、品質と工程を考慮しました。
 ――セグメントの寸法と重量は。また、製作にあたっての工夫は
 松本 セグメント長が1.65m、桁高3m、上床版幅10.945m、下床版幅7mで、重量は約30tです。製作では、ロングライン方式を採用しています。1径間または1/2径間分の固定式製作台を用意し、型枠を移動しながらすべてのセグメントを連続的に製作する方法です。これにより、形状管理が容易になるとともに、脱枠後に既設セグメントを移動する必要がなくなります。


プレキャストセグメント

施工状況

 ――城陽第二高架橋の鋼・PC混合桁部は
 松本 近鉄京都線の前後がPC桁で、同線を跨ぐ箇所が鋼桁となっています。鋼桁は2020年6月(上り線)と7月(下り線)の2夜間で一括架設を行いました。アルミ合金製常設足場(製品名「Cusa」)を設置した状態で、1,250t吊クローラークレーンを用いて架設しています。城陽第一高架橋P4~P5と同様に4車線で架設していますので、今後、拡幅をします。


近鉄奈良線上空の桁架設

 ――拡幅方法は城陽第一高架橋と同様ですか
 松本 そうです。ただ、常設足場が設置済みとなっていますので、一旦解体してから、桁をもう1本増やすことになります。下部工の6車線構造への対応は完了していて、工事契約もしていますので、2023年春頃からベントの構築を開始します。
 ――PC橋部の下部工は
 松本 すべて4車線構造となっています。そのため、拡幅が必要ですが、4車線で架設後に橋脚にストラットをつけて張出床版を施工する方法を採用しています。これで下部工の補強はしなくてすみます。

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