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明神山トンネルが貫通 双海橋は仮設道路完了し、下部工施工中

2022年新春インタビュー④ NEXCO西日本 愛媛 伊予IC~中山SIC間が全面展開

西日本高速道路株式会社
四国支社
愛媛工事事務所
所長

渡邉 浩延

公開日:2022.01.24

 NEXCO西日本四国支社愛媛工事事務所は同支社愛媛高速道路事務所から橋梁の耐震補強事業を主とした改築事業と伊予IC~中山スマートIC間の伊予市双海町上灘~同市三秋間約6.3kmおよび内子五十崎IC~大洲IC間の一部約4.4kmと中山スマートIC~内子五十崎IC間の一部約9.7kmの4車線化等事業について引き継ぐ形で新しく創設された事務所である。その詳細について、渡邉浩延所長に聞いた。

4車線化事業と約160橋に及ぶ耐震補強を担当
 7課58人体制で令和3年7月に発足

 ――管内の地勢的特徴と高速道路網の現状
 渡邉 愛媛工事事務所は、東温スマートIC(以降、SIC)新設事業、伊予IC~中山スマートIC間の伊予市双海町上灘~同市三秋間約6.3kmおよび内子五十崎IC~大洲IC間の一部約4.4kmと中山スマートIC~内子五十崎IC間の一部約9.7kmの4車線化等事業と今治湯ノ浦IC改築事業及び約160橋におよぶ橋梁の耐震補強工事を行う事務所として新設されました。これから事業を効率的に行うために、新たに建設事業と改築事業を専属的に実施することを目的に工事事務所として開設したものです。
 ――耐震補強事業も工事事務所が担うのは珍しいですね
 渡邉 四国支社管内では、高松道の4車線化を主業務としていた高松工事事務所が、4車線化完成後に、耐震補強工事の業務を所掌した例があります。工事事務所が耐震工事を所掌した事例は当事務所で2例目となります。
 ――人員体制は
 渡邉 NEXCO西日本の社員が22人、協力会社を含めると総勢58人の体制です。総務課、工務課、用地課、改築課(耐震補強、スマートIC、IC改築)、工事区(4車線化)の7課体制となっています。
 ――人員は充足状況にありますか
 渡邉 現在の状況を考えれば充足していますが、4車線化等事業の進捗により体制強化が必要になってくると考えています。事業化された区間において、現在は設計を進めている区間も工事が進んでくると体制の拡充が必要になってきます。また、安全安心計画の対象区間において、今後の事業化の状況によっては、体制強化の必要が出てくる可能性があります。

構造物はトンネルが約2.6km、橋梁が約0.7km
 明神山トンネルが貫通 橋梁下部工が進捗

 ――先行して4車線化を進めている伊予IC~中山スマートIC間の一部(伊予市双海町上灘~同市三秋間)約6.3kmの構造物ごとの延長は
 渡邉 土工が約3.0km(約48%)、トンネルが約2.6km(約41%)、橋梁が約0.7km(約11%)です。橋種比率は、鋼橋が約500mで約71%、PCが約200mで約29%となっています。構造物内訳としては明神山のトンネル工事、東峰工事、双海橋など橋梁の上下部工事を実施しています。同区間は工事が全面展開しております。
 ――今年度および来年度、着工および施工中、完成予定の橋梁・高架、トンネルは
 渡邉 まず、管内最大の構造物である明神山トンネルから申し上げますと、延長2,545mが11月に貫通しました。掘削方法は発破掘削及び機械掘削です。
 ――南坑口近くの掘進方法はNATMですか
 渡邉 そうです。地山が柔らかい箇所の掘削は爆破ではなく、機械掘削も併用しました。

明神山トンネル 覆工コンクリート養生にモイストキュア工法を採用
 上灘川橋は仮桟橋工が完了し、下部工が本格化

 ――なぜそうした掘削方法を採用したのですか
 渡邉 掘進出口付近の南坑口(柆野(くいの)地区)付近が地滑り地域に該当します。分厚い崩積土のところにトンネルが顔を出してきます。地盤の中の劣化が進んでいるため、岩盤が弱くなっている部分が長い区間に渡っています。そのため機械掘削で施工を行い、坑口付近も対策をしながら掘削を行いました。南坑口の地滑り対策としては、φ550mmの抑止杭を4か所に90本打設しています。杭長は最大で30mを超えます。その他に集水ボーリングも数か所で施工しています。

明神山トンネル南坑口対策図(NEXCO西日本提供、以下注釈なきは同)

 家屋がある下側に2期線の坑口が出てきますが、竹林化しており、愛媛県も地滑り防止区域に指定されています。同地は1期線の時も地滑り防止対策を行っています。1期線では集水ボーリング、抑止杭の施工を行っておりますが、2期線でも1期線と同様な対策を行いました。

抑止杭施工状況/モイストキュア工法設置状況

 ――トンネルの覆工コンクリート養生対策については
 渡邉 モイストキュア工法を採用しました。型枠脱型後に1週間程度覆工コンクリート表面を養生シートで覆って外気と遮断した密閉空間を作り、この空間内を超音波加湿器で高湿度の状態に維持するシステムです。
コンクリートの急激な乾燥や温度低下を防ぐことで、ひび割れの発生を大幅に抑制し、トンネルの品質や耐久性を向上させることができます。

 ――トンネルを抜けた後の構造物、切盛土区間は
 渡邉 明神山トンネルの南坑口の先には上灘川橋の2期線が建設されます。同橋は橋長339.5m、幅員9.31mの鋼単純非合成細幅箱桁+鋼5径間連続非合成2主鈑桁橋(いずれもPC床版)です。双海橋と明神山トンネルの間に位置しています。

明神山トンネルの南坑口と上灘川橋の2期線建設予定箇所(井手迫瑞樹撮影)
 架設については送り出しと、仮橋上からのトラッククレーン+ベント架設で計画しています。下部工(全部で7基)は柱式橋脚、橋脚基礎は大口径深礎、橋台基礎は深礎杭です。最も高いP4橋脚は38.5mに達します。上灘川橋は谷地形に面しており下部工も仮桟橋を施工しないと建設できません。A1橋台及びP5橋脚では、工事用資材の搬入のための愛媛県道221号の拡幅、明神山トンネル南坑口付近から仮桟橋を設置することで、初めて施工に取り掛かることができました。
 ここから少し南側に下がっていくと、(双海橋2期線に向かう)工事用道路がありますが、双海橋の上部工に用いるワーゲンの資材等の運搬のため、上灘川橋の下部工の施工と並行して仮桟橋を延伸しています。最終的には双海橋のA2側へ、12月末には仮桟橋を到達させることができ、同橋の下部工工事が本格化する予定です。

双海橋方面に伸びる桟橋(井手迫瑞樹撮影)

 上灘川橋は、A1深礎、P5大口径深礎を施工中です。橋脚の施工は枠組み足場で行います。また、上灘川橋の下部工の大部分に架かる東峰地区にも地滑り地帯があり、先行して抑止杭の設置を半分程度完了した段階で、下部工の施工を開始し、残り半分の抑止杭は引き続き設置していきます。

上灘川橋施工現場空撮状況

東峰工事の切盛土施工

 ――上灘川橋と双海橋の間にある双海地区の地滑り地帯については
 渡邉 双海地区の地滑り地帯は、地滑り地帯での施工も考慮した対策として、グラウンドアンカーによる補強を計画しています。この場所もアンカー施工を行う進入路がなく、仮桟橋を延伸して、アンカーを施工する必要があります。

地滑り地帯が多い

全体空撮写真(明神山トンネル南坑口、上瀧川橋、東峰工事、双海橋の建設現場、上図と左右が逆だが、合わせてみると地滑り地帯の位置がわかる)

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