新幹線、在来線、私鉄、高速道路を横過
NEXCO西日本新名神大阪西 延長4.4kmも日本の大動脈を跨ぐ難工事を担当
有馬高槻断層帯が高槻高架橋の橋脚間にあると想定
落橋を防止するため橋脚の天端幅を左右合計6m広げる
――他に特徴は
徳田 特徴的な点として、有馬高槻断層帯を背にしていると考えています。神戸の有馬~宝塚~高槻まで走っている断層なのですが、それと新名神が交差している個所が高槻高架橋のP15とP16の間にあると想定しています。社内で間断なく高速道路の機能を維持できるような強い新名神を作っていこうということで、大規模地震の検討会を作って、対応策を検討し、その結果から現構造に反映しています。その内容は鋼11径間が連続している上部工になっているので、P8~A2までの11径間の上部工が最大3mずれても上部工が落橋しないように、橋脚の天端幅を左右合計6m拡げておくというものです。桁が落ちる手前で桁変位拘束ブロックを置いておくことも行っています。
支承から桁が落ちると段差ができますのでそうならないように下部工の橋軸方向側の端部に支承と同じくらいの高さのコンクリートブロックを構築して、支承から横ずれして落ちても、桁がコンクリートに支えられて下に落ちない段差防止構造を設けています。
――NEXCO西日本コンサルタンツが開発した簡易段差防止構造を取り入れることはないのですか
徳田 高槻高架橋の設計は、簡易段差防止構造が開発される前でしたので今のところ考えていません。
――混合桁ということですが、かけ違い部の耐震的な対策としてなにか考えていますか
徳田 鈑桁と箱桁のかけ違い部はP8に位置しますが、対策としては同じです。
――ピア高は
徳田 高槻高架橋は35mから最大で47mに達します。成合第一、第二高架橋は26mから最大で58m(成合第一高架橋P4橋脚)に達します。
高槻高架橋の橋脚高は35mから最大で47mに達する(井手迫瑞樹撮影)
成合第一、第二高架橋は26mから最大で橋脚高58m(成合第一高架橋P4橋脚)に達する(井手迫瑞樹撮影)
――橋脚の構造は中空ですか、密実ですか? また施工は昇降式移動型枠などを使いますか
徳田 全ての高架橋とも基本は中空構造です。
昇降式移動型枠の採用は今のところ考えていません。近くで型枠を組んで、クレーンで足場上に揚げて打設していくというオーソドックスな方法を考えています。
専ら下部工は4車線で設計 梶原トンネルは問題なし
成合第一高架橋は4車線で閉合して6車線に張出し
――6車線化対応はどのように考えていきますか
徳田 設計も発注も4車線前提で行っていましたが、6車線化の許可を受け、暫定4車線の開通を目指しながら手戻りが生じないよう6車線構造で作っているところです。
梶原トンネルは幸いにも坑口施工までたどり着いていなかったので、4車線断面を6車線断面に変える設計を進めています。設計完了後6車線断面で掘進していきます。
現名神梶原トンネル付近の仮桟橋設置工事状況(左写真、SqCピア工法を採用)
供用中の名神高速道路の間にも仮桟橋を設置する予定だ(右写真は供用中の名神高速道路)
成合第一高架橋は、先ほど申し上げました通り既に建設が終わっている橋脚があります。ここは将来6車線対応を見据えた4車線でしか想定していませんので4車線での上部工を想定した移動支保工の荷重ないし施工中の荷重しか橋脚には見込まれていません。そのため上部工は一旦4車線で建設し、その後6車線に拡幅させるというやり方をせざるを得ない箇所が一部出てきます。
――一部は、ということは最初から6車線で上部工を造れる場所もあるということですか
徳田 当初から加減速の補助車線が考慮されていた箇所などでは最初から6車線で上部工を施工できます。それ以外の箇所は張出床版をストラッド(PC)で支える形で拡幅します。
ストラッドで支えるイメージ
――足場を考慮しても大変な作業ですね
徳田 大変な作業です。本来は一発で移動支保工を用いて造りたいのですが……。どれだけ力学計算しても一発で完成6車線の断面を移動支保工で製作できないことが確認されました。大口径深礎から作り直すことも正直考えましたが、開通までの速さを考慮すれば4車線で製作した後、6車線に拡幅する方が速いということになり選択しました。一部加減速車線が入っているため、拡幅部分が三角形になる個所もあります。
拡幅は、まだ供用していない状況で行うので(先行4車線で建設した)上部工を活用して施工します。ストラッドの設置は拡幅台車による施工を予定しています。
――4車線で施工する際に、足場用の孔を付けておいた方が良いですね
徳田 そういう工夫は当然やっておきます。
新しい工法・材料に躊躇なく挑戦
極力メンテナンスフリーになるような構造物を後世に遺したい
――鋼橋の防食上の工夫は
徳田 国道や名神の上はAl-Mg防食、新幹線や私鉄、JR在来線の上は常設足場というのが基本方針ですが、個別詳細については相手のあることでもあり、今後詰めていきます。
――波型鋼板ウェブの異工種の取合い部の防食上の工夫については
徳田 Al-Mg溶射で計画しています。
――床版防水についてグレードⅡが主体であるとは思いますが、改質グースアスファルトなど新しい防水工法は考えていきますか
徳田 現状ではグレードⅡが基本です。ただ新たに実績が出てきている技術が優位であることが確認されていけば、躊躇なく取り入れようと思っています。
――コンクリートの防食について、剥落防止や桁端部の劣化防止などの対策をどのように考えていますか。またトンネル壁面の劣化対策としての含浸材塗布などは考えていますか
徳田 桁端部塗装は当然行います。トンネル壁面のコンクリートの耐久性向上における含浸材の使用についても検討内容として入れていきたいと思います。
――トンネルや橋梁で遠隔立会ということが出てきていますが、そうした手法をどのように考えていきますか
徳田 取り入れていくべきだと思っていますし、新しい生活様式の現場版というものは、こういうものだと考えます。実際に成合第一高架橋の大成・極東興和・村本JVの現場で遠隔立会にチャレンジしています。
具体的には「Live On」を使って簡単な遠隔立会を試行的に行っている状況です。
――西日本高速道路和歌山工事事務所の川辺トンネル工事の現場では遠隔立会およびタブレットと外付けカメラを使って、タブレット上で検査できるものを作りました。例えばシステムの中で、覆工厚を確認し、タブレット画面上で承認ボタンを押すと、それがWebにアップデートされて自動的に写真と調書が出てくるようなものです。梶原トンネルではそうした試みを行うことはありませんか
徳田 梶原トンネルの施工会社は川辺トンネルと同じく清水建設です。同社からも川辺トンネルで行った取り組みをさらに発展させていきたいという旨を頂いており、協力するとともに他の事業者にも積極的に紹介していきたいと考えています。
NEXCO西日本和歌山工事管内 川辺第二トンネルでの取組み
――最後に今後の課題について
徳田 新しい工法・材料に躊躇することなくチャレンジし、100年、200年先まで大過なく使うことのできる新名神高速道路を提供していきたいと考えています。今後は人口が減少する中で老朽化対応を行わなくてはなりません。極力メンテナンスフリーになるような構造物を後世に遺していきたいと考えています。
――ありがとうございました