高架橋工事では下部工施工が進展
NEXCO西日本 新名神大阪東 淀川渡河部は最大支間長210mのエクストラドーズド橋
発進・到達立坑は地中連続壁の施工が完了
シールドマシンが直接発進・到達できる工法を採用
――トンネル区間の現況は
森脇 枚方トンネル工事は2020年末に契約し、設計中です。発進・到達立坑の施工を美濃山西工事で行っています。地中連続壁の施工は完了して、内部掘削に着手しています。連続壁はH鋼で構築していますが、シールドマシンが通過する部分はFFU(Fiber reinforced Foamed Urethane)という部材を採用しています。硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で強化したものですが、シールドマシンが直接FFUを切削して発進(到達)することができますので、土留め壁の開口作業が不要で安全性に優れています。
発進・到達立坑の施工状況とFFUの施工
――立坑の深さは
森脇 約40mです。
――上下線各1本、合計2本のトンネルをどのように掘削していきますか
森脇 上り線を掘削して、西側坑口の回転立坑でシールドマシンを反転させて下り線を掘削する計画です。
――外径は
森脇 17.4mとなります。
――地質はどのようなものでしょうか
森脇 大阪層群と呼ばれるもので、粘土層と礫砂層が互層になっているものです。
――トンネルの上は住宅地になると思いますが
森脇 住宅地に加え、工業団地もあります。
――土被りはどのくらいになるのでしょうか
森脇 最大で約35mとなります。
――施工にあたって住宅地や工業団地への対応は
森脇 詳細はこれからですが、近隣住民の方にしっかりと説明をしてご理解をいただきながら事業を進めていきます。
高架橋は樟葉高架橋と淀川東高架橋の2橋
京阪本線を跨ぐ箇所の下部工を先行して施工
――西側坑口からは掘割と擁壁盛土があって、その先が高架橋となっているとのことですが、高架橋までの工事は
森脇 回転立坑と換気所のトンネル施設工、シールドトンネルにつながる約70mのボックスカルバート工、掘割・盛土工を枚方工事として行います。また、同工事では高架橋の橋台2基と橋脚18基の施工もしています。
枚方工事の全景
――高架橋の下部工まで含むとなると工区はどこまでになりますか
森脇 淀川左岸に京阪本線とそれに並行して府道京都守口線が通っていますが、京阪本線手前の橋脚までが工区となります。
――現在の施工状況は
森脇 下部工の施工を先行して行っています。また、トンネル部では開削してボックスカルバートをつくっていきますので、市道長尾船橋線を切替える必要があり、その付替え道路の整備を2020年10月までに完了しました。今後、逆T擁壁と地中連続壁の施工を予定しています。
――高架橋の橋長、上部工形式は
森脇 高架橋は2橋となります。市道楠葉中宮線交差部から京阪本線の手前に利根川という川がありますが、その川を渡河したところまでが樟葉高架橋で、橋長約260mのPRC8径間連続(箱桁+4主版桁)混合橋です。
利根川から淀川河川内の管理用道路までが淀川東高架橋で、橋長459mの鋼7径間連続合成桁(箱桁+鈑桁)混合橋となります。
――枚方工事で下部工を施工しているのは
森脇 淀川東高架橋の橋脚のうち4基が京阪本線と府道京都守口線よりも東側にあり、樟葉高架橋の橋脚とあわせて、その4基も枚方工事で施工しています。具体的には、淀川東高架橋のP1橋脚とP2橋脚となります。
なお、京阪本線と府道京都守口線を超えた淀川東高架橋の西側区間の橋脚6基は、淀川東高架橋(下部工)工事として施工しています。
――枚方工事での下部工施工状況は
森脇 樟葉高架橋のA1橋台、P1橋脚以外の基礎工事は完了しており、準備工および躯体構築に着手しています。淀川東高架橋のP1橋脚は躯体構築が完了し、P2橋脚の躯体構築を行っています。京阪本線を跨ぐ架設がありますので、先行して橋脚を構築しています。
枚方工事の下部工現況(樟葉高架橋P7・淀川東高架橋P1・淀川東高架橋P2)
――基礎形式は
森脇 樟葉高架橋は全周回転式オールケーシング工法での場所打ち杭で、淀川東高架橋は鋼管ソイルセメント杭です。
――樟葉高架橋の上部工については
森脇 発注準備中です。構造上の特徴としては、近隣に住居が密接していますので、延長床版を採用して、騒音の低減の図ることにしています。
マスコンクリートの品質管理を図る
――淀川東高架橋西側区間の下部工の施工状況は
森脇 橋脚6基のうち5基が完成していて、1基が施工中です。淀川河川区域での施工ですので基本的に非出水期のみの施工となったことと、河川敷で営業しているゴルフ場との調整を図ったうえで工事を進めていきました。
――基礎は枚方工事で一部施工している淀川東高架橋東側区間と同じ鋼管ソイルセメント杭ですか
森脇 そのとおりです。
――採用の理由は
森脇 樟葉高架橋も同様ですが、経済比較となります。
――河川内ということで根入れは深いのですか
森脇 淀川東高架橋の河川内の杭長は一番深いところで約15mとなっています。
――橋脚の構築にあたってコンクリートの品質確保での取り組みがありましたら教えてください
森脇 上下線一体の下部工構造になっていますので、マスコンクリートとなっています。コンクリートプラントも1箇所だけでは間に合いませんでしたので、規模に応じ2~4箇所使用しました。そのため、品質管理を受注者と協力しながら行いました。
――具体的にどのようなことを行ったのでしょうか
森脇 温度応力解析です。
――打設時に配慮した点は
森脇 通常の品質管理と同様ですが、レイタンス処理には気を使いました。
淀川東高架橋下部工の現況(手前からP4~P8)
――上部工については
森脇 契約中で、これから桁製作を開始します。
――京阪本線を跨ぎます。架設はどのように行いますか
森脇 京阪本線横過範囲は京阪電鉄に工事を委託して送出し架設を行います。それ以外は、トラッククレーンベント架設です。