岡谷高架橋 全国初となるPC箱桁橋の大々的なリニューアル工事
勝沼工事ではFCB盛土により橋梁を土工化
――そのほかの高速道路リニューアルプロジェクトについて。中央道・岡谷高架橋改良工事は
湯川 岡谷JCT~岡谷IC間の岡谷高架橋ほか5橋のPC箱桁改良と、鋼橋床版取替1橋(約1,000m2)、耐震補強6橋などの工事です。PC箱桁橋の大々的なリニューアル工事は全国で初めての案件となります。PC鋼材の健全度評価を行い、補修を行いますが、難度の高い技術を採用することになりますので、発注方式に技術提案・交渉方式を採用しています。現在は改良工事に先立って、調査を進めている段階です。
岡谷高架橋
――具体的な施工内容は
湯川 PCグラウトの注入状況を確認して、健全度に応じて再注入も想定されます。さらに、外ケーブルの補強も損傷状況によっては考えていかなければなりませんし、外ケーブルによるモニタリングなども選択肢になります。しかし、先に対策工法を考えるのではなくて、調査結果を精査したうえで決めていきたいと考えています。
――中央道の大月IC~勝沼IC間の日川橋改良工事は
湯川 支社管内においては代表的な有ヒンジラーメン橋で特に留意すべき橋梁です。中央ヒンジ部に漏水などで損傷が発生していて、構造解析で連続化することを考えています。対策は、外ケーブルで柱頭部の隔壁をサポートアンカーにして連続化します。また、耐震補強の必要性の有無を検討したうえで、必要に応じて対応を行っていきます。
日川橋
――中央道・中野橋床版取替工事は
湯川 上野原IC~大月JCT間に架かる鋼3径間連続トラス橋で、下り線左ルートの床版取替(約2,000m2)を実施します。トラス橋ですので、施工時の荷重のかけ方を注意しなければなりませんので、配慮しながら設計を進めています。
同橋は左右ルートに分かれている箇所にありますので、下り線を通行止めにする必要がなく、あまり交通障害を与えることなく施工ができることは安全面では恵まれた橋梁です。
中野橋
――中央道・三鷹高架橋補強等工事は
湯川 横桁が取り付く主桁補剛材の溶接部に疲労によるき裂が発生していますので、当板補強を行います。あわせて、塗装塗替えを約22,000m2で実施します。
――公告中や公告予定のリニューアルプロジェクトで特徴のあるものは
湯川 長野道・鎖川橋他1橋床版取替工事では、鎖川橋(RC単純中空床版+鋼3径間連続鈑桁橋+鋼単純鈑桁橋)で中央分離帯側と路肩側を拡幅して車線幅を確保しながら施工する計画を立てています。
――既存の4車線を活かしながら施工するのですか
湯川 4車断面を確保して施工することになります。上下線の拡幅を行って、下り線2車、上り線1車として、上り線側は1車線を供用しながら半断面で施工していく形です。
そのほか、2020年度第3四半期公告予定の中央道(大月IC~勝沼IC)の勝沼工事では、祝橋(橋長204m)をFCB盛土(約50,000m3)で土工化することを計画しています。同橋は急峻な斜面に位置する橋梁ですが、下に大きな交差物がなく、土工化が可能です。これにより、工事規制期間を床版撤去時と舗装時だけの期間とすることができるとともに、今後の維持管理でも省力化が図れます。
土工化する祝橋
――祝橋の土工化では、どのように橋梁を撤去していくのか施工計画が決まっていたら教えてください
湯川 FCB盛土をした後に床版と桁の上フランジのみ撤去し、桁のその他部分は埋め殺しとする計画です。施工は、平日のみの昼夜間連続車線規制として土日祝の休日は交通開放します。
――高速道路リニューアルプロジェクト全体を通して
湯川 比較的交通量の少ない路線では片側対面通行で計画していますが、おもに都市圏近郊の重交通路線区間でも工事に着手することになりますので、一層厳しい状況下で施工していかなければなりません。お客様のご迷惑を最小限とする取り組みをさらに進めて、ご理解とご支援をいただけるように、迂回方法などの情報提供、さらなる安全対策に万全を尽くしていきたいと思います。具体的には、ハード面では仮橋による付加車線設置や床版の施工を車線ごとに行う車線分割工法の採用、ソフト面ではブルートゥースによる情報提供に加えて、過去データの分析による正確な交通予測の提供などを行っていくことを考えています。