道路構造物ジャーナルNET

床版取替工事で渋滞抑制の取り組みを実施

NEXCO中日本八王子支社 中央道の2区間で付加車線設置事業に着手

中日本高速道路株式会社
執行役員
八王子支社長

湯川 保之

公開日:2020.10.13

高速道路リニューアルプロジェクト 7件18橋の工事が契約済み
 弓振川橋床版取替工事では昼間に車線規制を解除可能な新工法を採用

 ――高速道路リニューアルプロジェクトについて、これまでの実績と2020年度の施工予定を教えてください
 湯川 これまで橋梁では、中央道の諏訪南IC~諏訪IC間で2橋(小早川橋(下り線)、弓振川橋(下り線))、岡谷JCT~伊北IC間で2橋(平出高架橋(上り線))、天竜川橋(上り線)調布ICランプで2橋の合計6橋で床版取替工事が竣工済みです。


小早川橋(下り線)/弓振川橋(下り線)/平出高架橋(上り線)の床版取替工事(弊サイト掲載済み)

天竜川橋(上り線)/調布ICランプ橋の床版取替工事(弊サイト掲載済み)

 トンネルでは中央道・辰野トンネルの補強工が竣工済みで、土構造物では岡谷JCT~伊北IC間の盛土改良1箇所、切土改良8箇所、勝沼IC~甲府南IC間で切土改良6箇所の工事が竣工済みとなっています。
 現在は、橋梁の床版取替や桁補強など7件18橋の工事が契約済みとなっており、施工中の工事が「三鷹高架橋補強他工事」(鋼桁補強工・塗装塗替え)と「弓振川橋床版取替工事」の2件、詳細設計中が「多摩川橋床版取替工事」など5件です。
 今年度は、橋梁の床版取替等の工事(「鎖川橋床版取替工事」)を1件発注済み、3件の公告を予定しています。また、長坂IC~小淵沢IC間の排水構造物更新工事も1件公告予定です。


八王子支社の高速道路リニューアルプロジェクト一覧

 ――諏訪南IC~諏訪IC間の弓振川橋では、御社と大林組が共同開発した新たな床版取替工法を採用していると聞いています
 湯川 将来を見据えて新たな床版取替工法を開発し、2020年6月1日~7月17日に弓振川橋(上り線)の一部区間(面積120m2)で試験施工を行いました。長期間の車線規制をともなう床版取替工事での渋滞を極力減らすために、交通量の少ない夜間に1車線規制で施工し、昼間は交通開放できることが新工法の大きな特徴となっています。


弓振川橋(上り線)床版取替試験工事

 施工方法は、夜間に1車線規制を行って移動式床版架設機で既設床版の撤去と仮設床版を設置、翌朝に仮設床版の状態で車線規制を解除、再度夜間に1車線規制で仮設床版撤去と新設床版設置となります。これにより、昼間は2車線を確保することができ、工事渋滞を大幅に抑制することが可能となります。また、建設業界の働き方改革という意味で、工事期間中でも土曜日や日曜日に工事休止日を設定して、2車線で開放するということもできます。このような特徴がある新工法をとくに管内の中央道の都市内圏域などの工事で活用できないかを目的に試験施工を行っています。
 6月~7月の試験施工では1車線規制ではなく、下り線を対面通行規制にして行いましたが、9月から同橋(上り線)の残りの部分約270m2を1車線規制で施工しています。


弓振川橋(上り線) 試験施工時

弓振川橋(上り線) 1車線規制での施工

 弓振川橋は、RC4径間中空床版+鋼単純鈑桁橋+RC6径間中空床版となっており、鈑桁部の床版取替以外も中空床版部の床版打替えを進めます。

 ――試験施工でわかったことや気を付けるべき点は
 湯川 詳細な結果はまだ公表していませんが、新たな方法である移動式床版架設機と仮設床版が妥当であることは確認されました。また、2車断面を1車断面として工事を進めるわけですから、作業員の方やお客様に対する安全対策は重要課題として考えています。
 ――具体的に考えている安全対策は
 湯川 お客様への工事情報の提供とともに、異常車両があった時に即座に知らせる対応など、どのようなことができるかをこれからさらに確認していきます。

多摩川橋床版取替工事 東京都内で初となる本格的なリニューアル工事
 中央分離帯部に仮橋を架設することにより4車線を確保

 ――中央道・多摩川橋床版取替工事は都市部での工事となります
 湯川 東京都内での最初の本格的なリニューアル工事です。国立府中IC~八王子IC間に架かる多摩川橋は橋長378mの鋼3径間連続鈑桁橋で、上下線の床版取替を行います。交通量が極めて多い区間ですので、現在の4車線を確保しながら工事を進めていきます。
 工法としては、中央分離帯を拡幅して上下線の全幅員を使って車線切り回しを行うことで4車線を確保して、分割施工をします。同橋の橋脚は上下線共用のT型橋脚で天端を中央分離帯部に使える構造になっていますので、そこに仮橋を架けることで拡幅が可能になります。



多摩川橋全景/上下線共用のT型橋脚。中央分離帯部に仮橋を架設する

 ――全長にわたって、中央分離帯を拡幅できる構造になっているのですか
 湯川 そうです。橋梁部分は全長で拡幅をして、土工部で車線の切り回しを行う計画です。現在、橋梁の詳細設計と河川協議、規制協議に基づく施工計画を慎重に進めています。
 ――計画している工程は
 湯川 中央分離帯に仮橋設置後、上下線の幅員を現行3,600mmから3,250mmにして上下線追越車線側の約2/3の床版を取り替えます。その後、中央分離帯部の仮橋と上り線側に上下線を切り回して下り線側の残りの床版を取替え、次に上下線を施工が完了した下り線と仮橋に上下線を切り回して、上り線側の残りの床版を取替えます。

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