道路構造物ジャーナルNET

3つのLIFEを念頭に置き阪神高速の発展に邁進

阪神高速道路・吉田光市新社長インタビュー

阪神高速道路株式会社
代表取締役社長

吉田 光市

公開日:2020.09.03

阪神高速先進技術研究所に名称変更
 本社内にデジタル技術戦略室を設置

 ――阪神高速道路における業務のデジタル化について
 吉田 本年4月に阪神高速道路技術センターを改組し、7月に名称変更を行い阪神高速先進技術研究所を設立しました。
 また、同じく7月に本社の中にデジタル技術戦略室を設置しました。デジタル革命は、高速道路事業や我々の仕事の仕方に大きな影響を与えます。また、建設も保全もデジタル化によって現場を良くしていく必要があります。とりわけ阪神高速先進技術研究所はアンテナを高くして、これまで使ったことのないシステム、素材、付き合ったことのない業界、やったことのない仕事の仕方に積極的にチャレンジしていってもらいたいと考えています。この両組織には、阪神高速グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)の司令塔的役割、横串的機能を果たしていくことを期待しています。

 デジタル化の両輪『Hi-TeLus』と『COSMOS』 

 ――阪神高速のデジタル化対応技術としては『Hi-TeLus』と『COSMOS』がありますね
 吉田 『Hi-TeLus』は阪神高速道路・工事情報等共有システムの略で、工事・業務契約等における「連絡・調整」や「書類作成・取り交わし」の手段・方法を抜本的に見直し、原則全ての手続等をシステム上で電子的に実施することで、高度化・効率化を図るシステムです。私も先ほど申し上げたように入札制度改革に官側の立場として関わりましたが、その中でも現場の負担を軽くしてほしいという要望は大きなものがありました。


Hi-TeLusのシステム概要及びコンセプト

 現場では設計変更の協議や細部の確認などを含めて、たくさん書類を作る必要があります。技術者として入ったのにモノづくりじゃなくて書類づくりだとぼやく声も聞こえてきました。発注者も忙しいため、施工者が相談してもレスポンスが悪くなりがちでどんどん現場の工期が遅れてしまうことがありました。当時から書類の簡素化やワンディレスポンスは叫ばれていましたが、Hi-TeLusはそうした要望に対応できるシステムと言えます。


Hi-TeLusのホーム画面/工程の共同管理/共有フォルダ

 新型コロナで我々の仕事もテレワーク化が進みつつありますが、これは働き方を変える機会でもあります。当社の社員間だけでなく、施工会社の職員との連絡や打ち合わせもHi-TeLusを通じてできるようにしたことで、ワンタッチレスポンスが可能となり、書類仕事も大幅に縮減することができています。更に、これをBIM/CIMなど様々な拡張ツールに接続し、発展していければと考えています。


Hi-TeLusの書類の電子化と書類区分/申請画面イメージ

Hi-TeLusの導入効果

 ――その意味では『COSMOS』が非常に期待できそうですね
 吉田  COSMOSは、阪神高速道路に関連する複数の管理事業情報を集約・統合し、地図上での可視化・重ね合わせを可能にするGISプラットフォームです。本システムは世界測地系の緯度経度の他、構造物の管理番号、キロポスト等といった位置情報に関する互換性を持っていることから、様々なデータの地図上での重ね合わせ表示が可能となっています。

 これにより、様々なシステムが持つ膨大なデータから必要な情報を抜き出し可視化することで、分析作業の効率化・高度化が期待できます。本システムを活用し、構造物の効率的な維持管理や交通管理の高度化など、幅広い分野における情報共有と新たな価値の創造に取り組んで参ります。

 ――ありがとうございました
(2020年9月3日掲載)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム