日交通量は約3万台 暫定2車の中でも1、2を争う交通量
NEXCO西日本佐世保工事 佐々IC~佐世保大塔IC間16.9kmを4車線化
西日本高速道路 九州支社
佐世保工事事務所
所長
池田 宰 氏
鋼箱桁、鋼鈑桁、PCT桁などを架設
床版端部ごと既設壁高欄を切断撤去後、WJで端部鉄筋をはつり出す
――桁形式は
池田 鋼箱桁部、鋼鈑桁部、PCT桁部の3橋種があります。下に道路などの制約が比較的少ない箇所ではPCT桁を採用しています。
――既存桁と繋げる方法は
池田 床版端部ごと、既設の地覆高欄を撤去して端部の鉄筋をWJではつりだし、新しい鉄筋とエンクローズ溶接で既設主筋とをつなぎ、拡幅部を現場打ち施工して一体化します。既設壁高欄も簡易に撤去できるようにプレキャスト部材で建設されています。
鋼床版箱桁部も一部にあり、既設鋼床版とのラップは高力ボルト接合で行います。
本線からしか施工できない部材も
――架設方法は
池田 夜間通行止めの日数も多くなることから、県道を規制して施工するか、本線上を規制して施工するか、警察など関係機関と協議を進めたうえで決めようと考えています。
――本線からの施工も考えておられるのですね
池田 県道からはクレーンの旋回半径が取れず、アウトリガーをいっぱいに取ると歩道・植栽へのクレーン配置となり、信号、標識および電線共同溝等が支障となることから、本線からの架設を行う必要があります。その場合、夜間通行止め(20時~翌6時)が長期に亘って生じてしまいますので現在関係機関との協議を行っています。当地は昼間に比べ夜間交通量が極端に落ち込むという特性を有しており、昼間規制より夜間規制のほうが周辺交通への影響が少ないというわけです。秋の定例の夜間通行止めを、通常維持管理で行っているわけですが、さほど周辺の渋滞は起きていません。
この工区の製作および架設工事は、令和2年度に発注する予定です。
海上部の橋梁 基礎形式は鋼管矢板ウェル
橋脚の防食性能に配慮しエポ鉄筋を採用予定
――佐世保高架橋の中には海上部に位置している橋梁(474m)もありますが、同じような中央を利用した2車線運用なのですか
池田 海上部に位置している橋梁は、片側2車線で運用しており、もう片側に基礎から2車線分の橋梁を建設します。
――基礎形式は
池田 仮桟橋を設置して、鋼管矢板ウェルで基礎を構築します。1期線はPCウェルでした。
――橋脚はRCですよね
池田 はい。
――どのようなコンクリート防食を採用されますか
池田 エポキシ樹脂塗装鉄筋の採用を検討しています。かぶりコンクリートへの表面含浸材の塗布等についても現在検討中です。
上部工は鋼連続箱桁
1期線は開断面箱桁 2期線は検討中
――上部工形式は
池田 鋼連続箱桁を採用します。
――図面を見ると、国土交通省が建設した1期線は開断面箱桁ですね。2期線も開断面箱桁で予定しているのですか? それなら鋼床版ではなく合成床版なのでは。細幅箱桁に変えるケースも散見されますが
池田 1期線はそうですね。ただ、2期線は構造を検討中です。というのも同地は重点景観計画区域に指定されており、大きな構造変化は採りにくいという事情があります。
真申川橋 40m超のハイピア、125.5mの最大支間
橋長360mのPC4径間連続ラーメン箱桁橋
――丘陵部は
池田 市街地部とは異なり、通常の片側2車線の新設です。海側の車線は完成形になっていますので、山側を切り広げて拡幅していきます。
――管内図を見ると橋梁が8橋ありますね。長大橋も多くなっています
池田 特徴的な橋梁の1つが真申川(まさるがわ)橋です。
橋脚高は柱頭部含め最大で40.7mあり、管内で一番のハイピアとなる橋長360mのPC4径間連続箱桁橋です。片持ち張出工法により施工していきます。中央径間は125.5mに達します。桁高は支点部で8.5m、支間中央部でも3.5mに達します。
――1期線と合わせる形でPC箱桁にするというのは分かるのですが、古い絵を見ると波形鋼板ウェブでも検討されていたようですね。今風に考えるとバタフライウェブという案はないのですか
池田 (苦笑)、基本詳細設計は固まりつつありますので、施工者提案という形はあるかもしれませんが、今のところはオーソドックスかつ1期線と同じPCラーメン箱桁形式を考えています。
――基礎形式は
池田 比較的地盤が良いため、直接基礎を基本に、必要な箇所は大口径深礎を用いています。
口石大橋 1期線構造から一部を鋼桁に変更
中空床版から連結コンポ桁に
――真申川橋以外の特徴的な橋梁は
池田 口石(くちいし)大橋(565m)があります。1期線はPCの中空床版および連結合成桁、T桁を採用していましたが、2期線では橋脚配置も見直した上で、鋼箱桁およびPC連結コンポ桁を採用する予定です。起点側の2径間の連続鋼箱桁については、送り出しでの架設を計画しています。
――ピア高が低い箇所では、どのような工法を用いていますか
池田 基本的にはオールステージングによる現場打ち施工です。口石大橋のコンポ桁は門構により桁を架設します。
――市街地部のような床版や桁のプレキャスト施工は考えていますか
池田 前述のコンポ桁はプレキャストですが、その他丘陵地の橋梁では、基本的に現場打ちによる施工を採用する予定です。
鋼橋防食 2期線は検討中
弓張トンネル 3月から工事が始まる
――押並べて海岸に近い箇所に線形が位置しており、さらに海上にある橋梁も一部ありますが、海上部の防食方法はどのようなものを採用されますか
池田 1期線は通常の防食塗装を採用しました。2期線は、設計を担当している(株)日本構造橋梁研究所と検討中です。
――弓張トンネルの進捗状況は
池田 3月1日に工期が始まったばかりの段階です。受注したのは五洋建設(株)・(株)不動テトラJVで、弓張トンネルの工事のほか、切土11万㎥、小野橋のA1、A2とP1~P4及び竹辺2号橋A2の下部工事も同トンネル工事の中で施工していただきます。
――弓張トンネルの施工方法と施工上注意しなければいけないことや施工上の特徴は
池田 発破による掘削が主となりますが、土被りが薄い東側坑口部は一部機械掘削と制御発破にて施工を行います。また、トンネル本坑や避難連絡坑施工時には供用線に振動の影響が及ばないよう、計測等を行いながら慎重に進めていきます。
――他、入札予定などは
池田 3月末に下本山工事の入札を行いました。相浦中里ICの佐々側(北西側)の延長約1kmの切盛土(約10万㎥)および相浦川橋の橋台・橋脚など3基を施工する内容です。また、2020年度第1四半期は、沖新高架橋他1橋(鋼上部工)工事を発注する予定です。約3千tの鋼桁製作および架設です。
――全体の供用予定は
池田 2024年度以降順次供用を目指して工事を進めています。
――比較的余裕はありますね
池田 それほどでもありません。令和3年度中に構造物を全て発注しないとスケジュール的にタイトになると考えています。
――ありがとうございました