事業区間の構造物比率は60%、工事の進捗率は61%
NEXCO中日本沼津工事事務所 5連の連続高架橋のうち3連にUコンポ橋を採用
中日本高速道路株式会社
東京支社
沼津工事事務所
所長
川上 哲治 氏
柳島高架橋・湯船高架橋 基礎にニューマチックケーソンを採用
――柳島高架橋は
川上 上りが6径間、下りが7径間のPCラーメン波型鋼板ウェブ箱桁橋です。基礎が河川の際となる箇所があり、地下水が多いところではニューマチックケーソンを3基採用して、残りは大口径深礎杭と場所打ち杭となります。また、支間長が最大135mから最小60m弱と変則的なので、波型鋼板ウェブPC橋を採用しました。尾根部の橋脚と土工部の施工にあたっては、河川部の工事用道路と施工ヤードの高低差対策のために、インクラインを採用していることも特徴です。インクラインは長さ70m、幅15mのものを設置しています。
――基礎の深さは
川上 ニューマチックケーソンでは最大34mとなります。河川地形で水位が高く、水量も多くなっています。さらに堆積層が約30m続いていますので、その深さが必要となります。
――進捗状況は
川上 ニューマチックケーソンは3基とも完了しており、現在は上部工の張り出し架設を行っています。
柳島高架橋
ニューマチックケーソン施工
――湯船高架橋について
川上 上り8径間、下り7径間の、柳島高架橋と同じラーメン波型鋼板ウェブ箱桁橋です。地質も柳島と同じような堆積層で、ニューマチックケーソンが3基あります。ほかは、大口径深礎杭と場所打ち杭になります。基礎工と下部工を展開中で、ケーソンは1基が完了間近となっています。大口径深礎杭と場所打ち杭についても施工中です。
尾根部の現場へのアクセスが難しく、名古屋側から山間部の町道を改良整備し工事用道路としてアクセスしています。
湯船高架橋
湯船高架橋施工状況
谷ヶ山トンネル 今年4月に県境に到達
工事用トンネルを200m掘削
――県境の谷ヶ山トンネルについて
川上 延長は上り線2,721m、下り線2,748mとなりますが、県境までの上り線1,586m、下り線1,622mの掘削を沼津工事事務所が担当しています。2016年11月から上り線、2017年1月から下り線の掘削を開始して、県境への到達式を4月上旬に開催しました。
県境への到達式
インバートと覆工コンクリートの打設を進めており、インバートは約9割、覆工コンクリートは約7割りの施工が完了しています。掘削土はおもに御殿場ICの盛土に使用しています。
――施工上の特徴は
川上 現場へは国道246号からアクセスしますが、そのために林道を改良して2車線の工事用道路を構築しました。さらに、工事用道路から坑口に到達するために、作業用トンネルを約200m掘削しています。
――掘削にあたって課題などはありましたか
川上 坑口から少し先で沢の下をくぐります。出水が心配されましたが、うまく切り抜けて、約2%の下り勾配ですが、排水対策を着実に行って、きれいな坑内環境を維持しながら順調に掘り進めました。
谷ヶ山トンネル坑口
谷ヶ山トンネルの工事用トンネル(左側)と本坑施工状況
――鋼橋の防食は
川上 鋼桁部はすべて重防食(C-5)で施工しています。
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川上 高性能床版防水を採用しています。御殿場地域は雪寒地域ですので凍結防止剤の散布量も多くなります。塩害対策で壁高欄はエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用し、一部間に合わなかった箇所は被覆を行う対策しています。
――新材料・新商品の採用はありますか
川上 御殿場ICのカルバートには、地域との景観調和を図るため、アーチカルバートを2箇所で採用して、場所打ちで施工しています。
――付言して
川上 地形や地質などの不確定事項で工程が遅延したり、作業が中断する時には、我々発注者が対策を素早く決定して、受注者の手待ちを生じさせない方向で、工程促進を図っていきたいと考えています。今後は、不確定リスクは少なくなっていきますので、安全管理はもちろん、より着実に工程を管理していきたいと思います。
――ありがとうございました
(2019年9月24日掲載 聞き手=大柴功治)