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平成30年7月豪雨からの復旧

2019新春インタビュー④ NEXCO西日本中国支社 中国道と広島呉道路では砕石盛土でのり面再構築

西日本高速道路株式会社
中国支社
保全サービス事業部長

久米 富美男

公開日:2019.01.01

被災箇所は全20箇所
 そのうち、重篤被災箇所は7箇所

 ――管内の被災箇所数を教えてください
 久米 全部で20箇所(下記表参照)となります。道路別では、山陽道が9箇所、中国道が4箇所、岡山道が3箇所、広島呉道路が3箇所、米子道が1箇所です。


NEXCO西日本管内の高速道路の被災状況(9月21日17時時点)

 そのうち、重篤被災箇所は山陽道の本郷IC~広島東IC間で5箇所、中国道北房IC~新見IC間の1箇所、広島呉道路坂南IC~天応西IC間の1箇所です。山陽道では高速道路区域外からの土石流が本線に流入したことにより重篤な被災にいたりました。中国道では本線の盛土のり面の崩落が発生し、広島呉道路では本線盛土が崩壊しています。
 重篤被災箇所以外では、山陽道の山陽IC~岡山IC間および本郷IC~河内IC間の下り線で上下線のトンネル坑口間の自然斜面崩落にともなう本線への土砂流入が発生したほか、切土のり面の崩落による土砂の本線流入が、中国道の北房IC~新見IC間(上り線)および東城IC~庄原IC間(下り線)、岡山道の賀陽IC~有漢IC間(上り線)、米子道の湯原IC~蒜山IC間(上り線)で発生しています。さらに、岡山道の岡山総社IC~賀陽IC(上り線)で高速道路区域外の切土のり面崩落による土砂の本線流入、広島呉道路の仁保IC~坂北IC(下り線)で高速道路区域外の渓流から土石流の本線流入などが発生しました。いずれも規模はそれほど大きくありませんでした。
 ――重篤被災箇所以外での応急復旧対策は
 久米 切土法面の崩落にともなう本線への土砂流入がほとんどでしたので、基本的には脆弱土砂の撤去と大型土嚢の設置や仮排水等の対応を行っています。

山陽道 本郷IC~広島東IC間の排出土量は20,000~30,000m3
 トンネル内土砂撤去では除雪車と散水車を使用

 ――重篤被災箇所での応急復旧対策について伺います。山陽道本郷IC~広島東IC間は
 久米 本郷IC~広島東IC間(約40km)では、区域外(渓流)から土石流や流木の本線流入が多く発生しました。本区間全体での排出土量は20,000~30,000m3に上りました。被災箇所が広範囲に点在していたことから、被災状況把握と応急復旧計画の立案にはドローンを活用しています。


河内IC~高屋JCT間の被災状況

本郷IC~河内IC間の被災状況

高屋JCT付近(左)と高屋JCT~西条IC間(右)の被災状況

 応急復旧作業はまず緊急車両の通行を可能にするために通行帯の確保に専念しました。一部区間では本線に流入した土砂を片側車線に寄せて1車線を確保して片側交互通行とするとともに、作業区間が連続していましたので中央分離帯の開口部を活用して対面通行とするなど速やかに啓開を行いました。


中央分離帯の開口部を活用して通行帯を確保(7月9日22時時点)

土砂を片側車線に寄せて緊急車両や救援物資輸送車両等の通行帯を確保

 流入した土砂は、バックホウやホイールローダーで掬い上げて水密ダンプ車等を用いて搬出しました。また、土砂撤去前に流木を取り除く必要がありましたが、これも非常に手間がかかるものでした。土工部の土砂撤去後に防護柵は応急復旧としてコンクリート基礎の仮設防護柵を設置していきました。これは損傷した防護柵の支柱の撤去や新たな支柱の設置により、地下に埋設された光ケーブル等の損傷を回避するもので、近接施工協議も省略されることから、復旧に要する期間の短縮を考慮したものです。


流木の撤去作業

高屋JCT~西条IC間の復旧作業

西条IC~高屋JCT間の復旧作業

仮設防護柵設置により工期短縮を図った

 志和IC~広島東IC間の志和トンネルでは主に上り線に東坑口からトンネル内部に水を大量に含んだ土砂が流木とともに流入しました。トンネル内は交通開放時に土砂を可能な限り入念に除去しておかないと、砂埃により視界不良につながる恐れがあったことから、ホイールローダーに加えて除雪車(スノープラウ)を使って土砂を撤去し、さらに前方に高圧散水が可能な散水車で細やかな清掃を行いました。


志和トンネル東坑口の被災状況/トンネル内部に流入した流木と土砂

除雪車による土砂撤去と散水車による清掃

 このように昼夜連続で作業を行った結果、8日間で通行止め解除をすることができました。本区間の応急復旧は大林組と西日本高速道路メンテナンス中国が担当し、NEXCO東日本、NEXCO中日本にも応援をいただいています。
 ――今後の対応は
 久米 今回は主に高速道路区域外からの土石流による被災でしたので、抜本的対策については関係機関と連携し、協議をしながら対応していく必要があると考えています。災害発生直後には航空写真を用いて広島県に被災状況の説明を行うとともに、治山と砂防の観点から何か手を打っていただけないかとの相談もさせていただきました。今後においても関係部署の方々と連携しながらお互いにどのようなことを実施していくかご相談をさせていただきます。
 しかし、いずれも時間がかかりますので、NEXCO西日本として可能な限りの災害対応力強化として高速道路区域内に土砂流出防止柵を設置する検討を行っています。高速道路区域内の狭小なスペースで実施することなので限られた対応とはなりますが、同じような状況が発生した時に少しでも本線に流入する土砂を軽減して、より短時間で啓開が可能となるようにしていきたいと考えています。

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