鋼橋塗替 2017年度は26橋72,000㎡で実施
18年度9橋69,000㎡で実施
――鋼橋の塗替え実績は
伊藤 2017年度が26橋約72,000㎡です。18年度は9橋約69,000㎡を予定しています。
鋼桁の損傷
――どのような塗替え方法を採用しますか。また素地調整は1種ケレンですかそれとも3種ケレンですか
伊藤 ブラスト(1種ケレン)を採用します。
――既設塗膜へのPCB含有はありますか
伊藤 昨年度の塗替えではありました。
――同様に既設塗膜に鉛は含まれていますか
伊藤 含まれています。
――既存塗膜の処理方法は
伊藤 基本、法令に則って湿潤で行っています。含有が分かる前に発注したものがあり、それは湿潤ができない業者も受注していますので、PCBや鉛が検出された後、協議をして、結果、湿潤だけではなく循環式で行ったりしています。
――北陸支社では湿潤化施工もあれば、循環式エコクリーンブラストも行っていますよね。早月川橋の場合、IHで行っています。塗膜剥離剤だけでは1種になりえません。今後はどのように考えていますか。例えば、塗膜剥離剤でやれるだけやって、その後はブラストでやるとか
伊藤 そのように行っていきます。
ブラスト工
塗膜剥離剤の施工
――塗膜剥離剤とブラストの合わせですね。今年度の69,000㎡は大規模更新で行う塗替えも含めていますか
伊藤 大規模更新に伴う塗り替えは別カウントになります。69,000㎡は塗替え塗装工事としての数字です。
――では、別に大規模更新工事での塗替えもあるということですね
伊藤 そうです。今年度の大規模更新工事での塗替えは太田高架橋のみとなります。あわせると、70,000㎡超に達します。鋼橋塗装塗り替えはPCBや鉛の調査をしっかり行ったうえで、発注しなければいけないと考えています。
――膜厚のことも考える必要があります。塗膜剥離剤をやるときに膜厚がきっちりとはがれていないと、2回塗りで大丈夫だと思っていたのが、3回塗りや4回塗りになることがかなりあります。とくに平板ではなくて隅角などは膜厚を多めに測っておいたほうがいい。あとは、膜の成分。通常の有機溶剤ばかりのものだったら取れるのですが、雲母が入っているような無機っぽいものは塗膜剥離剤を通しにくくする傾向があります
伊藤 塗装がどんな成分を有しているかは足場をかけないとよくわからないですよね。
――施工中に塗膜剥離剤がもう一層必要となったときに、発注者がみるのか、施工者がみるのかで、協議する現場はよく見ます。そのためにも膜厚だけでなく、膜の成分も確認しないといけない。膜厚300μmだから1回でOKということではなく、寒いときなら300μmでも2回やらなければならないとか
伊藤 どうしても管内は寒い時期にかかります。
――そうした季節的な特性は考えて選定した方がいいかもしれませんね
伊藤 管内は冬場の湿度が高いので、塗装環境的にはあまり良くありません。
――耐候性鋼材を使用した橋梁は
伊藤 管内にはありません。
のり面 要点検箇所リストに基づいて年1回点検
区域外も調査し自己防衛
――昨シーズンの豪雪もありますし、日本全国で雨の問題でさまざまなところでのり面崩壊や盛土崩壊が起きています。NEXCOでいえば牧之原の盛土崩壊が記憶に新しいですが、道路に対する斜面や古いのり面、盛土構造などにどのような補修・補強を行って守っていくのかについて、具体的な事例や契約がありましたら、教えてください
伊藤 のり面の要点検箇所のリストがあるので、それに基づいて降雨期前の4、5月に年1回の点検を行っています。また、特定更新ののり面のなかで排水溝のサイズアップなどを行っています。それ以外では、のり面検討会を有識者の方に参加してもらい年1~2回行っています。そのなかで、新東名での落石がありましたので、区域外がどのような状況なのかを調査して必要な対策を計画的に行っていくことや、土石流の心配なところがあるので、区域外の調査を約2年かけておこなっていくことを考えています。昨年も北陸道の長浜市域で台風21号により区域外から少し土砂が流れて通行止めになったことがありました。
斜面の点検
――区域外の調査もNEXCOが行うのですか
伊藤 自己防衛的に、どのようになっているかを調べます。対策を行うかは行政との調整です。
――路肩に堆雪帯があるところは、土砂が流れても堆雪帯がみてくれるという話を聞いたことがあります。北陸道でも過去に土砂流入があったのですか。シェッドの補修も大変だと思います。区域外からのもらい災害防止をどのように行うかの調査をかけることはいいことですね
伊藤 昨年起きた中央道での不法投棄による土砂崩れや、中央道岩殿トンネルの土砂流入など、かなりあります。1回の降雨量が大きくなってきているので、対策は必要だと思います。
――NEXCO東日本の上信越道・蓬平では急峻な切土構造をトンネル構造にする工事を始めます。北陸道ではそのような対策に着手する可能性はありますか
伊藤 現段階ではありません。北陸道は、敦賀~今庄間は山がありますが、それ以外はそれほど大きな山はありません。
――要対策箇所の具体的な数は
伊藤 現在は考えていません。
――新技術・新製品の活用は
伊藤 凍結防止剤代替材料としてのプロピオン酸ナトリウムは、凍結防止剤の使用量が多いことから、金沢支社で対応をやらせてもらっています。
――ありがとうございました