トンネル 矢板工法が6割弱占める
背面空洞未充填箇所も
――トンネルの工種別と経過年数別は
伊藤 矢板工法が59%、NATM工法が38%、開削工法が3%です。31年以上は矢板工法もしくは開削工法となります。20年以下がNATM工法です。
管内のトンネルの工種別割合
――点検状況とその結果は
伊藤 現在は、12箇所しか点検が終わっていません。北陸道はすべて矢板工法なので、覆工と地山が密着していないところは多々あると思います。湧水が目立っています。判定結果はⅡが42%で、Ⅲはありません。
対策としては、ひび割れ調査を行っていますし、今後も継続します。
路線別のトンネルの工種別割合
――覆工コンクリートと地山がくっついていないところもあるのではないですか
伊藤 あります。まだ背面の空洞注入ができていないところがあるので、まずその対策を行い、必要なところは覆工補修とインバート設置を行っていきます。支社管内でトンネルが多いのは敦賀~今庄IC間ですが、上下線が大きくセパレートしていて、対面通行規制を行うと20数キロになってしまいます。冬場の対面通行規制では、雪で通行止めになった場合の心配もあります。そのため、交通運用もしっかりと考えていかなければなりません。
――セパレート区間、路肩幅はあるのですか
伊藤 普通です。
――猪熊前常務は、路肩を最大限活用して、車線幅員を3.5mから3mにして3車線にするという話もしていました。北陸道では
伊藤 考えていません。交通量が少ないので、特定更新で対面規制を行っても基本、渋滞は発生しません。ただ、規制区間が長ければ、事故が発生したときの対応が問題になります。
――3車断面はつくれないのですか
伊藤 3mにすればなんとかなるかもしれませんが、それにしてもトンネル内の3車は無理です。
橋梁耐震補強 ロッキングピア21橋すべて契約
不調特命契約を採用
――橋梁の耐震補強の進捗状況は
伊藤 3カ年プログラム対応については完了しています(55年以前の道示適応は完了)。今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の対象はありませんが、それに近いものはあると考えて、優先順位をつけて対応できる準備はしていきます。
――ロッキングピアを有する橋梁数は
伊藤 本線橋が18橋、NEXCO管理以外の跨道橋が3橋の21橋で、すべて北陸道です。
ロッキングピアを有する橋梁の耐震補強進捗状況
――進捗状況は
伊藤 21橋を2件の工事で発注し、契約ずみで、2019年度内の工事完了を目指します。
――契約方式は
伊藤 通常の設計にもとづいた発注を行いました。ただ、早期に行わなければならないので、不調特命契約という形式にしました。例えば、設計額に対して高い入札額の会社しかいなかった場合に、工事実施段階で歩掛調査を行う前提付きで契約するものです。相手方からの見積どおりに施工されていたら、そのまま支払いますが、現地に入ってみて工事の機械や車両が大型化できるなどでNEXCOの試算に近い場合は単価を修正してもらいます。
現在、北陸新幹線の仕事が相当あり、福井県ではコンクリートも入ってこないと言われているくらいで、コンクリート構造物を積極的に受注したいという業者さんも多くないですが、幸いに契約にこぎつけることができました。
――ロッキングピアの耐震補強の場合、交差している道路、斜角が著しい、基礎の補強が必要となる、あるいは通常のRCの完全剛結で行いたいけれど、不可能なので筋違いのメタルでつなげる、もしくは下沓だけ剛結させて埋めて、上沓は残置する――など、現場条件や工法でいろいろなことがあります。支社管内において、特殊なロッキングピアはありますか
伊藤 特殊なものはなく、すべてコンクリートで巻き立てて剛結します。
――中央道では、内面が空洞の橋台があり、アンカーを打つ補強を行うとのことです。また、中日本管内ではありませんが、斜角に耐えられないため、マイクロパイルで補強するケースがありました。北陸道ではそのようなものがないでしょうか
伊藤 難しいピアはありません。オーソドックスなコンクリートの巻き立てでの補強です。
ロッキングピア補強イメージ
――橋台はラーメン化するのですか
伊藤 擬似ラーメン化します。
――トラス、アーチなどの特殊長大橋の耐震補強は
伊藤 管内の橋梁については、現在は考えておらず、これからです。
――並柳橋の事例であったように、古い形式の支承や掛け違い部は北陸道ではあるのですか
伊藤 谷の深いところだけトラスで、そこから橋台までの1径間のみPC桁となっている構造の橋梁は何箇所かあります。
――中央道では、掛け違い部の段差構造を解消する耐震対策も始めていると行きます。金沢支社の現況を教えてください
伊藤 そこまでは考えていませんが、優先しなければならないことは行っていきます。