剥落防止は今年度5万平方㍍実施
スマートメッシュを採用
――コンクリート片剥落防止工の進捗状況と今年度の予定は
河野 第三者被害の可能性のある個所や重要交差個所を中心に補修を行っています。
2014年度末までに約10万平方㍍(対象100万平方㍍中の1割に相当)の対策が完了しており、15年度は5万平方㍍程度、今年度も5万平方㍍程度対策する予定です。対策手法は連続繊維シ-ト、高強度ビニロンネット(スマートメッシュ)を用いた手法を採用しています。
スマートメッシュの施工状況
鋼橋塗り替えは2万平方㍍
――鋼橋の塗装塗り替えの今年度予定は
河野 四国支社管内に、鋼橋は約300橋有り、その半分は下塗に微量の鉛を含有する塗料で塗装されています。PCBを含有する塗料で塗装された橋梁はありません。
今年度は徳島高速道路事務所管内の徳島道・美濃田橋(上下線)、黒川原谷川橋(上下線)の2橋で約1万平方㍍、愛媛高速道路事務所管内の松山道・東種子川橋で約1万平方㍍塗り替え工を実施する予定です。ケレン手法3種で施工する予定です。塗膜剥離時の安全対策などについては慎重に調査・検討して施工していきたいと考えています。
塗膜の劣化状況
コンクリート構造物の非破壊検査にJシステム
特殊高所技術点検を中央分離帯の張出床版部などの点検に採用へ
――各現場で採用している新しい手法は
河野 赤外線カメラを用いてコンクリートの健全状況を診断する「Jシステム」があります。近接目視や打音検査に先立ちスクリーニングを行うために使っているもので、これを使うことで変状想定箇所を絞り込み、打音検査の作業を軽減することができます。
従来手法とJシステムの違い(左)/実際の点検画像(右)
もう1つはトラスや中央分離帯側の張出床版部などの点検の際にロープ高所作業を用いた特殊高所技術点検を採用していこうと考えています。また、今後は点検資産が増える傾向にありますので、点検車の増車に合わせて、従来見えづらかった個所、何回も繰り返し、桁下にアームを差し込まなければいけなかった点を考慮し、作業半径の大きい点検のし易い機能を設けている、新型の橋梁点検車を導入する予定です。
ロープ高所作業を用いた特殊高所技術を活用
新型橋梁点検車
――次にトンネルの維持管理ですが
河野 笹子トンネルのような天井板があるトンネルはありません。
ジェットファンについては落下防止対策のフェールセーフを設ける工事を行っています。ジェットファンは四国全体で63箇所あり、平成27年度までに19箇所対策を完了しています。引き続いて28年度には32箇所、29年度に残り12個所を施工し、全数の対策を完了する予定です。
トンネルの大規模修繕に関しては高知道の大豊~南国間の明神トンネルⅠ期線(下り線)と新宮~大豊間の笹ヶ峰トンネルⅠ期線(下り線)のインバート未設置区間で、一部、路面の隆起が確認されています。明神トンネル(下り線)のインバート設置工事については、今年度から着手したいと考えています。笹ヶ峰トンネルについては施工期間や具体的な手法について、詳細検討をしているところです。
供用中のトンネル内施工ということで、交通規制、施工方法等お客様の安全、施工の安全を最重要課題として取り組んで参ります。
――明神トンネルの規模は
河野 インバートの設置延長は約100㍍です。
要注意のり面は13地区
重要点検のり面は全体の1割で点検頻度は1年に1回
――切盛土構造の保全については
河野 切土のり面は3,089箇所、面積にして483万平方㍍強に達します。盛土については、5,599箇所、621万平方㍍強に達します。これらののり面は5年に1回詳細点検を実施し、補修、補強を行っています。その中で、建設時に変状が確認され補強対策を実施し、継続的に動態観測を行っている要注意のり面が13地区ほどあります。それを含む重要点検のり面(全体の約1割)については点検頻度を上げ、1年に1回点検しています。
大規模修繕事業として、切土のり面の補強対策としては、旧タイプグラウンドアンカーの取替えや排水機能強化、盛土のり面の対補強対策としては、水抜きボーリング等による安定対策や排水機能の強化を図っていきます。
――区域外に起因する災害について
河野 平成16年には、区域外ののり面崩壊や渓流の土石流等により松山自動車道が大きな被害を受けました。区域外の渓流等に起因する災害については、強く懸念しています。豪雨時に災害の恐れがある後背地、渓流等については、行政や地権者の皆様と話し合い、対応を進めて行きたいと考えています。
――ありがとうございました