――具体的構造を名古屋西JCT部から
青木 名二環の本線およびランプ橋を作る必要がありますが、パースを見ていただければわかりますように非常に複雑です。
名古屋西JCT パース
――本当ですね
青木 平面部には、重交通で知られる国道302号が走っています。そして東名阪道と名高速が既に高架構造として供用されていますが、その間の空間に名二環本線およびランプ橋を架設しなくてはいけません。
――ほとんどクリアランスがないですね。どうやって架設するのですか
青木 基本的にはドーリーを使用した送出しによる架設を検討しています。また、構造物の複雑さや維持管理のし難さを考慮して、そうした計画も詳細設計と合わせて検討しています。
――橋脚形式は
青木 国道302号を跨ぐ箇所は鋼製橋脚、それ以外はRC張出式橋脚を予定しています。一部横梁が長い個所(最長で40㍍長)についてはPC梁構造を採用しています。
鋼管杭基礎を採用、振動・騒音考慮し先端羽根付杭
最大8㍍の遮音壁を事前に設置して施工
――現状は
青木 JCT部の橋脚の基礎工に着手した状況です。明確な支持層がなく基礎の延長が50㍍程度に達するため、基本的には鋼管杭基礎を採用しています。また、住宅が近接している箇所での施工であるため、回転杭(最大径φ1200、先端羽根付杭を採用)を使用し、施工時の振動・騒音を抑制します。また施工の際には周りに最大8㍍程度の遮音壁を設けてから施工しています。遮音壁は、国道の騒音対策も兼ねています。
回転杭(最大径φ1200、先端羽根付杭を採用)を使用
名古屋西JCT既設ランプ近接箇所での施工
橋桁は全て鋼構造
高性能床版防水の設置を検討
――上部工形式は
青木 全て鋼構造です。形式は鈑桁、箱桁と多岐にわたり、床版形式も鋼床版、合成床版、PC床版と多岐にわたります。鋼構造を採用したのは基礎が軟弱地盤のため軽量化を図る必要があること、桁を架設するためのクリアランスが少ないため、桁高を抑制する必要があるためです。
――高性能床版防水の施工はどうされますか。以前、NEXCO中日本が中部地方整備局と合併施工した箇所(中部縦貫の一部)では予算不足のために(NEXCOが管理する有料道路であったにも関わらず)高性能床版防水を施工できなかった事例がありましたが
青木 日平均交通量3万台が予想される路線であり、事業区間全部を高性能床版防水で施工したいと考えています。しかし、当初事業費には高性能床版防水の費用は含まれておりません。
――ということは高性能床版防水の設置は厳しい
青木 基本的には事業費を増額することで高性能床版防水の施工ができるよう見直していきたいと考えています。また、床版防水工を施工するにせよ、鉄筋防錆剤などの併用を行って塩害を抑制したいと考えています。
――NEXCOとしては珍しく鋼床版箱桁を採用していますが床版厚はいかほどを考えていますか。またSFRC基層等の適用はありますか
青木 SFRCの適用は考えていません。もちろんデッキ厚は、交通量を考慮して十分なデッキ厚を確保しますが、それだけでは心配なので施工方法や品質確認方法の検討、モニタリングおよび点検方法を検討しています。なお、残念ながら既に下部工に着手していますので、SFRCの採用は重量増となるため難しいのが現状です。また、新たな舗装材料で対応できないかも検討していきたいと思っています。例えば、エポキシ樹脂をアスファルト合材に含浸して剛性を高めた舗装というものも海外で採用されています。舗装工事の時期は、まだ時間がありますので技術革新の動向を見ながら対応していきたいと考えています。