西日本高速道路は3450㌔の道路延長を管理しており、構造物の内訳は橋梁が約636㌔mトンネル延長が434㌔に達する。沖縄道や阪和道の一部では内在塩分による損傷、中国道では凍結防止剤散布による塩害などによる損傷が生じており、今後床版や桁の取替などの大規模更新事業や、高性能床版防水などの大規模修繕事業が本格化する。その内容を北田正彦 前 保全サービス事業本部 保全サービス事業部長(現九州支社長)に聞いた。(井手迫瑞樹)
供用から30年以上経過した橋梁は35%
中国道は凍結防止剤散布、阪和道、沖縄道は内在塩分
――西日本高速道路の橋梁の現状から
北田事業部長 当社の道路延長は約3450㌔あり、構造物の内訳は橋梁延長が約636㌔、トンネル延長が約434㌔、土工部の延長が約2,380㌔となっています。
橋梁はRC橋が約200㌔、鋼橋が約202㌔、PC橋が約234㌔、その他0.3㌔となっています。トンネルは在来矢板によるものが約64㌔、NATMが約359㌔、開削が約10㌔、その他が0.3㌔です。
供用経過年数は名神高速道路の平均50年を筆頭に中国道、九州道、沖縄道、近畿道、阪和道、西名阪道で平均36年が経過しています。供用後30年以上を経過している橋梁は全体の約35%におよびます。損傷事由としては塩害やASR、大型車交通量の増加による疲労損傷などが見受けられます。特に中国道は冬季に凍結防止剤を多量に散布しますし、かつ供用年次も古いことから、そうした影響が累積され損傷が多く生じています。また、阪和道の一部(松島高架橋など)、沖縄道、九州道の一部などでは1986年(S61)の塩分総量規制前に製作されたコンクリート桁や床版があり、コンクリート中に洗浄不足の海砂が比較的多く含まれていることから塩化物イオン濃度が高く発錆限界値を超える値が鉄筋近傍から検出されており、コンクリートの剥落、鉄筋の膨張などの原因となっています。
松島高架橋(阪和道)の損傷状況
二宮川橋(中国道)の損傷状況
桁端部や伸縮装置、排水管近傍で損傷が先行
防水性の向上が必要
――損傷状況の概要は
北田 桁端部、ジョイント周り、排水管周りで傷みが先行しています。即ち水周りですね。部位的にはジョイントの止水機能の低下により桁や床版端部が水にさらされ傷みが生じています。沖縄道では大規模更新に先立つ形で補修を繰り返してきましたが、やはり桁端部やジョイント設置個所近傍に損傷が集中していました。
また排水枡周りの取り合い部の水密性低下により漏水が生じ、それが排水管(の外面を)伝い、桁に水がかかることによって、桁の下フランジ上面やウエブの一部が損傷している事例もあります。こうした個所については、このたびの大規模更新・大規模修繕事業を行う前にも補修を繰り返しています。水密性を高める方策に取り組むとともに、漏水(による損傷)の影響が起きにくい形式に取り替える必要があります。予防保全的には高性能床版防水工の施工を進めていかなければならないでしょう。
湯船高架橋(中国道)の損傷状況