道路構造物ジャーナルNET

本格的な保全時代を迎えようとしている中で

西日本高速道路の人づくり

西日本高速道路株式会社
技術本部 技術環境部 次長
兼)技術統括課長

福永 靖雄

公開日:2015.03.01

下を育てなければ

 ――技術支援者は中日本のような専門主幹、東日本のような構造物上席指導役といったものに対置できる役職になっていくのですか
 福永 それは各自が選べるようになっています。当社にも各自が得意とする専門技術に特化した専門職制度はあります。
 ただ肝心なのは上でなく下を育てなくてはいけないということです。必要なのは研修と一番効果のあるのはOJTです。物の見方を現場で覚えなくてはいけません。知識だけを習得していてもそれを実践できなければ意味がありませんから。
 ――東九州道も終わりに近づき、新名神道の建設も最盛期に入っていますが、そうした建設事業は終わりに近付いているわけで、「その後」の技術水準をどのように維持・向上していこうと考えていますか
 福永 そこは大きな課題です。ただ、保全の世界でも確かに新設を知っていたほうがよいのですが、これから大規模更新・大規模修繕事業を行うことになれば、その中である程度「作り方」というのは覚えていくと思います。
 ――西日本高速道路の構造物の内訳について詳細をお答えください
 福永 土工延長が約2,400㌔、橋梁延長が約600㌔(RC:PC:Me=3:3:3)、トンネル延長が約450㌔という内訳です。

変状要因としては塩害が一番多い
桁端部と床版に発生

 ――点検を進めてみて劣化・損傷の状況を具体的にお答えください
 福永 変状要因で一番多いのは塩害です。塩害にも3種類あって、1つは凍結防止剤によって生じるもので部位としては桁端部と床版に発生しています。

 2つ目は、骨材の塩分規定がなかった時代の海砂の使用により生じた内在塩分による損傷で、沖縄道の北部区間に顕著です。もう一つは海岸近傍で見られる飛来塩分による損傷です。塩害といっても異なるのでそれぞれに適した対応が必要です。
 例えば凍結防止剤を散布している地域の床版は、ある劣化度(損傷度グレードのⅤ、ⅣおよびⅢでも部分的に酷い個所)に達した場合、かなりの塩分の浸透が見られますので、酷い個所では床版取り換え、まだいくらか健全な個所では高性能床版防水などが必要であると考えます。劣化度は変状および塩化物イオンの浸透状況の両方を見ながら判断しています。

TAPS工法を採用

 桁端は、まずコンクリート桁の場合、ウォータージェット(WJ)で端部をはつって、断面修復するというのが主な対策になります。また、(止水機能を失った)伸縮装置の交換、桁端部の防水工も組み合わせていきます。鋼橋の場合は、孔食部は当て板を施しますが、それ以外の桁端部は予防保全として金属溶射(TAPS工法)を実施していきます。

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