道路構造物ジャーナルNET

設計要領などを改訂

24年道示に合わせ耐震設計法などに対応

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

青木 圭一

公開日:2014.10.01

大規模修繕の高性能床版防水は
基本的にグレードⅡを想定

 ――次に大規模修繕の話題です。高性能床版防水への既設床版への適用についてですが、グレードⅡS(4時間で300㎡の施工能力が求められる)は難易度が高いと聞いています。ただし、大規模修繕では高性能床版防水が義務化されるわけで、技術的な困難をどのように克服していきますか。
 青木 高性能床版防水は、大規模更新とセットでIC間を長期に規制して行う大規模修繕工事の一部になると考えています。即ち、現在のような数時間レベルのきわめて限られた時間内での施工ではなく、新設時並みに時間が取れる状況下で施工できるため、安定した品質の確保が可能であり、施工に要求する性能も新設時同様グレードⅡでも可能と考えています。
 ――大規模更新、大規模修繕と合わせて、潜在的な高性能床版防水を施工しなくてはならない面積はどの程度あるのでしょうか。
 青木 床版取替えを行う橋梁も含めて、10,000橋ほどが対象となります。
 ――コンクリート構造物の塩害や中性化、アルカリ骨材反応といった課題に対する新しい技術の開発は模索していますか。
 青木 シラン系撥水剤、けい酸塩系含浸材を塗布した供試体の試験が今年度で5年目を迎えましたので、その追跡調査を行います。
新しい技術としては、凍結防止剤に含まれる塩化物イオンの影響を抑制できる散布剤の開発を進めています。
 ――一昨年度の構造物施工管理要領でシラン系コンクリート表面含浸材の標準規格を設けましたが、凍害地区や塩害環境の厳しい個所における規格などは設けないのでしょうか。
 青木 供試体の暴露は北陸などでも行っており、今次の追跡調査の結果を考慮して判断します。

塗り替え後の塗膜性能まで確認
有害物質含有塗膜の除去対策

 ――厚生労働省の5月30日付通達(鉛・クロム含有既存塗膜に対する健康被害を防ぐため塗膜除去の際、湿式処理の徹底を骨子とした通達)を受けて、今後どのように対応していきますか。
 青木 他発注機関や諸メーカーの動向を見て判断していきます。ただ、NEXCOとしては、単純な塗膜の除去だけでなく、除去後の再塗装の品質確保までを考慮して選定する必要があると思っています。当社ではそうした観点から、有効な手段である塗膜剥離剤の試験施工および暴露試験も行っており、今後も追跡調査により性能を評価していきたいと考えています。
 ――確かに塗膜剥離剤だけでは、塗り替えに必要なアンカーパターンは出せません。塗膜剥離剤の塗膜除去性能を見定めるととともに、仕上げとしてのブラストの施工量、塗り替え塗膜の防食性能も見定めるべきだ、と。
 青木 そうですね。評価が定まるまでは、1種ケレンをなるだけ控え、3種ケレンにより施工する、1種および2種ケレン相当を行うにしても桁端部など必要最小限の面積に抑えるといった策も必要ではないか、と考えます。

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