道路構造物ジャーナルNET

設計要領などを改訂

24年道示に合わせ耐震設計法などに対応

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

青木 圭一

公開日:2014.10.01

PC鋼材の破断検知に磁束漏洩法
マニュアル案をまとめる

 ――設計・施工要領の改訂とは別に開発を進めている新技術・新工法について教えてください
 青木 現在新たな点検手法の開発について約40年前に撤去された実際の橋桁を用いて研究しています。特にコンクリート箱桁内部のPC鋼材の腐食や切断を点検する非破壊検査の開発に主眼を置いています。
 ――具体的に試験している手法はどのようなものがありますか。
 青木 ㈱四国総研と共同で研究している磁束漏洩法を用いたPC鋼材の破断検知試験を重点的に開発し、NEXCO3社共通のマニュアル案としてまとめました。今後現地での試験施工を経て正式なマニュアル化を図ります。
 ――磁束漏洩法を用いた破断検地メカニズムを詳しく教えてください。
 青木 鉄筋は磁化すると基本的に両端はN-S極になります。その原理を応用すれば、PC鋼材も途中で破断している場合、N-S、N-Sという構造に分かれていることになるわけです。実際に鉄筋の損傷を調査する検査には用いられていますが、これをPC鋼材の破断検知にも適用できないか検討しています。検査も端子を鋼材に沿って這わせるだけでよく、簡易で効率的な点検が可能になるのではないか、と考えています。ドイツではベルリン工科大学でPC橋の調査用途に実用化されており、点検実績もあります。
 ――鋼製シースを用いたPC構造の場合はシースが磁化する際の阻害になる可能性がありませんか。
 青木 当初はそのような危惧もありました。しかし、供試体や実橋での試験、ドイツ等の計測事例から、肉厚の薄い鋼製シースでも、問題なくPC鋼材の破断を検知することを確認しました。
 ――目視との検査一致率はどの程度ですか。
 青木 かぶり厚が20㌢までであれば、100%一致します。
 ――今後の包括的なPC橋非破壊点検システムの展開は
 青木 PCグラウトの充填調査としては広帯域超音波法がある程度確立されており、これに磁束漏洩法を融合させることで、包括的なシステムを作ることができないかを検討しています。
 ――PC鋼材の破断やグラウトの充填不足(空隙)が集中している箇所はどの部分でしょうか。
 青木 (凍結防止剤を含む)水の浸入を考慮すれば、上縁定着の橋梁が比較的危険性が高いと考えています。またPC鋼棒を使った橋は空隙率が小さくグラウトが入りづらいため、この2点を併せ持つ橋梁は特に注意が必要です。

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