NEXCO西日本新名神大阪東事務所　枚方トンネルと淀川橋では周辺環境に配慮して事業を進める

　NEXCO西日本関西支社 新名神大阪東事務所は、新名神高速道路（以下、新名神）の八幡京田辺JCT・ICから淀川右岸までの延長6.3kmの建設事業と淀川左岸線延伸部の東側1.1kmの新設工事を担当している。都市部の施工となる延長約3kmの枚方トンネルや歴史的・文化的に重要なヨシの群生地を横過する淀川橋などでは、周辺環境に配慮した施工が求められている。担当事業の状況について、岩村裕輔所長に聞いた。
※建設中・計画中の構造物はすべて仮称です。

新名神事業区間の橋梁は6橋、トンネルは1本で構造物比率は76％
　本線工事全14件のうち施工中が9件、竣工済みが5件

　――管内の事業概要からお願いします
　岩村所長　新名神は、名古屋市を起点として神戸市に至る延長約174kmの高速道路で、大津JCT～城陽JCT・IC間と八幡京田辺JCT・IC～高槻JCT・IC間の2区間が事業中となっています。当事務所では、八幡京田辺JCT・IC～高槻JCT・IC間延長10.7kmのうち、八幡京田辺JCT・ICから淀川右岸までの延長6.3kmを担当しています。これに加え、淀川左岸線延伸部の東側1.1kmの新設工事も当事務所で行います。

八幡京田辺JCT・IC～高槻JCT・IC間事業概要図（NEXCO西日本関西支社提供。以下、同）

　新名神の事業担当区間は、第二京阪道路と接続する八幡京田辺JCT・IC部から下り勾配で掘割構造となり、現地盤から路面が約30m下がったところにトンネルの東側坑口があります。枚方市街を抜ける延長約3kmのトンネルの中に最下点があり、そこから上り勾配で西側坑口を出た後は掘割と擁壁盛土構造となります。市道楠葉中宮線の交差部からは高架橋で、京阪本線、府道京都守口線を横過して、淀川を渡河する橋梁につながります。淀川右岸の3橋脚が一連の構造体となりますので、そこまでが事業担当区間です。
　構造物比率は約76％で、橋梁が6橋で延長約1.8km（28％）、トンネルが1本で約3km（48％）となります。土工部は約1.5km（25％）です。

八幡京田辺JCT・IC～高槻JCT・IC間完成イメージパス

　――事業の進捗状況は
　岩村　用地取得率は99％、工事着手率は100％で、本線工事全14件のうち、施工中が9件、竣工済みが5件となります。

工事一覧表


構造物一覧表（拡大してご覧ください）　※枚方トンネルの表中の延長は施工延長。トンネル全長は、3,051m

　――事業を進めるにあたり、とくに施工での課題がありましたらお教えください
　岩村　大きなものではふたつあります。一つは、枚方トンネルです。当社ではトンネル掘削では一般的にNATM工法やTBM工法といった山岳工法を採用するケースが多いですが、枚方トンネルは都市部の施工であるため、シールド工法を採用しました。周辺には住宅や工場群があって騒音や振動に配慮しなければならないので、施工環境は非常に厳しいと言えます。
　二つ目は、淀川右岸の河川敷に「鵜殿ヨシ原」と呼ばれるヨシの群生地があることです。雅楽で用いられる篳篥（ひちりき）のリード（吹き口）の採取地にもなっており、生育に対して影響がないように環境に配慮して工事を進めています。

八幡京田辺JCT・ICに位置する橋梁2橋で6車線対応が必要
　4車断面で完成の橋台を増杭で両側に拡幅

　――2020年3月の6車線化事業許可を受けて、暫定4車線から6車線への対応を行わなければならない構造物は管内にありますか
　岩村　橋梁、トンネルともに基本的には設計から6車線対応で進めて施工していますが、八幡京田辺JCT・ICに位置する美濃山第一高架橋（上下線とも橋長20.5m）と美濃山第二高架橋（同21.5m）のみが暫定4車線からの対応が必要です。両橋はPC単純プレテンション中空床版桁橋で、下部工が4車断面で完成していたので、6車線拡幅への設計見直しを行い、現地着手しています。上部工の6車線設計は完了しています。
　――具体的な拡幅方法は
　岩村　基礎の増杭を行い、橋台を両側に拡幅していきます。

美濃山第一高架橋（左）と美濃山第二高架橋（右）の4車断面で完成済みの橋台

ランプ橋6橋は床版工まで完了
　Cランプ3号橋では国道1号バイパスを3夜間通行止めにして架設

　――八幡京田辺JCT・IC部の構造物とその進捗状況について教えてください
　岩村　本線橋では、美濃山第一高架橋と美濃山第二高架橋に加えて、大谷川橋があります。上り線は橋長68.5mの鋼単純合成3主箱桁橋、下り線は同76.5mの鋼2径間連続合成3主箱桁橋です。下部工は上下線のA1橋台が完成、残りが施工中となっています。上部工は上り線が送出し架設、下り線がクレーン架設を予定しており、府道や市道との交差部では通行止めが必要となります。

八幡京田辺JCT・IC部の橋梁

　ランプ橋は6橋で、すべて床版工まで完了しています。Cランプ3号橋（橋長20.5m、PC単純プレテンション中空床版桁橋）では、2022年4月に国道1号バイパスを3夜間通行止めにして架設を実施しました。仮置きしたプレテン桁10本を橋台背面に据えた300t吊オールテレーンクレーンで1本ずつ架設していきました。足場設置を1夜間、桁架設を2夜間で行っています。その後、2022年8月には足場解体のため、2夜間の通行止めを実施して、無事施工を完了しました。

Cランプ3号橋の架設と架設完了写真