西日本高速道路エンジニアリング九州は、アクティオと共同で、インフラメンテナンスの点検業務の事故を未然に防ぐため「不安全な行動をするヒト」に着目し、バーチャルリアリティ(以下、「VR」)コンテンツ『eQ危険体感VR』の第2 弾として、(感電編)ポンプ取換「ポンプ室」、(墜落編)はしご 「電気室」、(墜落編)高所作業 「情報板」、(接触事故編)車両 「後退」の4コンテンツを実装した。コンテンツの拡充を図ることで、さまざまな現場の危険を先取りし「危険ゼロ」の一助となることが期待される。
VR技術は、対象者がヘッドマウントディスプレイ、ネックスピーカー、コントローラー、歩行型VRデバイスを装着することで使用できる。5K映像や90fps、視野角210°などの映像を体験できることなどにより、高い没入感を実現している。さらに同技術は、安全確認を実施せず事故が発生した場合と、安全確認を実施した場合の比較体験ができ、安全確認のポイントや法的根拠なども表示説明しているため、より安全に対する理解を深めることができる。
(感電編)ポンプ取換「ポンプ室」のVR画像
本当に微弱ながら電流が流れ、VRと相まって身をもって危険性が認識できる
(墜落編)高所作業 「情報板」のVR画像
情報版からの落下VRでは、実際の落下事故の感覚とその後に車に引かれかねない状況を危険体感できる
今回の4コンテンツはさらにリアル感、臨場感にあふれている。
例えば(感電編)ポンプ取換「ポンプ室編」では実際に最大3mAの電流を流し、実際に微弱ながら感電させて危険性を認識させる電流の大きさは1mA、2mA、3mA、なし(バイブレーション)の選択ができる。
また、(接触事故編)車両「後退」のコンテンツについては、近年車両関係の事故が多かったため、新たに作成したもので、車両後退時の手順確認や後方不注意を避けるための誘導員の大切さを理解させる完成度の高いVRとなっている。
記者は、(墜落編)はしご「電気室」のコンテンツを実際に体験した。はしごで高所に上り、電気室ボックスの扉を開ける際に体が傾いて落下するシナリオを描いたVRであるが、自分の体が実際に傾き、落下する様を実際さながらに感じ、恐怖を味わうと共に、墜落制止用器具をキチンとつけることの必要性を痛切に感じることが出来た。
(墜落編)はしご 「電気室」のVR画像
本当に梯子から落ちている感覚になるため、体が斜めになってしまった記者
(接触事故編)車両 「後退」のVR画像
(接触事故編)車両 「後退」VRを体験中の記者
西日本高速道路エンジニアリング九州の事業推進本部安全品質部担当部長を務める藤田憲一氏は本NETの取材に対して、「「eQ危険体感VR」は、当社で実際に起きた事故やヒヤリハット事例をもとに作りこんでいる。アクティオが有する技術と相まって、恰も自分がその場にいる感覚があるかという『臨場感』とコンテンツが現実に近い感覚かという『リアル感』を高いバランスで調和して作りこんでいる。そのため危険感受性を高められる体感的な内容となっており、その後のなぜ事故が起きたかという説明と実際に安全手順をきちんと踏んだ場合との差を実感することにより、現場での安全性に大きく寄与できている」と語っている。
同機は、使用者(社)が負担を感じないよう、組立てもオペレーターも一括でレンタルする仕様であり、既に現在運用している6台がほぼフル稼働状態にある。「増機も検討」(アクティオ)しており、今後も適用拡大を図っていく。11月24,25日に東京で開催される「ハイウェイテクノ」においても展示およびVR体験を行う予定だ。(VR画像は同社提供、写真は井手迫瑞樹撮影)