道路構造物ジャーナルNET

4車線で設計、下部工施工しているところが多くを占める

NEXCO西日本新名神京都 6車線化対応、国道24号との並行区間の工事が鍵

西日本高速道路株式会社
関西支社
新名神京都事務所
所長

西谷 誠之

公開日:2021.04.27

 NEXCO西日本新名神京都事務所は、新名神大津JCT~城陽JCT・IC間のうち、京都府内(京都府城陽市~宇治田原町・大津市の府県境)の12.9kmの建設を所管している。同区間はそれまでの経緯から4車線で設計され、下部工あるいは上部工の一部まで施工された箇所があり、今後6車線化する上で、様々な課題に対処しながら施工していく必要がある。また、城陽高架橋では、両側の一方を現道の国道24号、もう一方をその拡幅工事(国道24号寺田拡幅)に挟まれており、これもまた工程調整など様々な課題に対応していかなくてはならない。その内容について西谷誠之所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

京都・滋賀府県境~城陽JCT・IC間12.9kmの建設を担当
 2012年に暫定4者で事業を再開、20年3月には6車線化を許可

 ――管内の概要から
 西谷所長 京都事務所は新名神高速道路大津JCT~城陽JCT・IC間のうち、京都府内(京都府城陽市~宇治田原町・大津市の府県境)の12.9kmの建設を担当しています。
 同区間は、2006年の民営化論議の時に一度、抜本的見直し区間とされましたが、2012年に改めて、暫定4車線で事業を再開しました。2020年の3月には大津~城陽間について6車線化の許可を頂きまして、現地では4車線での建設を進めながら6車線化を考えているという複雑な状況になっています。普通は4車線を供用させてから6車線に拡幅しますが、今回は4車線を建設している最中に同時並行で6車線化するという複雑な工程になります。どこまで一挙に6車線化できるか、あるいは4車線での建設を先行した後に6車線化するか、悩みながら進めているところです。

事業状況(NEXCO西日本提供、以下注釈なきは同)

 地形的特徴は、所管する延長のうち、宇治田原IC(仮称)~府県境までが中山間地域の山がちな地形となっています。宇治田原ICから西の城陽スマートIC(以下、SICと表記)(仮称)は丘陵部で自衛隊の駐屯地や山砂利採取地域があります。城陽SIC(仮称)からさらに西側の城陽JCT・ICまでは木津川が流れる平野部となっています。

橋梁区間は4.4km、トンネルは2km
 用買進捗は95%、竣工済み工事は7件

 ――構造物比率は
 西谷 橋梁区間は約4.4km、トンネルは宇治田原トンネルの約2km、後は丘陵部を中心に切土および盛土という構造です。構造物比率は約46%です。
 ――富野工事は、工区が分かれていますね。
 西谷 この工事は、宇治田原ICのすぐ東側の土地で切った土を城陽SIC(仮称)の西側の盛土部に盛っていく計画であるためです。

工事状況

 ――事業の進捗状況は
 西谷 2月末現在で管内12.9kmのうち95%の用地を買収しています。残り5%も鋭意交渉中です。工事は現在施工中が18件あり、竣工済み工事が7件となっています。下部工は半分程度が完了し、徐々に上部工施工に移りつつある状況です。まだ全部の工事案件を発注しているわけではなく、これから、府県境周辺、宇治田原IC周辺、宇治田原IC西側から城陽スマートIC周辺の本線土工工事や城陽SIC(仮称)西側の富野高架橋0.6kmの橋梁工事を発注予定です。

トンネルは最初から6車線で建設
 宇治田原第一高架橋は4→6車線化、鋼床版を採用して軽量化することも検討

 ――最終的に全線6車線化するということですが、現状において4車線で建設しているところもしくは最初から6車線で建設しているところを教えてください
 西谷 最初から6車線で作っているのは宇治田原トンネルです。橋梁は4車線で建設していて、詳細設計の中で6車線化の進め方を検討しているところです。
 ――4車線で設計された橋梁を6車線化する場合、基礎も含めた下部工から考慮しなくてはいけないと思いますが
 西谷 例えば上部工が鋼桁か、PC桁かによっても違うので、個別の橋梁ごとに検討しています。
 ――構造物の詳細について
 西谷 東側の府県境から申し上げますと、最初に宇治田原第一高架橋があります。同橋は橋長294.5mの鋼単純箱桁+鋼4径間連続鈑桁橋で、宇治田原トンネルの東坑口を出た直後にある高架橋です。下部工は地上から15~20mぐらいのピア高で、基本的に4車線で構築しています。現在は下部工を竣工し上部工の詳細設計中です。架設方法としてはトラッククレーン工法の予定です。
 ――6車線化による荷重増を考えると下部工の補強も考えなくてはいけないのではないですか
 西谷 ですので、床版形式を現場打PC床版から鋼床版にして軽量化することで下部工の補強を不要にできないか、検討中しています。

橋梁一覧(宇治田原町域)


宇治田原第一高架橋付近(上2枚はNEXCO西日本提供、下写真は井手迫瑞樹撮影)

宇治田原第二高架橋 4車線で一旦閉合し、6車線対応に床版を張出す
 柱頭部は3リフトに分けて打設

 ――次いで宇治田原第二高架橋は
 西谷 同橋はセパレートになっており、橋長は上りが651.5m、下りが693.5mのPRC7径間連続ラーメン箱桁橋です。これも下部工は4車線対応であり、上部工もワーゲンを用いて張出し架設していくわけですが、一旦は4車線で閉合させようと考えています。その後で6車線に張り出す予定です。
 ――下部工は持つのですか
 西谷 ワーゲンで最初から6車線で張り出そうとすると、下部工が持ちませんが、4車線の幅員で張り出して一旦閉合し、その後6車線に拡幅すれば、現在の下部工構造でも大丈夫ということを確認して進めています。
 張り出し床版はPC構造のポステン方式で、それを支えるべくRC構造によるリブの追加をする予定です。
 ――現状は
 西谷 上り線側の柱頭部の施工に入っています。
 ――第二高架橋のピア高は
 西谷 30~35m程度です。
 ――宇治田原第一、第二高架橋の地盤状況は
 西谷 第一高架橋の橋脚部は直接基礎の箇所以外に、場所打ち杭(深さ7.5m~21m)の施工箇所があります。第二高架橋の橋脚部は全て直接基礎です。
 ――宇治田原第二高架橋は比較的ピア高が高くラーメン橋のため過密配筋やコンクリートの品質確保には留意しなくてはいけないと考えますが、打設方法など工夫する点は
 西谷 同橋については、柱頭部のコンクリート打設は、39mブームのポンプ車による打設を行っています。また、温度ひび割れの照査を行うため、温度応力解析を実施し、セメント種別や膨張剤添加の有無を決めました。柱頭部(高さ7m)は3回(3リフト)に分けて施工し、下2つのリフトは普通セメントコンクリートと膨張剤を使用して施工しました。


宇治田原第二高架橋付近(上写真はNEXCO西日本、下写真は井手迫瑞樹撮影)

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