中日本高速道路リレー連載⑤
八王子支社管内の構造物の維持管理 国内初 床版更新と外ケーブルによるPC桁補強の併用工法
中日本高速道路
八王子支社
保全・サービス事業部
更新チームチームリーダー
長谷 俊彦 氏
1.八王子支社の概要
NEXCO中日本八王子支社の管理道路区間は、中央自動車道(高井戸~伊北IC)195.9㌔、中央自動車道(大月JCT~富士吉田)26.2㌔、中部横断自動車道(穂積IC~双葉JCT)16.0㌔、長野自動車道(岡谷JCT~安曇野IC)33.2㌔、首都圏中央連絡自動車道(相模原~あきる野)16.7㌔、安房峠道路5.6㌔を管理しており、中央自動車道と長野自動車道が特定更新事業の対象路線となっています。
管理路線ごとに本線部分の道路構造物比率は、上下線別の延長比率で表1のとおりとなっており、全体のうちの約18%が橋梁の占める割合となっています。
2.中央自動車道の特徴
中央自動車道は、長野県、山梨県、神奈川県、東京都を結ぶ重要路線であり、4車線の断面交通量は、長野県域(伊北IC~小渕沢IC)で35,000台/日、山梨県域(小渕沢IC~大月JCT)で40,000台/日,神奈川県域(大月JCT~八王子IC)で50,000台/日,東京都域(八王子IC~高井戸IC)で90,000台/日と都心に近くなるにしたがって重交通路線となっています。
3.NEXCO八王子支社の特定更新等事業
劣化が進行した道路構造物を対象に、中央自動車道(高井戸~伊北IC)中央自動車道(大月JCT~富士吉田IC)と長野自動車道(岡谷JCT~安曇野)の道路構造物に関して平成27年3月25日付けで、特定更新等事業の事業許可を受けて事業を開始しました。
特定更新工事は、大規模更新事業として橋梁の床版更新、大規模修繕事業として橋梁の床版補修、桁修繕、土工では、切土法面排水、切土法面アンカー工、盛土法面、トンネルの覆工コンクリート補修が対象となります。
4.橋梁構造物の現状と課題
今年度より、松本保全・サービスセンター管内の長野県域において、床版の大規模更新・修繕工事を計画しています。その中でも、松本保全・サービスセンター管内においては、積雪寒冷地地域を通過する路線となっており、断面交通量は約35,000台/日、凍結防止剤の散布使用量は約25㌧/㌔㍍・年となっており、凍結防止剤散布による塩害や凍結融解による凍害等により老朽化が顕在化しています。
床版の変状の特徴としては、凍結融解による凍害の劣化と塩害による鉄筋の腐食の複合劣化したもので、床版上面から劣化が進行し、その結果、路面の舗装損傷が多発する事象が発生しています。そのため、八王子支社管内においては、松本保全・サービスセンター管内の中央自動車道と長野自動車道において、床版の更新工事や補修工事を先行的に実施していくこととなっています。
今後、橋梁の床版更新工事を進めるためには、高速道路の上下線のいずれか片側を完全に通行止めを行い、残る車線で対面交通規制を実施しながら床版の架替工事を実施しなければなりません。
中央自動車道の場合、幹線道路としては一般国道20号が並行して通過していますが、関東地域の重交通区間では、高速道路の対面通行規制の影響で渋滞が発生すると、その影響が一般国道等の交流量増加につながる場合もあり、工事の実施に当たっては、渋滞の影響を考慮した高速道路の規制計画を検討すると共に、渋滞が伴う場合には、事前の工事計画の広報活動や大規模更新の事業PRを積極的に実施することにより、お客様はもとより、沿線地域の皆様や国民の理解を得ながら工事を進めて行くことが重要となってきます。