道路構造物ジャーナルNET

中日本高速道路リレー連載②

名古屋支社管内の高速道路における構造物の劣化と維持管理

中日本高速道路㈱名古屋支社
保全・サービス事業部
事業部長

池田 光次

公開日:2015.06.22

 中日本高速道路の名古屋支社は東名、名神、中央道などの重要路線を所管している。特に東名道などは供用から約半世紀たち、交通量、大型車交通量とも多く、大規模更新・大規模修繕計画においても注視すべき路線となっている。名港西大橋など、大規模構造物の耐震補強の計画も併せて、管内の構造物の劣化と維持管理について名古屋支社保全・サービス事業部長の池田光次氏に報じていただいた。(井手迫瑞樹)

 

1.名古屋支社管内の概要 

 現在、名古屋支社が管理している供用中の高速道路(一般有料道路を含む)は837.7㌔である。名神や東名、中央道などの幹線高速道路は、日本の東西を結ぶ大動脈として半世紀にわたり日本経済の発展に寄与してきた他、伊勢道や東海北陸道では、地域拠点間の連携強化や最近の観光立国の流れの中で交通量が増加している。
管内路線のネットワーク概要を図-1に示すと共に、その内訳は下記の通り、
・東名高速道路(豊川IC~小牧IC) 77.7㌔、
・名神高速道路(小牧IC~八日市IC) 87.5㌔、
・中央自動車道(伊北IC~小牧JCT) 148.3㌔、
・北陸自動車道(木之本IC~米原JCT) 23.4㌔、
・東名阪自動車道(名古屋西IC~伊勢関IC) 55.1㌔、
・名古屋第二環状自動車道(名古屋IC~名古屋西IC、有松IC~上社JCT) 43.6㌔、
・東海北陸自動車道(一宮JCT~白川郷IC) 142.2㌔、
・東海環状自動車道(豊田東JCT~関広見IC、養老JCT~大垣西IC) 81.9㌔、
・伊勢湾岸自動車道(豊田東JCT~四日市JCT) 56.3㌔、
・新名神高速道路(亀山JCT~甲賀土山IC) 18.8㌔、
・伊勢自動車道(伊勢関IC~伊勢IC) 68.8㌔、
・紀勢自動車道(勢和多気JCT~紀伊長島IC) 34.1㌔
となっている。

 

 各路線の開通後の経過年数は40年を超えているものが約30%、30年を超えているものが約50%を占めている。(図-2)
 管内の道路延長に対する構造物の比率は、橋梁が約25%、トンネルが約14%である(図-3)。構造物について橋梁の橋種別にみると延長比率で鋼橋が約51%、PC橋が約27%、RC橋が約16%となる(図-3)。また、トンネルを掘削工法別にみると在来工法が約77%、NATM工法が約22%となっている。

 

2.名古屋支社管内の環境と変状要因 

 2014年の名古屋支社管内各路線の日平均断面交通量及び大型車混入率を下表にまとめた(表-1)。交通量の多い路線としては東名高速道路が日平均約8万台、大型車混入率が高い路線としては新名神高速道路が約40%となっており、東西を結ぶルートは特に重交通が目立っている。

 

 気象環境について、支社管内の各路線をみると、比較的温暖な三重県の伊勢自動車道から、豪雪地を含む積雪寒冷地を通過する岐阜県の東海北陸自動車道まで、気象条件に富んだ高速道路を管理している。中でも凍結防止剤(塩化ナトリウム)の使用量が最も多い名神高速道路の滋賀県エリアでは年間に1㌔あたり100㌧以上を散布している。他にも北陸自動車道の滋賀県エリア、中央自動車道の長野県エリアにおいては、供用からの累計散布量が1000㌧/kmを超えている。
以上により、名古屋支社管内の構造物の主な変状要因としては、供用からの長い経過年数による経年劣化だけでなく、重交通かつ高い大型車混入率による交通荷重に起因する疲労劣化、及び多量の凍結防止剤に起因する塩害による変状があげられ、著しい変状が急速に顕在化してきているので、今後の早急な対策が必要な状況となっている。

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