西日本高速道路九州支社は九州縦貫道や宮崎道、沖縄道など20路線1072㌔を所管している。30年を超えた橋梁は約4割に達し、今後こうした橋梁の維持管理をしっかりと行っていく必要がある。また、関門橋のリフレッシュ工事、沖縄道の床版取替、乙原橋の耐震補強など、個別でも注目すべき現場がある。そうした話題について、九州支社の廣畑浩司保全サービス事業部長に聞いた。(井手迫瑞樹)
橋梁の4割が供用後30年を経過
関門橋、乙原橋などを補修補強
――管内所管地域の路線概要から教えてください
廣畑 九州支社管内の道路総延長は20路線約1072㌔で、橋梁はその内14%を占めます。
総橋梁数は上下線別で1726橋あります。総橋梁延長は278㌔(上下線別カウント)です。橋種別割合はRC橋が31%(延長比、以下同)で、PC橋が36%、鋼橋が33%を占めます。
30年を超えた橋梁は約4割あり、九州縦貫道、宮崎道の縦ラインで約71%が30年を経過しています。九州横断道(長崎道、大分道)、沖縄道では20年を迎えた橋梁が約15%となっています。10年後は九州縦貫道、宮崎道の橋梁では91%、九州横断道、沖縄道の橋梁では82%が30年を経過します。100%の安全を目指しこれらの道路を良好に保全していく必要があります。
ハンチ部の損傷
――トンネルの管内総延長と路線延長比は
廣畑 総チューブ数は190チューブ、総延長は166㎞(上下線別カウント)です。路線延長比は約9%になります。
――路線ごとの劣化状況は
廣畑 九州管内で発生している橋梁上部工の損傷上位ランクは1位が支承、2位が床版端部、3位が床版であり、支承など橋梁端部周辺の損傷が多い状況にあります。
九州道では疲労、塩害、アル骨反応により床版や伸縮装置、支承部が損傷しています。また、沖縄道では塩害や内在塩分により床版が損傷しています。
これらの損傷要因は、雨水および凍結防止剤散布による塩分などの浸透によるもので、床版の損傷はさらに大型車交通量の増加などによる疲労も関係しています。
アルカリ骨材反応による劣化・損傷は九州道、長崎道および沖縄道のごく一部で発生しており、特に風雨に曝される橋台部、掛け違い部で劣化の進行が早くなっています。そのため順次調査検討および損傷抑制対策を実施しています。
伊芸高架橋の床版取替(夜間)/伊芸高架橋床版取替時の全景写真