道路構造物ジャーナルNET

設計要領などを改訂

24年道示に合わせ耐震設計法などに対応

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

青木 圭一

公開日:2014.10.01

 NEXCO総研は、今年度も7月1日付で設計要領および構造物施工管理要領とコンクリート施工管理要領の改訂を行った。橋梁分野では24年道示の耐震設計法への対応、金属溶射の正式適用、炭素繊維シートによる鋼部材の補修・補強工法の周知、安全対策の強化などが骨子という。青木圭一橋梁研究室長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

道路橋示方書改定に伴い3点を変更
設計要領(第二集)

 ――7月1日付の設計要領(第二集)橋梁建設編・橋梁保全編と構造物施工管理要領の橋梁部分とコンクリート施工管理要領の改訂について主な変更点を教えてください。
 青木 まず道路橋示方書改定に伴う変更が3点あります。
 1点目は、鋼管・コンクリート複合構造橋脚の設計要領第二集(橋梁建設編)からの削除です。平成24年道路橋示方書(以降、24道示)においてRC橋脚の耐震設計法の見直しがなされましたが、NEXCOでは当面の対応として平成14年道路橋示方書(以降、14道示)を前提とした従来の設計体系を踏襲していました。しかし、14道示では、同橋脚構造の耐震性能を適正に評価することは難しいことが分かりました。
 ――どのような理由から難しいのでしょうか
 青木 塑性ヒンジ長の算出方法や限界状態の評価方法について既往の実験数が少ないため机上の検討では新たな設計法の適用性の検証が困難と判断しました。
 そのため一度、設計要領から外し、今年度1年間かけて正負交番繰返し載荷実験を実施し、塑性ヒンジの発生メカニズムや損傷過程、破壊性状を把握した上で耐震性能の評価方法を確立し、設計要領に再掲載する方針です。
 ――2点目は
 青木 同じく橋脚構造ですが、インターロッキング式配筋橋脚の設計法を整理しました。同橋脚も鋼管・コンクリート複合橋脚構造と同様に24道示のRC橋脚の耐震設計法の見直しにより設計法が適用できなくなり14道示を準用していましたが、耐震性能を適正に評価できない状態でした。24道示ではタイプⅠ地震動が大きくなり、14道示ではタイプⅠ地震動に対する許容値が厳しいためです。
 そのため、既往の実験データを分析して24道示に準拠した設計法の適用性を検証しました。その結果、終極変位の算出方法の見直しを行う(δls2=6δyをタイプⅠおよびタイプⅡ地震動で共通化)とともに、許容塑性率算出時の安全係数や塑性ヒンジ長の算出方法を24道示に準拠するよう変更しました。

 ――3点目は
 青木 橋脚を対象とした連続繊維(主に炭素繊維)シート巻き立て補強工法の設計法の整理です。
 24道示に基づき、国土技術政策総合研究所と土木研究所は平成24年11月に「既設橋の耐震補強に関する技術資料」を出し、耐震補強は14道示に基づく(但し、塑性ヒンジ長に補正係数0.8を乗じる)ことを明記されました。しかし、技術資料にはRC巻立ておよび鋼板巻立て工法のみ記述されており、連続繊維シート工の取り扱いが不明確でした。
 そのため、技術資料の内容が連続繊維シート巻立て工法にも適用できるか、検証した結果、適用できることが確認できましたので、その内容を設計要領第二種(橋梁保全編)に追記しました。

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