道路構造物ジャーナルNET

JR中央本線を横架する神領橋 合成鈑桁の庄内川橋

NEXCO中日本 東名道 庄内川橋・神領橋(下り線)の床版を取替

公開日:2020.03.23

神領橋 JR中央線を跨ぐ橋梁 さらに近傍には77,000Vの送電線
 400t吊クレーンを吊角82°で施工 フォークリフトも使用

 次に神領橋である。神領橋の撤去・架設は条件が過酷だ。JRの営業路線(中央線)や引き込み線直上での施工になるため、防護工の外側へ吊り荷を出すことができない。そのためクレーンは400t吊のオールテレーンを採用し、吊角は最大で82°での施工を余儀なくされた。また、安全面に配慮するため、防護工の境界面に2Dレーザーバリアを設置して監視した。また、さらに施工範囲には77,000Vの送電線があり、最低でも4mの安全離隔距離を取る必要がある。そのため、同近傍箇所では、クレーンではなくフォークリフトによりPCaPC床版を架設した。さらに送電線直下のP8側端部は幅員方向分割版を採用しているが、離隔の関係からフォークリフトによる作業は難しい。そのため、安全離隔距離を確保できるクレーン2台による相吊りで架設した。同箇所については立体的に境界の防護が必要になることから3Dレーザーバリアを設置し、安全離隔距離の内側にクレーンのブームが入った時には警告音と警告灯が点灯して、クレーンオペレーターや玉掛者視聴覚により認識できるようにした。


神領橋 橋梁一般図

神領橋 床版撤去・架設要領図/神領橋施工フロー

吊角は最大で82°での施工を余儀なくされた

50t 油圧ジャッキ4台で剥離
 設置パネル数は50枚

 また、床版の撤去時は、50t油圧ジャッキ4台を利用して桁から床版を剥離した。その際、床版の活動を防止する鉄筋があることは予想されるが、強固な構造鉄筋は幸いにも配筋されていなかった。万が一剥離が難しい鉄筋が存在した場合は、ガス溶接などで鉄筋を除去する。
 神領橋の撤去パネル数は115枚(947t)、設置パネル数は50枚(597.8t)となっている。取替面積は総面積で1,463㎡。ここでも最大8枚(床版撤去は同16枚)ずつ施工していった。


床版の架設

床版架設がほぼ完了した状況/ここでも端部は縦割り配置

エポ鉄筋は安治川鉄工製を採用
 高欄は現場打ち施工

 床版パネルを設置後は、両橋とも、間詰部を施工した。間詰部を含め、鉄筋は耐久性を考慮してエポキシ樹脂塗装鉄筋(ここでは安治川鉄工製)、床版コンクリートは本体に50%置換の高炉スラグコンクリート、間詰部には膨張剤入りの50N/mm2の普通コンクリートを採用した。高欄は通信管などが複雑に配置されることから、現場打ちを採用している。


エンドバンド継手/間詰コンクリートの施工

壁高欄および伸縮装置の設置工

床版防水 庄内川橋はレジテクトGS-M
 神領橋はHQハイブレンAUを採用

 その後の床版防水はいずれも高性能床版防水(GⅡ)を用いた。庄内川橋ではレジテクトGS-M工法で1,868.1㎡、神領橋はHQハイブレンAU工法で1,299.3㎡を施工している。舗装はいずれも基層にFB13、表層に高機能舗装Ⅰ型を採用している。


床版防水の施工①(庄内川橋:レジテクトGS-M工法)

床版防水の施工②(神領橋:HQハイブレンAU工法)

舗装工

 なお、施工に際しては、上り線を対面交通にしているが、その交通の流れをスムーズにするため、上下線の規制テーパーに、路面点滅誘導灯『ミチテラ』(大林道路製)を設置した。ミチテラは、LEDライトによってドライバーに注意喚起するとともに、設定速度に合わせてライトを点滅させることで車両を円滑に誘導できる。

足場は『KERO』を採用

 同現場では床版取替後に、両橋の全面塗替えと神領橋への常設足場の設置を行う。中吉田高架橋の火災の影響もあるが、安全性が確保され次第、塗替えを行う。塗り替え方法は基本的には塗膜剥離剤を考慮しているが、「IHや循環式エコクリーンブラストなど現場に応じて安全かつ施工しやすいものを元請が提案してくれば検討の上、用いることを拒むものではない」(NEXCO中日本)ということだ。塗装塗り替え面積は庄内川橋(下り)が7,368.8㎡、神領橋(下り)が5,531.6㎡でいずれも素地調整1種で塗り替える予定だ。また、常設足場はアルミ合金製検査路『KERO』を用いる。
 元請は、鴻池組極東興和JV。下請は庄内川橋がトラスト工業(一次)、神領橋が長谷川建設(一次)、コンクリートコーリング(二次)など。重機はアイチ建運など。
 今春には両橋の上り線についても同様の更新工事を行う予定だ。
(2020年3月23日掲載)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム