従来工法に比べコストを1割縮減、工期を3分の1程度に短縮
CORE技術研究所 既設基礎補強・狭隘部基礎施工などが対象-SAP工法協会を設立-
CORE技術研究所は、6月13日、韓国の大手基礎施工会社EXT社から導入した建築・土木杭基礎工法スクリューアンカーパイル工法(SAP工法)の工法協会(「SAP工法協会」)の設立総会を開催した。SAP工法は、既設基礎の補強や狭隘部の杭基礎の施工が適用対象。コンパクトな建設機械を用いており、最小空頭2.7mでも施工可能で、施工時の騒音も60~65dB程度に抑制できる。従来工法(場所打ち杭工法やマイクロパイル工法)に比べ、1割強のコスト縮減が可能で、工期は従来比半分から3分の1程度に大きく短縮できる。人員も1ユニット4人と大きく縮減できる。設立にはCORE技術研究所のほか6社が参加した。CORE技術研究所以外はいずれも施工に携わる会社。7月にはNETIS登録申請も行う予定だ。
SAP工法の施工状況写真(同協会提供)/設立総会にはEXT社の社長も出席した(右は真鍋会長)
SAP工法は、油井などに使われるような高強度鋼管にらせん状の羽とヘッド掘削デバイスを付けている鋼管を用いて回転掘削させ、グラウトを注入し、鋼管内部と羽の部分のφ(2D)を一体化させて支持力を得る摩擦支持型杭基礎工法である。撹拌によって生じた土はグラウトと混錬し一体化されることで排土はほとんど生じない。荷重に応じてらせんの位置と長さを決定できるため最適な設計で施工を実施できる。高さ2.3m×長さ3.0m×幅1.0mというコンパクトな杭打設気をリモコンで操作できるため狭隘空間でも施工することが可能。回転杭による施工のため、騒音も大きく低減できる。
施工手順(同協会提供)
現在までに韓国のほか、アメリカや、ベトナムなど東南アジアで多くの実績を有している(韓国を含め、実績は約2,100億ウォン (193.7億円)、約1,200現場)。適用割合は建築基礎が約半分を占める一方、鉄道基礎や橋梁基礎(両分野とも耐震補強含む)も2割ずつの適用シェアを占めている。
同工法協会では、技術委員会、設計部会、施工部会、広報部会を設置し、①設計・工法の確立、設計ソフトの構築、②施工技術の習得、③より効率的な施工方法の研究と確立、④協会内外の技術支援および施工指導実施、⑤営業・広報活動――などを実施していく。
同協会の真鍋英規会長(CORE技術研究所社長、右肩写真)は、「日本の土木構造物の諸外国と異なる大きな特徴は耐震設計を考えなければいけないことにある。地上に見える部分の耐震補強は進んでいるが、基礎耐震については割と手付かずで残っている。そうした箇所の補強工法として積極的に展開していきたい。また建築分野では、現在狭隘な箇所での耐震補強や新設ビルの建築が増加している。そうした箇所でもヤードを取らないコンパクトな技術で施工でき、隣接する建物にも騒音や振動を感じさせない工法として広げてきたいと考えている。加えて、最近の課題としては水害の増加が増えているが、堤体や法面の補強についても使っていけると考えている。現場適用を図ると共に、より良いものを作って評価されるようにするため、今後2年をめどに設計・施工マニュアルの整備や設計ソフトの構築などを進めて技術的資料をまとめていきたい」と述べた。
(井手迫瑞樹、2019年6月27日掲載)