③DK-ピタットエイド 現場で点検しながら、30分程度の時間で応急補修
阪神高速技術の新技術・新材料
阪神高速技術は、倉敷紡績、大日本印刷などと共同で、コンクリート剥落部への点検時における応急的な処置を可能にする剥落防止シート「DK-ピタットエイド」を開発した。現場で点検しながら、30分程度の時間で応急補修ができるコンセプトで開発した材料だ。
在来工法より短い時間で施工が可能だ
従来、コンクリート構造物の点検時に剥落しそうな浮きや剥離が見つかった場合は、たたき落とした上、できるだけ早く剥落防止工を行う処置を必要としている。しかし、道路や鉄道などの交差部においては、往々にして高架下の管理者との折衝が必要となり、発見していても徒に時間を費やし、管理者としては焦燥に駆られることも少なくない。そのため点検時に点検者自身が、専門的な技術を必要とせず、手軽かつ極めて短時間に施工できる工法の開発が急がれていた。
DK-ピタットエイドのシート構造
耐久性も向上している
DK-ピタットエイドは、不具合箇所のコンクリート表面にプライマーを塗付し、外装PETフィルムを剥がして貼るだけで、作業を完了させることができる。シートは40cm角と小さくリュックの中に入れて持っていけるコンパクトさも特徴だ。
もう少し詳しく述べると、施工は、たたき落とした後にコンクリート表面の埃をウエスでふき取り、表面に専用の表面改質用プライマーを吹き、両面に接着層を備えたシートを表面のフィルムを剥がして貼り付けるもの。シートが接着界面だけでなく、上面も接着層を有しているのは、現場でプライマーなどを新たに使用することなく、重ね継ぎ手できるようにするため。また、本補修の際の除去もディスクサンダーなど簡単なパワーツールで取り除くことができるため後工程の時間も大きく短縮できる。
貼り付け施工例
同社は、「本補修までの時間と安全を買うコンセプトで開発した材料であり、交通規制にかかる時間などを加味すると、コスト的にも有利になるかもしれないと考えています。基本的には応急処置材なので、最長でも5年以内に本補修をしなくてはいけないのですが、逆にいうとそれまでの時間を稼ぐことも可能ということです。現在の採用実績は少ないですが、2個所で3年前から試験施工中であり、平成32年ぐらいには、5年の要求耐用年数を保持できているかどうかを確認できます。並行して第三者機関の下で暴露試験を行っています。これも平成30年で3年目に入っています。製品としては今年度末から本格採用の予定です」と話している。