道路構造物ジャーナルNET

阪神高速道路4号湾岸線で5万平方㍍

塗膜剥離剤を使用して塗り替え

公開日:2015.01.16

3種類の塗膜剥離剤を使用
環境に応じて使い分ける

 既存塗膜の仕様および膜厚はB系塗装(塩化ゴム系)で、下塗りがエッチングプライマー・シアナミド鉛ペイント2層・フェノール系MIO塗料、中塗りおよび上塗りが塩化ゴム系。平均の総膜厚は250μmだが、添接部および隅角部は500μmを超える個所もあった。塗膜剥離剤は水系の「パントレ」と高級アルコール系の「バイオハクリX」および「ネオリバー泥パック」を使用している。本施工前に試験施工を実施して材料性能を確認しており、「パントレは低温時では剥離性能が他の2工法に若干劣るものの人体への影響や環境負荷が少ないため、比較的作業しやすい環境条件の時に使用した。他の2工法は低温など厳しい箇所で採用している」(阪神高速道路)。


          塗膜剥離剤塗布状況                塗膜剥離施工状況①

                         塗膜剥離施工状況②

 同剥離剤は、500μmまでは1回塗布するだけで剥離可能であるが、それ以上の個所については2回塗りして除去している。11月下旬までは寒さも厳しくないことから塗布後24時間でかき落とし作業に入ることができたが、今後は「36~48時間の養生時間が必要になる」(元請の東海・昭和JV)ことを想定している。そのため1月上旬に改めて塗膜剥離剤を試験施工し、使用する製品を決める予定である。また、錆が発生している個所や隅角部などの剥離作業についてはスクレーパーや鋲かき、ケレン棒、ワイヤーブラシなど手工具による剥離作業や電動工具によるケレンを採用している。


                       塗膜剥離剤塗布後24時間以上経過した状況

                   スクレーパーなどによって掻き出す

2種ケレンを採用

 これらの作業を行っても塗り替えに必要なアンカーパターンはつかない。通常はブラストを使うところであるが、今回は粉じんを発生させないことを優先してディスクサンダーなど電動工具による2種ケレンを実施して塗り替えている。


                  剥離剤施工後の外観

                    2種ケレンの施工

 なお、施工に際しては剥離剤塗布時に剥離剤が付着する可能性のある既設構造物の先行養生の実施、作業時の通気性確保のための送風機の設置と朝顔部のメッシュシートの工夫、足場床を2重養生して塗膜除去後1枚シートをめくることで剥離剤の滑りによる転倒防止・除去塗膜の飛散防止を図る、剥離剤塗布時のエアーラインマスクの着用の徹底、剥離剤選定試験の本現場での実施などを行っている。
 足場はセーフティーSKパネルを採用した。パネル型の作業床をチェーンで吊り、連結して行くと吊り足場が完成する極めてシンプルな新しい吊り足場工法。阪神高速道路の塗装塗り替え用足場としては「大阪管理部ではここ数年結果的にほとんどの現場で使われている」。(阪神高速道路)
 施工元請は鉄電塗装、東海・昭和JV。

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム