圧送距離が長いP2橋脚打設時は45°配管を使用
打設高は1回当たり50cmを標準、1橋脚辺りの施工人数は20人以上
コンクリートの打設
本工事におけるコンクリート打設の大きな特徴は、当初の4回打ちを3回打ちに変え、工期を半月も短縮したことである。これは「下部工を早く完了させないと、2023年度渇水期の鋼桁架設に間に合わないからである。但し、リフト数を減らすことで打ち継ぎが減り、品質が向上する」(坂井氏)というメリットもある。
柱部と梁部のコンクリート打設計画
打設回数を4回から3回に減らした/梁部の最小ひび割れ指数履歴図
コンクリート圧送距離は最大で150mにおよぶ。河岸からの距離が近いP1はポンプ車ブームで直打ちするが、河岸からの距離が遠いP3は配管車+配管橋による配管を約30m、P2に至ってはP1を経由して配管橋を120m伸ばした上で打設している。生コン投入は全て特注ホッパーにサニーホースを接続して吊るし打ちを行い、高周波フレキを用いてバイビングする手法で打設した。取り分けP2梁については圧送距離が長く、打設箇所への高低差が大きい条件であったが、45°配管の使用による工夫を施した結果、閉塞することなくスムーズな圧送を実現した(下図参照)。
45°配管を使用
コンクリートの圧送配管設置状況
打設高は1回当たり50cmを標準とし、1橋脚辺り20人以上の人員をつぎ込んで施工にあたった。
バイブレーターは50cm間隔で挿入した。挿入箇所には目印のテーピングを設け、下層まで15cm程度貫入し、5~10秒程度締固めを行った。さらには充填時に型枠の外側からも木槌で型枠をたたきジャンカの発生を防いで、コンクリートの品質を確保した。
コンクリート打設時には、型枠・支保工の異常変位や崩壊を防ぐため、レーザーレベルやレーザー距離計、光波を使用して、型枠・支保工の変位と沈下量の計測管理を実施した(下図参照)。
コンクリート打設時の変位量計測/梁部は底面に配慮して1リフト目の打設厚は薄くした
打設リフトごとの変位量計測例
柱コンクリート打設状況(各自がゼッケンをつけ、何の作業を行ってるかわかる「見える化」を実践している)
梁部コンクリート打設状況
加えて問題が発生しても即対応できるように常時型枠・支保工が専門の職人を待機させるなど万全の配慮を行ったうえで施工した。
型枠残置期間は側面が7日、梁底面が14日とし、脱型後は表面保湿剤(エム・キュアリング)を塗布した。
橋脚梁下部の鋼管矢板撤去 梁下部にローヘッドホイストクレーンを設置
最大吊上げ荷重を2.8t
撤去
設桁やブラケット、足場の撤去は既設の新御堂筋線新淀川大橋から最小0.65m、最大でも1.5mしか離れていない狭隘箇所での施工が求められた。そのため、クレーン付台船により横から資材を抜く形で解体していった。
既存橋梁との離隔がほとんどない現場だ(井手迫瑞樹撮影)
鋼管矢板の撤去は、台船上のクレーンにて切断機をまず鋼管矢板内部に吊り込み、内側から杭を切断し、その後バイブロハンマにて引抜く方法が一般的である。ここで問題となるのは橋脚梁下部の5本の鋼管矢板の撤去である(下図)。鋼管矢板天端から梁下端までの離隔が約1.5mしかなく、空頭制限により切断機の挿入と引抜き作業ができないのだ。
梁下5本は空頭制限により切断機の挿入と引抜き作業ができない
そのため、梁下部にローヘッドホイストクレーンを設置し、空頭制限が厳しい鋼管矢板を撤去する工法を考案した。ローヘッドホイストクレーン設置のためには、可動用のレールが必要となるが、梁コンクリート打設前に可動レールを支持するためのアンカーボルトを梁側面に仕込んでおくことで対応した。
ローヘッドホイストクレーンと可動用のレール配置計画
可動レールは当初、直線のものを検討していたが、レールと鋼管矢板の中心とのずれが最大で約300mmに達し、荷ぶれする可能性があることから、3Dモデリングを用いて検討し、レールを鋼管矢板の位置に合わせて湾曲させた(上図)。
ホイストクレーンの吊り荷重は大掛かりな設備にならないように最大吊上げ荷重を2.8tとしている。そのため吊荷重量も最大吊上げ荷重に応じたサイズとしており、中詰コンクリート部(鋼管天端から4m)は高さ1m、重さ約1.7tを1ピースとして4分割して切断・撤去、残り8.3mは高さ4.2m、重さ約1.8tを1ピースとして2分割して切断・撤去する計画である。切断した鋼管矢板は左右のレール張出部から、梁下外の台船に吊下ろし搬出する(下図)。
元請は清水建設・東亜建設工業・大豊建設JV。一次下請はヤマト工業(鋼管矢板打設)、きんそく(基準点・水準点測量)など、平野クレーン工業(相番クレーン揚重作業)。主要二次下請は、吉野建設、栄伸海事工業(水上クレーン揚重作業)、近畿生コンクリート圧送、泉北ニシイ(コンクリート圧送工)、谷口興業(鳶工)、サカキ工業、平尾工業(いずれも土工)、辻本建設(鉄筋工)。