新設床版の耐久性は既設ループと同等かつ、薄層・軽量化
NEXCO西日本 池島川橋床版取替であご付きスイングループ継手を採用
床版防水工はオルタックスプレーES-A工法を採用
壁高欄はアクアシール1400を塗布し耐久性を向上
同床版設置後は、継手部に高炉スラグ(置換50%)の膨張剤入り早強コンクリートを打設した。床版本体部と同様に圧縮強度は50N/mm2としている。また、桁と床版の連結はスタッドジベルを溶植し、無収縮モルタルで間詰した。高欄同士の継手部は30N/mm2のコンクリートを打設した。間詰コンクリートの打設は3日、無収縮モルタルの打設は1日で完了した。また、既設の伸縮装置撤去はWJによりはつることで、橋台側のマイクロクラックの発生を抑制した。伸縮装置は設置が容易で耐久性も高いSEFジョイントを採用している。
スタッドの溶植/無収縮モルタルの打設/間詰部の鉄筋配置(右2枚)
壁高欄間詰部の配筋/床版間詰部の打設状況(中、右)
間詰部の養生状況/養生が完了した床版間詰部/壁高欄間詰部の打設状況(右2枚) (いずれも井手迫瑞樹撮影)
また、継手部および高欄の最外縁部の鉄筋は、凍結防止剤や水などによる腐食を招かないよう、エポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。また壁高欄はシラン・シロキサン系表面含浸材(アクアシール1400)を塗布し、コンクリートの耐久性向上に努めている。
含浸材(アクアシール1400)の塗布状況
床版防水前の研掃はライナックスを用いて施工し、床版防水工はオルタックスプレーES-A工法を「工数は多いが品質的にはいいという事で採用」(富士ピー・エス)した。舗装は通常の基層はFB13、表層は高機能舗装Ⅰ型。基層表層の厚さは40+40mm。いずれも約1,500㎡を防水は4日、舗装は4日で施工完了した。
研掃工と高性能床版防水工①
高性能床版防水工②と舗装工
床版取替に伴う上り線の規制は12月6日に解除し、現在は鋼桁の塗装塗替えなどに着手している。
なお、本現場では床版施工上の課題として、橋梁の上下線の離隔がほとんどないという点があった。また、外は田圃もあり、農作業者への安全を考慮しなくてはいけない。そのため、橋梁上にはレーザーバリアを設置して、クレーンのブームなどがはみ出さないようにした。また、規制を行っている土工部は基本的には仮設防護柵とラバーコーンを置くが、交通機動隊と協議してラバーコーン箇所についてはを台風シーズンによる強風の影響を考慮してラバーポールを用いた。さらに桁下にはガードマンを1人常駐させ、足場設置やクレーン旋回時の事故が起きないよう監視させながら施工した。
防食 剥離材などを使用し既設塗膜を除去、1種ケレンで素地調整
既設膜厚は500μmに達する
防食
今回の現場では上り線の鋼桁部全面3,736㎡を塗替える。同橋上り線は1984年と1992年にいずれも全面塗替えを施して(3種+4種ケレン)おり、膜厚は平滑部で500μmに達している。塗装履歴調査により、下塗りに亜酸化鉛さび止めペイントが使用されており、鉛含有であることが判明している。工事の効率性と安全性を考慮して、平滑部はIH装置、添接部と隅角部は塗膜剥離剤での塗膜除去を行ったうえで、ブラスト(1種ケレン)による素地調整を行い、塗替える(新しい防食塗料は関西ペイント製を用いる予定)。
遠隔立会を積極採用
1回で半日を費やす現場立会を減らすことは業務効率化に資する
遠隔立会
また、宮崎高速道路事務所は北は延岡から西南は栗野ICまでの非常に広い範囲を統括しているため、遠隔立会を積極的に用いている。「竣工時にコンクリートで隠れてしまうものなど(配筋など)については現場立会を行うが、コンクリート強度試験などについては遠隔立会にしている。「池島川橋も移動時間だけで片道1時間を超える、立会も考えれば半日以上を拘束される。それを固定式のカメラやウェアラブルカメラによって数回にせよ立会作業を省力化出来たことは大きく、今後ほかの現場でも積極的に導入していく方針だ」(NEXCO西日本)。
元請は富士ピー・エス。一次下請は岩永建設、トラスト工業(いずれも床版取替)、森塗装(塗装塗替え)、世紀東急工業(床版防水・舗装)、谷口重機建設(クレーン)など。主要二次下請けは、本村工業(床版防水)など。