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PC縦締めによる床版接合を北海道支社管内で初採用

NEXCO東日本 札樽道神威橋床版取替工事 床版取替機を用いて施工

公開日:2022.12.21

床版取替機2基で1日あたり8枚の床版を撤去・架設
 新設床版製作時には出来形管理を徹底

 施工は、8月26日から終日対面通行規制(約3.7km)を実施し、舗装切削、鋼製高欄撤去後、既設床版をコンクリートカッターとワイヤーソー(地覆部)を用いて切断していった。


既設床版の切断

 床版の撤去・架設は、2基の床版取替機を用いてP2からの両開きで実施した。橋軸方向2mで切断して既設床版を撤去していく。撤去サイズは橋軸方向2m×橋軸直角方向10.4m(重量約13t)で、これを1日あたり片側4枚(両側8枚)、施工区間全体で66枚を撤去した。




既設床版の撤去(撮影=*)

 1日のサイクルは午前に既設床版を撤去、その後、上フランジ上面の研掃・塗装作業などを行い、午後に新設床版とプレキャスト壁高欄の架設という工程で進めた。


上フランジ上面の研掃と塗装

 新設床版は橋軸方向2m×橋軸直角方向10.4m(重量約12t)、合計66枚で、これを既設床版撤去枚数と同数の両側8枚を1日で架設していった。次に、同じ床版取替機を用いて、橋軸方向4mのプレキャスト壁高欄2ブロックの架設を行っている。
 新設床版はジェーピーシー苫小牧製造所で製作しており、PC縦締めにより床版接合を行うことから、「被り厚、精度を含めた出来形管理を徹底し、精度確認ではそれぞれのシースのセンターからの位置をすべて計測して確認した」(同)。


新設床版割付図/同製作

 トレーラーで現場まで搬入した後、トレーラーが床版取替機内に進入。吊装置に玉掛けをして床版を吊上げ、架設位置手前まで移動した段階で90度回転させている。架設位置への設置は吊装置で調整ができるが、目地幅が20mmでシースの仕口合わせも行わなければならないため、本現場では施工の正確性を期すためにレバーブロックも用いて微調整を行った。



新設床版の架設

プレキャスト壁高欄の架設

PC縦締めで接合部の疲労耐久性向上と工程短縮を図る
 縦締め本数は標準部26本 超耐久性PC鋼より線を採用

 前述のとおり、床版間の接合はPC縦締めを採用している。北海道支社管内では初採用で、現場打ち部を少なくすることによる接合部の疲労耐久性向上と天候による工程遅延リスク低減および工程短縮がその採用理由だという。
 縦締め本数は標準部26本で、P1・P2・P3の支点上を跨ぐ箇所はたすき掛けとなるため50本を配置。すべて1S21.8のPC鋼材で、防食のために高密度ポリエチレン系特殊樹脂被覆のSUPROストランドを使用した。シースジョイントは内径35mm、外径41mmで、栗本鐵工所製のポリエチレン製を採用した。
 PC鋼材は床版の架設状況にあわせてタイミングを合わせて挿入し、順次緊張作業を行った。目地部は無収縮モルタルを打設している。


PCケーブルの挿入と緊張

目地部の無収縮モルタル打設

EMC壁高欄を採用
 防水工はオルタックスプレー ES-Aシステム工法で施工

 壁高欄はプレキャスト壁高欄のEMC壁高欄を採用。床版と一体化するために必要な接合モルタルの充填が少なくなることに加え、床版の埋込アンカーボルトによって空隙部にモルタルを充填するまでの仮固定が容易に行えるという施工性の特徴から、その採用を決定した。


EMC壁高欄。モルタル充填と施工完了状態

 場所打ち部はA1とA2の伸縮装置周辺部11㎡のみで、早強コンクリート(強度50N、スランプ値12±2.5cm)で打設を行った。


床版取替完了

 床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、オルタックスプレー ES-Aシステムを用いて施工。舗装は、基層が橋梁レベリング層用混合物(FB13)、表層は高機能舗装Ⅱ型用混合物で、防水工は約1,000㎡、舗装工は約1,500㎡となっている。10月24日には終日対面通行規制を解除した。


防水工と舗装工

施工完了

 足場はパネル式吊り棚足場「スパイダーパネル」を2,240㎡採用している。開閉床採用により、すき間・段差のないフラットな作業床を実現しており、仮設パネル上ですべての作業が行えるため、安全性と作業性が向上するためだ。

2023年5月からは神威橋近接の石倉橋の床版取替工事を実施

 本工事では、2023年5月から神威橋に近接する石倉橋(橋長70m、単純合成鈑桁×3連の床版取替工事(取替面積689㎡)を実施する。また、両橋の支承18基をピンローラー支承から可動ゴム支承(HiPS)に取替えるほか、塗装塗替え工(2橋総面積約4,200㎡)も行う。神威橋と石倉橋の両橋とも鉛の含有が確認されているため、既設塗膜剥離は水系塗膜剥離剤での施工を予定している。
 さらに、本工事は継続契約方式で発注されており、札樽自動車道桜町高架橋(橋長412m、鋼単純合成鈑桁×2連+鋼3径間連結合成鈑桁+鋼10径間連結合成鈑桁+鋼単純合成桁)、同道朝里川橋(橋長213m、鋼単純合成鈑桁×7連)の床版取替工事を2023年度以降に実施する予定だ。


石倉橋/桜町高架橋/朝里川橋

 元請は、安藤・間。一次下請けは、源架設(床版取替)、大北土建工業(コンクリート・無収縮モルタル打設)、第一カッター興業(床版切断)、青山機工(床版取替機組立・解体)、東亜道路工業(防水・舗装工)など。

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