循環式ブラスト、IH、塗膜剥離剤を用いて旧塗膜を除去
NEXCO東日本 メップ川橋鋼トラス橋部塗替・原形復旧が進む
炭素繊維シートによる補強は積層数が22層に及ぶ箇所も
高力ボルト取替は13万本、検査路はFRP製を採用
なお、両地区ともに著しい腐食が生じている箇所は原則当て板を施すが、格点部など当て板を施すのが難しい箇所については、炭素繊維シートを貼り付け、さらに耐候性を考えて表面にアラミド繊維シートを施工して補強し、さらに鋼部材部と同様の塗装を施す。炭素繊維シートの積層数は腐食量によるが、最も補強量が多い箇所では積層数が22層に達する。炭素繊維シートは鋼材の約3倍の引張強度を有しており大きな補強効果があるが、その反面、鋼材との引張弾性率の差から従来の接着剤などでははがれてしまう可能性がある。そのため炭素繊維シートと鋼材との間にはポリウレア樹脂系の高伸度弾性パテ材を塗布した上で、シートを貼り付けていく。表面のアラミド繊維シートは、次回塗替えの際のブラストや動力工具によるケレン作業から炭素繊維シートを守るために防護材として貼り付けている。
炭素繊維シート補強図面例
炭素繊維シートによる補強、積層数が22層に達する箇所もある(左上写真以外、井手迫瑞樹撮影)
層間剝離による補強の不具合を起こさないため、施工に長けた一次下請を使うなど品質確保に手を尽くしている。
同現場では、腐食した高力ボルトの取替も行ったが、その総数は13万本にも及んだ。加えて検査路を新設する工事を行っているが、検査路は腐食による損傷を考慮してFRP製の検査路(日本パーツセンター)を採用している。
高力ボルト取替状況
足場は西地区がクイックデッキ、東地区がSKパネルを採用しており、いずれも施工性の良い現場となっていた。
(左、中左)クイックデッキ、(中右、右)SKパネル(井手迫瑞樹撮影)
現在は西地区が全体の原形復旧対策工、高力ボルト取替工、P2-P3間の上下線の塗替え塗装を完了した状況にある。同地区では来年の四月以降にP1-P2の塗り替えを進めていく。
東地区は全体の原形復旧対策工、高力ボルト取替工、塗替塗装工まで完了し、P4-P5間の炭素繊維シート貼付け補強、検査路などの橋梁付属物を施工中だ。
検査路の設置状況(日本パーツセンター提供)
FRP転落防止板の設置状況(日本パーツセンター提供)
元請は西地区が横河ブリッジ、東地区が日本橋梁。一次下請は西地区が磯部塗装(塗装)、ヤマダインフラテクノス(循環式ブラスト)、選定中(炭素繊維シート貼付け工)、谷澤組(足場)など。東地区がオーシャンテック(IH)、ナプコ(塗膜剥離工及び塗装)、モリ(炭素繊維シート貼付け工)、平和鉄構(足場工)。