塗膜剥離剤は環境配慮型の中性型水系塗膜剥離剤「STRIPPER」を採用
岩手県 大荒沢スノーシェッドで塗替え塗装工を中心とした補修工事を進める
アースコート防錆-塗装システムの採用でLCCと施工費を削減
期待耐久年数は35年 施工費は従来工法と比較して㎡あたり約2割削減
塗替えで採用したアースコート防錆-塗装システムは、防錆前処理剤と防錆塗料が錆成分と強固に反応(錆転換)することで錆の進行を抑制・固着し、かつ安定した防錆皮膜を形成して防錆力を発揮するもので、素地調整を軽減しつつ、所定の防錆性能を発揮できる特徴を有している。
その採用理由について、北上土木センターは「期待耐久年数が35年と長く、ライフサイクルコスト(LCC)の低減に貢献できる。さらに施工費も1種ケレン+RC-Ⅰと比較すると㎡あたり約2割の削減となった」ことを挙げる。60年のLCCでは、RC-Ⅲと比較して54%、RC-Ⅰでは52%の削減が可能だ。岩手県では、1期工事で同システムを初採用している。
本現場での塗替えでは、1層目に脱脂剤兼用防錆皮膜処理剤、下塗りに変性エポキシ樹脂系特殊塗料を2層(各60μm)重ね、フッ素樹脂塗料用中塗りでウレタン樹脂塗料を1層(30μm)、上塗りで弱溶剤形フッ素樹脂塗料を1層(25μm)の層構成で施工していった。
1層目(表面被膜処理)の施工と完了状態
下塗りの施工と完了状態
中塗りの施工と完了状態
上塗りの施工と完了状態
施工にあたっては作業者の環境と安全を守り、鉛等の外部流出を防ぐための安全対策を行っている。具体的には、化学防護服および送気マスク(剥離剤塗布作業員)、電動ファン付き呼吸用保護具(かき落とし作業員)を装着し、クリーンルームとエアシャワーの設置、負圧集塵機、負圧掃除機などの使用だ。さらに剥離作業が夏季となったことから熱中症対策で防護服に冷風を供給するクーレットを装備して作業を行った。また、現場は幅員が7.4mと狭く、「片側交通規制での施工にあたり、車線確保に苦労」(北上土木センター)するとともに、「大型車両通行時には安全に細心の注意を払う必要があった」(木村塗装工業)という。
クリーンルームとエアシャワーは起点側・終点側の両方に設置した(撮影=*)
北上土木センターが管理するシェッド12施設のうち10施設がⅢ判定
鋼製シェッドでの塗膜劣化が顕著
北上市と西和賀町の29路線約270キロを管理する北上土木センターでは、スノーシェッド10施設(総延長1,329m、鋼製7施設/PC3施設)とロックシェッド2施設(総延長158.4m、鋼製・PC各1施設)を管理している。そのうちの10施設がⅢ判定となっており、とくに鋼製シェッドでの塗膜劣化が顕著だ。これまでに対策が完了した施設はなく、損傷が最も進展していた大荒沢スノーシェッドの補修工事がその最初となる。今後、予算等を鑑みながら他の施設についても対策を進めていく予定だ。
2期工事の元請は、木村塗装工業。一次下請けは、髙橋架設(仮設工)、テラ(塗膜防水工)、盛岡塗装工業(塗装工)、愛吹グループ(塗装工)、小山田工業所(支柱補修工)、協積産業(FRPシート設置工)、ALSOK岩手管財(交通管理工)。