平面線形R=80m、横断勾配10%の曲線桁を移動多軸台車により架設
NEXCO東日本 横浜環状南線釜利谷ジャンクションで横浜横須賀道路を跨ぐランプ橋の桁を一括架設
約160mを分速2mで移動
合計4,200mmのジャッキアップを行う
21時から通行止めを開始し、通行止め完了後の22時に、台車が横横下り線への進入を開始した。なお、進入前には2,100mmのジャッキアップをヤード内で行っている。前述のとおり横断勾配が急であったことから、安全性を確保するために台車を下り線と平行とせずに角度をつけた状態にして下り線上に乗り入れている。
一括架設計画図(※拡大してご覧ください)
ヤード内で2,100mmのジャッキアップ後、本線へ進入。横断勾配により台車に高低差があるのがわかる
台車は分速2mで約160mを移動し、架設位置手前20mの地点で反時計回りに90°の回転を行った。回転作業とその後の架設位置までの移動には上下線を使用するため、事前に中央分離帯のプレキャスト壁高欄をサヤ管式ガードレールに変更しておき、通行止め完了後に同カードレールを撤去している。
回転後、さらに2,100mmのジャッキアップを行い、架設桁を実際の架設高から3,776mm上げた状態にして、23時ごろに架設位置に到達した。
本線下り線を移動後、設位置手前で90°回転。ジャッキアップ後、さらに前進して架設位置に到達
架設位置への受け変え時に桁の傾き方が変わることが課題に
ベントの鉛直ジャッキとスライドシップで仕口調整
架設桁の仮受と仕口調整には慎重な作業が求められた。平面線形R=80m、横断勾配10%の曲線桁であるために、その曲率半径の小ささから台車からベントに桁を受け変えた時に桁の傾き方が変わるためだ。具体的には、台車で桁をその中央付近で受けていた時は受点に対して桁が内向きに倒れていたが、A1側とJ5側のベントで桁の両端を受けた時には外向きに倒れる反力が働くことになる。この変化により、「断面が変化して仕口調整が困難になることが一番心配」(同社)だったという。
J1側の仕口調整とA1側の据付けでは慎重な作業が求められた
この課題に対応するために、A1側とJ5側のベント上に鉛直ジャッキとスライドシップを設置し、架設桁をジャッキダウンして仮受点にタッチさせた後は鉛直方向と橋軸直角方向の調整を慎重に行った。鉛直ジャッキは1基100tのものを1主桁につき2基、ウェブの下に設置し、スライドシップの水平ジャッキは50tのものを用いた。外向き(L側)のみに反力がかかるので、L側にしか水平ジャッキは必要なかったが、安全性を考慮してR側にも設置して施工に臨んでいる。橋軸方向の調整はセッティングビームで行った。
遊間はA1側が100mm、J5側はP1上が剛結構造のためセットバックが不可能で20mmとなっていた。そのため、製作時にJ5側の桁の仕口と架設済み桁の仕口を3%の角度を付けて斜めにすることにより、架設しやすくする工夫も行った(架設桁J5側は上フランジが長く、下フランジが短い。架設済み桁はその逆)。
さらに、仕口の微調整を桁内に設置したPC鋼棒とセンターホールジャッキで構成した引寄せ設備で行い、A1側は支承固定、J5側は地震時対応のために総締め本数1,172本の1/3以上となるボルト添接を行っている。2時ごろには移動多軸台車が退出し、その後、中央分離帯のガードレール復旧や路面養生材の撤去、清掃等路面点検・後片付けを行い、5時に通行止めを解除した。
桁がJ1側ベントにタッチした状態/仮添接完了後
架設完了
同橋のP1~DP15までの2径間は、一括架設後に550tオールテレーンクレーンを用いてクレーン+ベント架設を行い、8月末に完了した。
P1~DP15間でのクレーン架設
元請は、高田機工。一次下請けは、MIC。二次下請けは、中山組。