既設にも適用可能 従来工法の3分の1の塗布量で鉄筋の腐食を抑制
大同塗料 鉄筋腐食抑制型ジェル状シラン・シロキサン系表面含浸材『アクアシール1400AR(アンチラスト)』を発売開始
大同塗料は、橋梁などコンクリート構造物分野における鉄筋腐食抑制型ジェル状シラン・シロキサン系表面含浸材『アクアシール1400AR(アンチラスト)』(以下、『AR』)を1日から発売する(上部写真は促進試験67サイクル後の鉄筋腐食状況)。同社が展開しているアクアシール1400に気化性を有する浸透性防錆材を配合したもの。施工は、アクアシール1400と同様、刷毛、ローラー、吹付による施工が可能で、コンクリート表面を研掃後塗布するだけでよい。放射状に含浸して均等な吸水防止層を形成する特性があるため、多少の塗り斑があっても性能を発揮できる。㎡あたりの塗布量は230gと従来工法の3分の1の塗布量で施工することが可能。また、ジェル状の生成物がコンクリート表面に蓋をすることで、気化性の防錆剤は空気中に抜けることがなく、コンクリート内部へ浸透していき、早期に鉄筋近傍まで到達し、防錆効果を発揮させることが出来る。既設にも適用可能で、既に塩化物イオンが侵入した構造物であっても防錆効果を発揮する。アクアシール1400と同様、コンクリート表面から4~7mmの厚さに吸水防止層を形成し、ARはコンクリート構造物への水の浸入を防ぎ、塩害、凍害、ASRなどを生じさせる劣化因子の侵入を阻止できる。(井手迫瑞樹)
アクアシール1400ARと従来品との違い
鉄筋腐食抑制のメカニズム
塗布状態と含浸後の外観
吸水防止層
鉄筋近傍に塩化物イオンが3.5kg/m3存在する供試体でも腐食を進行させない
「蓋」をすることで空気中に抜けない効果
同社では、7年前から製品の開発を始め、様々な実験や試験施工を行ってきた。その結果、新設はもちろん、塩化物イオンが鉄筋近傍において3.5kg/㎥に達している供試体を用いた実験でも、腐食を進行させない効果があることを確認した。
気化性防錆性試験/防錆剤濃度測定結果
JIS K 2264防せい(錆)油気化性防せい試験結果
ARはアミン系の気化性をもつ防錆剤を使用しており、コンクリート中の空隙を利用してより深く移動できる特性を有している。実際にARを塗布したコンクリート供試体を表面から10mm間隔で切断して粉砕し、メタノール中に浸漬して抽出した防錆剤成分を分析した。その結果、時間の経過とともに防錆剤濃度は深さ0~8mmの表層部分では減少するが、深部では濃度が増加し、半年後には深さ30~38mmの領域において10mg/L、40~48mmでは5mg/L の防錆剤が定着していることが確認でき、これにより鉄筋腐食が確実に抑制されていることを明らかにした。
同社では、今後橋梁・高架など土木構造物を中心に新設・既設の境なく、積極的に採用を働きかけていく方針だ。