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規制期間の制約により床版73枚を8日間で撤去・架設

NEXCO東日本 東北道・磐井川橋床版取替工事

公開日:2022.02.03

移動式伸縮屋根の設置で工程遅延を防ぐ

 短工期のなかで雨天などによる工程遅延を防ぐために、移動式伸縮屋根を設置したことも本現場の特徴だ。橋軸方向最大約15m×橋軸直角方向約13m×高さ2.3m、重量3tで、地組立後、クレーンにより架設した。足場上に敷設したレールに設置することで橋軸方向の移動が可能になり、上フランジ上面の研掃や塗装、新設床版設置後の間詰コンクリート打設などの作業を天候の影響を受けずに進めることができた。


移動式伸縮屋根は地組立後、架設した

足場上にレールを敷設。上フランジ上面の研掃など、天候の影響を受けずに作業を進めることができた(左写真撮影=*)

 足場は移動式伸縮屋根の荷重に耐えられるように、最大積載荷重350kg/㎡の「クイックデッキ」を採用している。先行床施工により「足場設置時の安全性が確保できる」(清水・東鉄JV)ことも採用理由となった(設置面積は2,400㎡)。


足場は「クイックデッキ」を採用(撮影=*)

継手はループ継手 間詰幅は380mm
 DAK式プレキャスト壁高欄を採用し工程短縮を図る

 継手部はループ継手を採用し、間詰コンクリートの打設幅は380mmで施工している。間詰部は、膨張材(太平洋ハイパーエクスパン)25kg/m3を添加した早強コンクリートを用い、強度50N/mm2、スランプ15cmとした。鉄筋は、床版継手部分と現場打ち部分にエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用して耐食性を確保している。

継手はループ継手とした/間詰部の打設と打設完了後

端部の現場打ち部もエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用

 壁高欄は工程短縮と現場作業の省力化を図るため、プレキャストRC壁高欄であるDAK式壁高欄を採用した。施工は50t吊のラフタークレーン2台を用いて、1日あたり約37基、合計74基を2日間で設置している。


DAK式壁高欄の設置と設置完了後

 床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、オルタックスプレーES-A工法で施工した。舗装は、レベリング工がFB13、表層は高機能舗装Ⅱ型で舗設している。施工日数は防水工4日、舗装工2日だった。


床版防水と舗装の施工

 工程短縮および遅延防止の取り組みにより、実際の終日対面通行規制期間は10月19日から11月23日までの35日間となり、終日対面通行規制期間を計画よりも5日間短縮することができた。


工事完了

継続契約方式で磐井川橋他3橋の詳細設計を実施

 本工事では、磐井川橋と同橋に接続する磐井川高架橋で耐震補強工も実施する。内容は、支承取替が24基、P2橋脚(上下線各1橋脚)のRC巻き立て、P3橋脚(同)の炭素繊維巻き立て、落橋防止装置の設置などとなっている。また、本工事は契約継続方式で発注されており、夏川橋(橋長144.0m(上り線)、141.0m(下り線)、鋼2+3径間連続鈑桁橋)地田川橋(橋長35.0m、鋼単純鈑桁橋)の上下線、鳴瀬川橋(橋長404.0m、鋼3+3径間連続箱桁橋)の上下線の床版取替工事の詳細設計をあわせて実施し、中間技術検査合格後、順次3橋の工事契約を行う。夏川橋と地田川橋の上り線は2022年春施工、下り線は同年秋施工、鳴瀬川橋は2023年に着手し、2024年に完了する予定だ。

 施工者である清水・東鉄JVの幹事会社である清水建設は、「本工事は当社が高速道路リニューアル工事に本格参入する礎となる案件となった。今後、より精力的にリニューアル工事に参画できることを目指している」との見解を示すとともに、東鉄工業と施工したのは「床版取替の実績もある会社であり、NEXCOの床版取替工事に対する取組みへの意欲を強く示していた。当社としても、今後の床版取替工への取組みを考えた場合、パートナー会社をつくることにメリットがあった」と述べた。

 元請は、清水・東鉄JV。一次下請は、共成建設(床版取替)、栄喜工業(床版取替)、岡崎建設(渡り線・舗装工)、青砥建設(渡り線)、SEI’S(渡り線)、東北カッター(床版切断、はつり工)、大和重機(クレーン)、東北ビルド(クレーン)、岡部(スタッドジベル)、岡本産業(床版防水工)など

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