56,500㎡で舗装打ち替え、50,000㎡で複合床版防水を実施、伸縮装置の交換、一部連結
阪神高速道路 環状線(北行)の湊町入口~梅田出口間4.4kmをリニューアル
阪神高速道路は、11月16日午前4時から26日午前3時30分までの間、環状線(北行)の湊町入口~梅田出口間4.4kmでリニューアル工事を行った。RC床版の高性能床版防水の施工と舗装・伸縮継手補修(縦目地改良含む)などが主な工種。環状線は1988年、次いで2001年と02年に大規模補修工事を行っているが、その後20年が経過し、舗装や伸縮継手の経年劣化による損傷が顕在化していることから、昨年(同南行)と今年の2年間で大規模修繕を伴う抜本的な対策を実施するもの。(井手迫瑞樹)
施工箇所の遠景
区間全体の舗装面積は、75,400㎡に達するがそのうち56,500㎡で舗装補修(大部分が基層と表層(ポーラスアスファルト舗装)の打替え)を実施した。また、RC床版の床版防水は高性能床版防水(複合床版防水)を施工した。同区間としては初めての施工で、50,000㎡で実施した。鋼床版部は5,400㎡が対象となるが、そのうち5,000㎡が基層(グース)までを打替え、表層のみの施工は400㎡となっている。鋼床版部を基層まで打替える場合は、周辺への騒音を抑制するため、IH式舗装撤去工法を採用している。
工事区間/施工箇所/施工内容
環状線の設計床版厚は最大230mmから最小で160mm(軽量コンクリート床版部)、または170mm(通常のRC床版部)となっている。さらには過去に2回、舗装打替えを行っているため、床版上の舗装切削を行う場合はかぶりコンクリートが薄くなっている可能性を踏まえて細心の注意を払って施工する必要があった。今回、床版防水にはマルチフレッシュ工法(ニチレキ)と、HI-SPECシール工法LTタイプ(アイゾールテクニカ)を採用している。施工面積はそれぞれ28,600㎡と20,200㎡。
舗装切削状況/バックホウなどによる残アスファルトの撤去
マルチフレッシュ工法については、昨年の南行のリニューアル工事でにおいについて若干の苦情が寄せられた。同工法はプライマーの成分にMMA(メタクリル酸メチル)を用いており、プライマーが硬化反応する過程でMMAが揮発し、臭いが拡散していた。MMAを無臭化させることは困難であるため、香料(フルーツ系)を添加することで対策を立て、現地試験の結果、一定の効果を確認した。
床版防水工の施工/表層舗装の舗設状況
ジョイントの交換、ジョイントレス化はそれぞれ137、16レーンで施工した。既設ジョイントの撤去は、基本的にSJS(サイレントジョイントスライス)工法を採用し、施工時の騒音を抑制した。
縦目地部は信濃橋出路分岐部で82mにわたってジョイントを交換した。
SJS工法により既設ジョイントを撤去した
信濃橋出路分岐部の縦目地状況(施工前)/同(施工後)
伸縮ジョイントの据え付けおよびコンクリート打設。伸縮継手はスーパーガイトップジョイント、フリーウェイジョイントを使用した
床版防水および舗装補修工の元請は世紀東急工業、鹿島道路、一次下請はフタミ(ショットブラスト)など。ジョイント交換・連結工の元請はキンキ道路、スバル興業、ケイアールティ。一次下請が日本鉄塔工業、ナガタ工業など、二次下請はナガタ工業、アクティブ、A′iなど。
完成状況(左)湊町JCT、(右)中之島JCT