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出力を6kWに倍増 塗膜、錆、塩分を除去、安全対策も向上

トヨコー 塗装塗替えの塗膜除去+素地調整に新型CWレーザー『CoolLaser G-19』を開発

公開日:2021.11.18

 トヨコーはCW(Continuous wave、連続波)レーザーを使って、既存塗膜と錆および劣化の原因となる塩分の除去を行うことができる新型機『CoolLaser G-19』を開発した。施工対象は橋梁や鉄骨の狭隘部や格点部、支承近傍、添接部など通常のブラストや塗膜剥離剤などでは施工が難しい箇所。出力を従来の3kWから6kWに上げることで、既存塗膜(標準施工:最大厚300μm/h、2㎡/h、繰り返し施工すればさらに厚いものでも除去可能)はもちろん、表面から100μm程度の厚さの錆や同程度の深さまで浸透した鋼材の劣化原因となる塩分も除去できる。また、レーザービーム照射の際のトリガーをシングルアクションからダブルアクションとし、なおかつ安全シーケンスを確立しなければ機械を始動させなくする構造にするなど、安全面の対策も向上している。同機はヘッド(長さ58cm、3kg)、レーザー発生装置(W2800×L1750×H2027、約2t)、チラー(冷却器、750kg)から構成されており、4tトラックにすべて搭載可能。システムから最大100m開いた距離まで施工することが可能で、ある程度(200m以下)の長大橋で路上を規制しない場合でも施工できる。同社ではすでに初号機を製作しており、来春にはさらに2台増産する予定で、同機のレンタルを開始する方針だ。さらに、土研とさらなる研究、そして現場での施工実績を増やすことで、鋼道路橋防食便覧への記載、適用を目指していく。


新型機『CoolLaser G-19』イメージ

照射ヘッド

システム外観/4t車に搭載して移動可能

酸化被膜の形成を抑制 錆厚除去能力は100μmと従来機の倍に進化
 レーザー+カップワイヤーで1種ケレン相当の素地調整が可能

 従来機は出力が3kWしかなく、施工効率面や錆の除去などの面で課題があった。繰り返し施工すれば、膜厚が厚い箇所や錆の層厚が厚い箇所でも除去することができたが、その場合は酸化被膜を形成してしまう、という欠点を有していた。

施工状況/酸化被膜を抑制できる

 新型機は、そのレーザービームの出力を倍にすることで施工効率を向上させ、錆厚除去能力を50μmから100μmにするなど施工能力も向上させている。また、レーザーのエネルギー密度や動かす速度を工夫することで、酸化被膜の形成を抑制できるようにした。

照射前後の鋼材表面

 施工は3~5cm程度の離隔から既設塗膜に照射し、塗膜や錆、表面およびある程度の深さまでの塩分を蒸散させる。錆だけでなく劣化原因である塩分そのものもある程度除去できるため、より長期にわたる耐久性を期待できる。

既設塗膜および錆の除去状況、素地調整もつけることができる

表面およびある程度のの深さまで入った塩分も大きく減らすことができる

 素地調整も可能で、現在でも既存塗膜および錆を除去した後、カップワイヤーをかける程度で1種ケレン相当の素地調整が可能。将来はそうした機械を用いずに1種ケレン相当の素地が調整できるようにすることを目指している。

マスクおよび塩分測定の推奨機械例

 鉛など有害物質対策についてはノズルヘッドに集塵装置を付けて施工すると共に、ブラスト並みの安全対策を作業員、足場養生とも行っていく。

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