1,600㎡ 全面積の約30%に及ぶ
NEXCO西日本 千代田高速 13橋の壁高欄内側を補修
西日本高速道路中国支社千代田高速道路事務所は、中国道千代田JCT~六日市IC間3橋と広島道広島北JCT~広島西風新都IC間10橋の計13橋について壁高欄内側の補修を行っている。補修面積は約1,600㎡に達するが、これは13橋の全壁高欄面積の30%に及ぶ。損傷の内容は主に浮き・剥離、鉄筋露出であり、損傷範囲は径間全ての箇所もあれば、部分的に損傷している範囲もある。現場では、ウォータージェット(以下「WJ」という)で鉄筋裏側まで斫り出し、その上で鉄筋防錆、断面修復を行い、さらに表面被覆を行っている。その現場を取材した。(井手迫瑞樹)
WJ工法による機械はつりを実施
標準斫り厚は80mm、かぶり厚(60mm)に加えて鉄筋裏20mm斫った
中国道千代田JCT~六日市ICは1983年3月、広島道広島北JCT~広島西風新都ICは1985年3月にそれぞれ供用され、36~38年を経過している。距離当たりの凍結防止剤散布量(2020年度)は中国道の方が、若干多くなっている(別表、NEXCO西日本提供)。
記者が取材した広島太田川橋(広島道、上り線)はまさに「径間全てが損傷しているところもあれば、部分的に損傷している個所もある」橋梁(橋長718m、4径間連続PC合成桁+4径間連続PCラーメン桁+3+3径間連続合成桁)だ。径間全て損傷している箇所はA1-P0やP4-P5である。A1-P0は山に近いため湿気が抜けず損傷するのは理解できる。しかし、P4-P5は図面だけではわからなかったが、現場に行くと理解できた。サグとRが同径間で重なっているのだ。これはその中間にある高欄が部分的な損傷にとどまりP4-P5に損傷が集中している可能性が高い。路面を水が流れ、P4-P5で滞水する可能性は否めないからだ。
サグとRの状況
損傷状況 色で囲っている部分が補修予定範囲(井手迫瑞樹撮影)
さて、壁高欄の斫りは、マイクロクラックの発生を防止するため、基本的にWJ工法による機械はつりを実施している。設定は水量20L/min、200MPaとした。壁高欄の損傷が比較的激しく、空洞や劣化が生じていた場合に裏側へ高圧水が貫通する懸念があるため、WJはコリジョンジェットを用い、さらに壁高欄外側へ、全周面にゴム版を接着した鉄板を貼り付けることで漏水養生と飛散対策を行っている。標準斫り厚さは80mmとし、かぶり厚(60mm)に加えて、鉄筋裏20mm斫った。
WJによる斫り状況(ケミカル工事が一次下請)
WJ施工直後の斫り状況。鉄筋裏面まで斫り出している/打ち抜かないように配置したゴム養生付きの鉄板
次いで、鉄筋防錆とマクロセル腐食対策としてWJ施工後の新旧界面にはプロテクトシルCITを塗布した。断面修復はマスターエマコS990を30mm×2回、表面仕上げ1回施工し、さらに表面被覆は『ダイナミックレジンストンガードUコート工法』(中性化と塩害対策)を採用した。断面修復に加えて、再劣化防止を目的として表面被覆を採用したもの。表面被覆は壁高欄全体ではなく斫った周り左右側+幅10㎜程度。また壁高欄天端部を施工範囲としている。
プロテクトシルCIT塗布状況
断面修復工の施工状況
施工手順的には、まずWJ工法による機械はつりと鉄筋防錆を先行して施工する。広島太田川橋に関しては、サイクルタイムで、WJ工法による斫りそのものは1週間程度で完成させることが出来たが、ついで、鉄筋防錆及び断面修復で養生も含めて3日ほどかかり、さらに表面被覆はプライマーから上塗りまでが5層仕上げであるため、全体では1か月ほどの工程となっている。
表面保護工の施工(不陸調整/中塗り/上塗り)
元請は㈱伏光組。一次下請は㈱ケミカル工事(コンクリート斫り工、断面修復工)。二次下請は㈱アイホクプラント、㈱環境開発公社、ミズノテック㈱、㈱安藤工業、増田工業(コンクリート斫り工)、㈱健創(断面修復工)。